「音楽離れ」の元資料を参照してみたら、有料聴取層以外もいろいろ減ってることに気づいてしまった

Xperia Tablet S で Google Play Music

「音楽離れ」の記事が話題になっていたので日本レコード協会の公表資料を調べてみたら、調査内容そのもの以外にもいろいろ気がついてしまった、という話です。

きっかけはこちらの記事。

ボクはこんなツッコミを入れました。

小見出し、正確には “「若者の音楽離れ」が全体的に広まる” なんですが、改めて考えてみると「若者の」と「全体的に」もよく分からないですね……細かいところですが。面白い記事なのに、もったいない。

ちなみに団塊ジュニア世代の人口ボリュームゾーンは、いま40代前半です。音楽CDが最も売れた1990年代前半は、団塊ジュニア世代が20代前半。人口の多い世代の購買行動が、市場の浮き沈みには大きな影響を及ぼす、ということなのだと思います。

「有料聴取層」の下落要因は?

「音楽離れ」の記事では、「音楽との関わり方」を「有料聴取層」「無料聴取層」「無料聴取層(既知楽曲のみ)」「無関心層」にわけ、2009年から2015年にかけての推移グラフにしています。2014年は調査未実施。

「有料聴取層」に着目すると、以前は年2~3%の下落だったのが、2013年から2015年にかけては年5~6%の下落になっており、それまでより落ち幅が大きくなっています。2014年を推測してグラフにするとこんな感じ。

音楽との関わり方 有料聴取層推移

要因として考えられるのは、フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行。いわゆる「スマホシフト」です。フィーチャーフォンの「着うた」市場は、スマホシフトによって大幅に下落してますからね。

その代わりに伸びてるのがゲームです。このあたりの話は、市場全体を俯瞰した『デジタルコンテンツ白書』などを参照するのがいいでしょう。2014年の発刊セミナーはレポートにしてあります。

2010年版までと2011年版以降とでは調査会社が違う

さて本題。ボクは上記のようなツッコミを入れつつ、「批判するなら、ちゃんと元データを参照しないといけないな」と思いました。調べてみたところ、日本レコード協会のウェブサイトで公表されています。

資料は2001年版から公開されているので、なぜ上記「音楽離れ」の記事では2009年からの推移グラフなのか? と疑問に思いました。そこで資料を全部開いて、ざっと斜め読みしてみました。

すると、「音楽との関わり方」みたいなまとめかたをしているのは2011年版以降なのが分かりました。2011年版には、2009年以降のデータが載っています。だから「音楽離れ」の記事は、推移グラフが2009年以降なんですね。

よく見ると、2010年版以前は分析手法が違っていて、もっと細かくてページ数も多い。そこで最後のページを見ると、2010年版までは野村総研ですが、2011年版以降は三菱総研に変わっているではないですか(2001年版・2002年版・2015年版には、調査会社が記載されていない)。

2008年までは質問紙による面接留置き自記入式だけど、2009年からインターネットアンケート調査に変わってるというのにも気づきました。2012年まではn=5000前後なのですが、2013年はn=1545、2015年はn=2014。

ネット調査への切り替え、野村総研から三菱総研への切り替え、n値の減少、2014年の未実施、公表資料ページ数の減少……これってつまり、調査のための予算が減ってるってことですよね? なんだかもの寂しくなりました。とほほ。


余談ですが、ボクはGoogle Play ミュージックを定期購入して「ラジオステーション」を聞いてます。「スピッツ」と「PENGUINS PROJECT」がお気に入り。普通のラジオと違って、DJは一切なく、ひたすら音楽を聴き続けられるのが良い。

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