日本の電子書籍市場は、出版社や流通・メーカー・取次・印刷・通信などがそれぞれの思惑で参入し大混戦になっています。そして、海外で実績のあるAmazon・Apple・Googleが、まだ参戦していない状態です。
いまどんな状況になっているか、詳しくはこちらのサイトを見て頂くといいと思います。非常に判りやすいまとめになっています。
AmazonのKindleが4月27日から国際版を出荷し始め日本もその対象に入っていることから、いよいよ噂されていたとおりこれから本格参入が始まるのでしょう。出版デジタル機構も本格的に動き出しましたし、恐らくこれからこの業界は短期間で激変していくと思います。
今後どうなっていくんだろう……というのを考えてみると、当然のことながら、ユーザーが利用しないストアから淘汰されるでしょう。つまり、そのストアがユーザーにとって便利なのか?という所が最も重要なポイントということになります。
提供側の思惑なんか、ユーザーには関係のない話です。例えば、メーカーが自社の端末を売りたいがために、高価な専用リーダーでしか読むことができないフォーマットで提供をするといった行為は、愚の骨頂と言えるでしょう。
では、ユーザーにとって理想的な電子書籍ストアというのはどういうものでしょう?必要と思われる要素を、思いつくままに箇条書きしてみます。
- ラインナップが充実していること
- 読みたい本を簡単に探せること
- 簡単に買えること
- いつでもどこでも簡単に読めること
- いつまでも保管できること
順番に掘り下げてみます。
ラインナップが充実していること
当然のことながら、自分の読みたい本が置いていない書店へ足を運ぶ人はいません。極端な例えをすると、もし書店が無くて、在庫は全てそれぞれの出版社や著者の手元に置いてあるような状態だったら、とても不便ですよね。
もちろん購入手段はいろいろあってもいいと思います。著者自ら手売りするという方法もあるでしょう。特定の著者のファンで、その著書はみんな読みたい!というようなユーザーからすれば、著者から直接購入すれば中間業者を排除できるので、一番メリットが大きいわけです。
だから、出版社が自社のストアを持つことを否定するつもりはありません。ただ、ユーザーの利便性を考えると、そういった大小のストアを一つに束ねる総合書店が、一番集客しやすいのは間違いないでしょう。
もっと言うと、現時点で既に他のコンテンツがたくさんあって集客できているYahoo!や楽天などのポータルは、ジャスコのような郊外の大型ショッピングモールと同じで、集客という点では有利ですね。
読みたい本を簡単に探せること
検索性やジャンル分け、レイアウトの判りやすさ、試し読みができるか、といった要素です。リアル書店のように、たまたま立ち寄って目についた本がとてもよかった、というような出会いが演出できるかどうかという点も重要でしょう。
ただ単に、表紙画像とタイトル・著者名・価格がずらりと並んでいるだけだと、ユーザーの興味を引くのは難しいです。リアル書店の手書きPOPって、結構重要な判断材料だったりするんですよね。
そういう意味では、購入履歴やクリック履歴からリコメンドしてくれるAmazonの仕組みというのは、とても秀逸なのだなーと思います。
簡単に買えること
会員登録が簡単にできること、支払い方法がいろいろ選べること、複数冊をまとめ買いできるかどうか、といったところでしょうか。クレジットカードを持っていれば特に問題はないのでしょうけど、クレジットカードの審査が通らない方や、未成年の場合が問題になります。
例えば、WebMoneyなどのプリペイド式電子マネーに対応しているかどうかという点がポイントになってくると思います。この辺りは、通話料などの決済手段を既に持っている通信事業者が有利でしょうか。
電子書籍は再販価格維持制度の対象になっていないため、紙の本と比べてどの程度安価か?といった点も重要ですが、ヘタをすると毎日でも価格調整は可能ですし、ジャンルによって値引き率を変えてたりする場合もあると思うので、今回の調査対象からは除外させて頂きます。
いつでもどこでも簡単に読めること
どんなデバイスに対応しているか、パソコンとモバイルなどの複数端末に対応しているか、どんなファイル形式に対応しているか、といったところでしょうか。読書用アプリを提供しているのがストアなら、その操作性というのもポイントかも知れません。
例えば、家にいるときはパソコンの広い画面で読んでいて、外出してもスマートフォンで続きが読める、といった形がユーザーにとっては理想的です。紙の本ならカンタンに、カバンに放り込んで電車で続きを読んだりできますからね。
いつまでも保管できること
再ダウンロードに対応しているか、期限があるのか、Web本棚(トランクルーム)的なサービスがあるかどうか、といったところでしょうか。
紙の本と違って古本として売ることはできませんが、劣化しませんし場所もとらないから、ユーザーの意識としてはコレクション的に半永久的に保有できるはず、という意識があります。
ところが、端末が壊れてしまってデータを失ってしまったり、買い換えたらデータが移せなかったりというような不便というのは必ずついて回ります。専用端末の場合、メーカーが潰れてしまったら、端末が壊れないよう祈るしかないという状態になりますね。
DropBoxのようなオンラインストレージに対応していると、何かトラブルがあってもいつでもデータを復旧できるというメリットがあります。ただこの場合も、サービス提供事業社が潰れてしまったら、どうしようもないわけですが。
デバイスの大きさ・軽さ・画面の見やすさといった要素は、ストアサービスとは別問題になってきますし、そもそもボクが端末を持っていなければレビューしようがないというのもありますので、今回の調査対象からは除外させて頂きます。
現時点でボクが持っているのは、WindowsXPパソコンと、Xperia(SO-01B)です。iOS系を持っていないので、ちょっとレビューとしては中途半端になってしまうかもしれません。iPadを購入するかどうか、まだ迷っています。