先週は「人気レシピ本の類似本が抗議で出荷停止に」「強制わいせつ事件で警察が漫画家に配慮求める」「dマガジンを書店が販売」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年6月12日~18日分です。
漫画『とある新人漫画家に、本当に起こったコワイ話』について、編集部の見解 ねとらぼ(2017年6月12日)
佐倉色氏のエッセーマンガ(飛鳥新社)に登場するウェブメディア「ねとらぼ」が、作品には「事実と著しく異なる表現が多数ある」と全力で反論しています。佐倉色氏とKADOKAWA少年エース編集部のトラブルを中心に描いた作品で、「ねとらぼ」は端役なのですが、この記事によって主役に躍り出てしまった感が。肝心のKADOKAWA側がノーコメントを貫いているのと、飛鳥新社も前からいろいろ問題のある版元(『昆虫交尾図鑑』事件など)なので、なんかいろいろ頭痛い。
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佐倉色
飛鳥新社 (2017-06-09)
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人気レシピ本に似すぎ? 小学館、販売中止求める 朝日新聞デジタル(2017年6月12日)
よく似たタイトル・デザインの類似本。「WiLL」と「Hanada」を思い出しました。当初、新星出版社は「判型も含めて内容やコンセプトはまったく異なるもの」というリリースを出していたのですが、結局出荷停止に。出版業界には2匹目のドジョウを狙った類似企画がとても多いですが、これで少しは抑止されるでしょうか?
フランス国務院、2012年に施行した「流通されていない20世紀の商業書籍のデジタル化に関する法律」を違法と判断 hon.jp DayWatch(2017年6月12日)
昨年11月に、EU司法裁判所で違法と判断されたフランスの法律が、フランス国内でも違法と判断。関連プロジェクトは全面停止が濃厚の模様。EU司法裁判所では、強制取得(Opt-out)方式ではなく、任意登録(Opt-in)方式であるべきと判断されているので、根幹からモデルを見直す必要があることに。とほほ。
埼玉県警:成人漫画作者に「配慮を」 わいせつ事件受け 毎日新聞(2017年6月14日)
漫画家への申し入れ「社会の発展に好ましくない」…強制わいせつ、警察の対応に問題は 弁護士ドットコム(2017年6月14日)
強制わいせつの疑いで逮捕された男が、違法アップロードされた成人向け同人誌(マンガ)の影響を受けたと供述し、埼玉県警が作者の元へ訪問して「作品内容が模倣されないような配慮」を求めたという話。作者曰く「穏やかな話し合い」だったようで、どうも警察発表に基づく報道と実態には若干乖離がある模様。性犯罪被害、違法アップロード、表現の自由と、さまざまな問題が絡んだ事件です。
アマゾンはなぜ今さらリアル書店をつくるのか? BEST T!MES(2017年6月15日)
大原ケイさんによる解説。ポイントは、普段は本を読まない人がターゲットであること。そして、商材として最初に扱っているのは本だけど、いずれ通販同様、食材など他の商品にも広げていくであろうこと、など。この記事の翌日に、高級スーパー「Whole Foods」をAmazonが買収するニュースが出たのは、なんというタイミングの良さか。
KADOKAWA、「dマガジン」で書店と実証実験 新文化(2017年6月16日)
「dマガジン for Biz」をリアル書店が販売促進というのは、私が以前この記事で提案した通りの動きです。ただ、個人向けの販促も行うのは予想外。契約は毎月継続していくのに(そして雑誌も毎週・毎月発行されるのに)、インセンティブは入会時のみだとキツイような。
公立中学校の図書館に“わいせつ扇情的”ライトノベル 生徒の要望で公費購入、大阪・門真市 産経WEST(2017年6月16日)
門真市議会常任委員会で「表紙がエロ扇情的」と市議から批判があったとのこと。他タイトルはともかく、サムネイル表示されている『エロマンガ先生』の表紙はぜんぜんエロくないので、とばっちり? おそらく中身は読んでいないものと思われます。
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