「アマゾン増収増益、カドカワ上方修正」「メディアドゥが持ち株会社化、出版デジタル機構を完全子会社に」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #269(2017年4月24日~30日)

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 先週は「アマゾン増収増益、カドカワ上方修正」「メディアドゥが持ち株会社化、出版デジタル機構を完全子会社に」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ。2017年4月24日~30日分です。

グーグルが検索アルゴリズムを変更、不適切コンテンツを下位に CNET Japan(2017年4月26日)

 アルゴリズム変更に留まらず、「不快な結果や役に立たない結果をユーザーが報告できる」仕組みを提供。すでにキーワード入力時の自動補完と、検索結果上部に表示される強調スニペットでフィードバックが可能になっています。

強調スニペットのフィードバック

 人海戦術でライバル企業を貶めるブラックハットが出現しそうでちょっと怖い。フィードバックが正しいかどうか、報告者が人間かどうかを判断する必要がありそうです。

留学生向け予備校、本を丸ごと複製 出版社が損賠請求へ 朝日新聞デジタル(2017年4月27日)

 著作権法第35条の規定で「学校その他の教育機関」の授業で用いる際は、無断コピーが認められています。が、営利目的の予備校は「学校その他の教育機関」ではありません。また、著作権者の利益を不当に害する恐れがある場合もこの規定は適用されません。詳細はガイドラインを参照。

EPUBビューワ BiB/i(ビビ)最新版を公開しました (v0.999.9) ふらここ、こ(2017年4月27日)

 オープンソースのEPUBビューワ BiB/i(ビビ)が v0.999.9 にアップデート。ユーザー任意の文字サイズ変更、互換性向上、速度向上など。最後のβ版とのことです。

カドカワ【9468】、前期経常を28%上方修正 株探ニュース(2017年4月27日)

 またしても上方修正。出版事業ではメディアミックスの好調、返品率低下、電書の拡大などが要因とのこと。

メディアドゥ、持株会社体制へ移行とともに出版デジタル機構を株式交換により完全子会社化 M&A タイムス(2017年4月27日)

 株式会社メディアドゥホールディングスの誕生。同時に、出版デジタル機構を完全子会社に。産業革新機構から取得していた株式は70.52%でしたが、残りをメディアドゥの株式と交換で100%子会社。これで、出版デジタル機構に出資していた講談社、集英社、小学館、大日本印刷、凸版印刷、KADOKAWA、光文社、新潮社、文藝春秋、インプレスホールディングス、筑摩書房、有斐閣、勁草書房、版元ドットコム、平凡社の持ち株は、1株あたり40株で交換されます。交換予定は121万7600株ですが、メディアドゥの発行済株式数は1000万株以上あるので、交換後の持ち株比率を計算すると、小学館が5.62%、講談社が5.42%、集英社が3.42%といった感じに。3%を超えるので、帳簿閲覧権、取締役等の解任請求権、総会招集権が手に入ることに。少し発言力が大きくなるかな?

米アマゾン、予想上回る増収増益 ネットサービスの裾野拡大 日本経済新聞(2017年4月28日)

 今回から売上高の詳細が明らかにされているとあり、AmazonのIR資料「2016 Annual Report」で確認しようと思ったのですが、PDFでギッチリ86ページある……。ひとまず、日本における売上が2014年から2015年にかけての成長率が104.4%なのに対し、2015年から2016年にかけては130.7%と急成長しているのは把握できました。2016年は約108億ドル、年間平均1ドル108円で換算すると約1兆1664億円。

Amazon 2016 Annual Reportより

ぶんか社が投資ファンドと資本業務提携 WWD JAPAN(2017年4月28日)

 日本産業推進機構は2014年設立の投資ファンド。官民出資の投資ファンド「産業革新機構」とは関係ありません。経営管理手法の導入やコンテンツ管理の効率化、デジタル化の促進による収益力強化を図るとのこと。業績を立て直したら、自社含めどこかへ高く売却されることでしょう。

電子書籍つき紙本「+e(プラスイー)」セルフパブリッシング初の試みをスタート! BCCKS情報局(2017年4月28日)

 BCCKSの新機能。著者の任意で、紙本に電書を無料で付けることが可能になりました。紙本はPODなのでどうしても割高になってしまうのですが、電書を無料で付けられるなら電書の価格分お得感を出すことができそうです。

アマゾンジャパン、日販非在庫品の取り寄せ発注を終了へ 文化通信(2017年4月28日)

 日販からするとアマゾンは取引先の1つに過ぎませんが、アマゾンとしては売れている本をもっと売るため優先的に在庫を充当して欲しい。となると、出版社とのあいだにいる取次の存在は、邪魔になってきます。今回終了するのは日販非在庫品の取り寄せ発注のみですが、出版社との直接取引「e託販売サービス」拡大へ向けての施策の一環と言っていいでしょう。「この本、売れるかも」という見込みで多めに仕入れておくのではなく、「いま売れている」という情報に基づいて仕入れに動いているから遅い、という見方もできるかもしれません。


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