(※写真:写真素材 足成より)
さて、著作権法改正によって、DVDをリッピングする行為が私的であっても違法(ただし刑事罰は無い)になるわけですが、これによって世の中がどのように動いていくかを予想してみようとおもいます。違法ダウンロード刑事罰化は別問題なので、別エントリーにて。
「刑事罰が無いなら、今までと変わらないだろう」という意見も見かけますが、ボクはそうは思いません。「違法であること」という萎縮効果があるからです。
既に昨年末の段階で不正競争防止法改正によって、リッピングツールの提供(販売・配布)は刑事罰化しています。いまだにAmazonやVECTORなどでソフトが販売されているのが不思議でならないのですが、これらはいずれ一網打尽にされるでしょう。
つまり、一般ユーザーが新規でDVDリッピングソフトを手に入れることが難しくなります。もちろん海外で販売されているものなら手に入るでしょうが、それはできるのは一部の詳しい人に限られるということになっていくと思われます。
さてここで問題になってくるのが、「レンタル」という業態です。DVDを借りてきて、リッピングしておいて、好きなときに観る、という行為が今回の法改正によって違法になります。
実は、今回の法改正によって、違法ダウンロード刑事罰化より、DVDリッピング規制に対して反発の声が多かったのが、ボクには意外でした。「だったら金輪際、DVDなんか借りねぇよ!」という何人かの声を目にしています。
これはボクに映像ソフトをレンタルするという習慣がなかったからかもしれませんが、購入して所有するほどお金をかけたくはないが、レンタルで1度や2度観て楽しむくらいのお金なら使うというユーザーが、想像以上に多かったということだと思います。
これは、法律の条文がうんぬんというより、それを受け止めるユーザーの心情の問題だと思うのです。「んな面倒くさいことになるなら、ほかにも道楽はいろいろあるんだから、もうやらねぇ!(買わねぇ・借りねぇ)」という気分になる。生活必需品ではなくエンターテイメントなのですから、気持よく使えないなら使わないという方向になるのは必然だと思うのです。
DVDソフトの売上は、2005年の3,477億円をピークに年々減少し続け、2011年は2,007億円になっています。
恐らく今後、DVD画質程度までであればオンライン配信が主流になり、所有欲を満たす高画質パッケージはブルーレイだけになるのではないでしょうか。公式で安価なオンライン配信がどんどん出てくれば、レンタルという業態が生き残っていくのも難しいのではないかと思われます。