出版(紙・電子書籍)関連の気になるニュースまとめ #66(2013年5月13日~2013年5月19日)

Nexus 7 の honto

出版(紙・電子問わず)関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。

キングダム10巻分無料公開 ※2013年5月13日

好評につき、無料公開を再開しています。5月26日まで。

Samsung、電子書籍のページ送りに関する新特許を申請 – ITmedia eBook USER ※2013年5月13日

“読む”という行為に関して、「紙と同様の体験」にどこまで意味があるのだろう?という気が。どうしても、動作がもっさりしているのをアニメーションで誤魔化しているだけに見えるのですよね。

ソニー、「紙のデジタル化」により学習効果や生産性の向上を支援する13.3型「デジタルペーパー」端末を開発 – ITmedia eBook USER ※2013年5月13日

こちらは”読む”だけではなく”書く”行為も、紙に近いものを目指したモノ。13.3インチ=A4で、358グラムという軽量っぷりはなかなかのもの。しかし、PRS-T3はどうなるんだろう……?

hon.jp DayWatch – 日本電子出版協会、「電子出版市場の起爆剤 『イーシングル』 の挑戦!」セミナーを6月6日、東京・飯田橋で開催 ※2013年5月13日

イーシングルとは、要するにカドカワミニッツブックみたいな「短い電子書籍」のことです。従来は、短編モノは一定量たまらないと単行本化されませんでしたが、電子版だったら「短編集」にせずとも短編のまま販売できるじゃないか、という感じですね。

【ハウツー】iBook StoreからDLした電子書籍のアップデートはプッシュ通知されない!? | 携帯 | マイナビニュース ※2013年5月13日

アプリの感覚からすると「もっと目立つ位置に更新通知しろよ!」という感じがしますが、そもそも更新することを前提としていないシステム(Koboなど)になっていたり、更新されたことに気付きづらいシステム(Kindleなど)に比べると遥かにマシ。ちなみに、BOOK☆WALEKRは更新通知がわかりやすいし、結構マメに品質向上している(指摘するとすぐ修正してくれる)ので好感が持てます。

「ゲームセンターあらし」を無料連載、その意図とは? 太田出版の“web連載空間”「ぽこぽこ」に迫る (1/3) – ITmedia eBook USER ※2013年5月14日

広告のない無料連載なので、「キングダム」のように話題になってコミックが売れる、という波及効果がないと厳しい。唯一販売しているeBookJapanで、先週のランキング20位以内には入っていないようですが……。

アマゾン、サムスン傘下のフルカラー電子インク開発企業Liquavistaの買収を認める – CNET Japan ※2013年5月14日

以前から何度も「カラー電子ペーパーのKindleが出るのでは?」という噂が流れていましたが、これでいよいよ本格化するのでしょうか?

hon.jp DayWatch – BookLive!と三省堂書店、「週刊ダイヤモンド」店頭購入したら「オリジナル電子版」をプレゼント ※2013年5月14日

過去の特集を集めた特別版なので、「紙の雑誌を買ったら電子版が付いてくる」というのとはちょっと違うようですが、面白い試み。週刊ファミ通×BOOK☆WALKERでも同様の試みをしています。

EBook2.0 Magazine — 米国書籍市場の44%がオンライン、31%がアマゾン ※2013年5月14日

「オンライン」というのは電子版だけではなく、紙書籍の通販も含めた数字です。米国は国土が広く書店数が少ないので、オンライン比率は必然的に高くなるわけです。ちなみに日本のAmazonは、2012年の売上が78億ドルだということが判明していますが、これはCDやDVDや玩具などの通販やマーケットプレイスも含めた数字。出版物の売上がどの程度なのか、正確にはわかっていません。

eBookJapan、トランクルームを改良 – ITmedia eBook USER ※2013年5月15日

これで、いちいちアップロードしなおさなきゃいけないという「かなり面倒な仕様」が、アップロードを忘れていたとしても別端末で読むことができる(ただしダウンロードし直し)という「ちょっと面倒な仕様」程度に軽減されました。

E Ink、折れ曲がる電子ペーパーディスプレイ「Mobius」を正式発表 – ITmedia eBook USER ※2013年5月15日

なんかこの記事だけ読むと、前述のソニーの13.3インチ「デジタルペーパー」端末が折り曲げられるように読めてしまうのですが、今回の試作機はまだ折り曲げられないそうです。

自炊代行を健全な業界に、ブックスキャンが「日本蔵書電子化事業者協会」発足 -INTERNET Watch ※2013年5月15日

Myブック変換協議会の投げたボールが、ちゃんと返ってきました。これはいい方向へ進みそう。明確に”シロ”となった自炊代行サービスが始まったら、そろそろ本棚から溢れだした蔵書を電子化しようと思います。

電子書籍の未来――独立系電子書店の死 – ITmedia eBook USER ※2013年5月16日

元旦に「会員基盤のない電子書店は正念場を迎える」という2013年予測を書きました。例えば、最近やり玉に挙げられることが多いdocomoですが、なんだかんだ言われながらも膨大な会員基盤を持っているので、dブックストアはかなり強いのです。

また、電子書店サービスが死んだときに、購入した電子書籍がどうなるかは、DRMの強度によって異なるという視点も必要です。例えば3月31日にサービス終了したRabooの場合、ダウンロードした端末が壊れたり初期化しない限り読み続けることができます。紙の保存耐久性に比べると短命ですが、携帯型ゲーム機と比べればいい勝負なのかな、と。

「BOOK☆WALKER」が「MFラノベ☆コミック」と 電子書籍の本棚相互共有を開始|株式会社ブックウォーカーのプレスリリース ※2013年5月16日

BookLive!やブックパスとは異なり、メディアファクトリーの本限定ですが「相互共有」というところが大きい。あちこちの電子書店を使っていると、「これどこで買ったっけ?」「そもそも買ったっけ?」ってなことが頻発するんですよね。まあ、紙の本でも買ったの忘れてもう1回買って、本棚に同じ本が並ぶ場合が結構あるのですが……。

hon.jp DayWatch – Google社、「Google Playブックス」サイトで個人保有の電子書籍ファイルもアップロード保管可能に ※2013年5月16日

GooglePlayのマイブックへアップロードという形式。AndroidやiOS端末に保管されているデータの場合、直接アップロードができないため、Googleドライブを経由してアップロードする必要があります。ちょっと面倒。そして、AndroidやiOSのビューワは問題ないのですが、ブラウザビューワがおかしい。

ブラウザで見たGooglePlayブックス

なんで下揃えなの!? 笑っちゃいました。

「電子書店パピレス」iOSアプリをリリース!iPhone、iPadでより快適に電子書籍が閲覧可能に | 株式会社パピレス | プレスリリース配信代行『ドリームニュース』 ※2013年5月16日

いままでブラウザ閲覧だったのが、アプリへダウンロードして読むことができるようになりました。ただ、XMDFには非対応みたい。

週刊「モーニング」を月額500円で読めるiOS向けアプリ『Dモーニング』がリリース ※2013年5月16日

講談社の「週刊モーニング」というビッグネームが、ついに紙と同時に電子版を発売開始、しかも月500円と紙に比べるとめちゃ安いということもあって、業界内外でかなり大きな話題になっていました。「モーニング・ツー」は随分前から電子版をやっているのですが、そこからさまざまな意見を吸い上げたという感じでしょうか。

レビューによると、「ボタンを大きくスライドさせればさせるほど、めくる速度が上がるという仕組み」が面白そう。開発元のエキサイトに載ってるレビューなのでPR色が強いのかな?と思ったのですが、ライターさんは「単純におもしれー!で書いている」らしいです。

読み切りサイズの電子書籍「週刊東洋経済eビジネス新書」創刊 -INTERNET Watch ※2013年5月17日

週刊東洋経済掲載特集のバラ売りです。特集だけ読みたいという場合もあるので、こういうの(いわゆるイーシングル)も選択肢の一つとしてはアリだとは思います。ただ、「せっかく買ったんだから特集以外も読んでみよう」というところから始まる意外な出会い(セレンディピティ)がなくなってしまうのも寂しい。雑誌は定期購読(サブスクリプション)に力を入れるべきだと思うんですけどね。

「電子書籍をどこで売る?」【cakes加藤×ハフポスト松浦】 ※2013年5月18日

cakes加藤貞顕さんとハフィントン・ポスト日本版編集長松浦茂樹さんの対談。ちょっとアレアレ?と思ったのが、加藤さんが「デジタルはオープンでソーシャルだからいい」とか「ウェブは自由でオープンなのがいい」と言いながら、パッケージ販売はダメだという論調で語っている点。cakesは有料会員じゃないと読めない「ペイウォール」を築いているわけですから、決してオープンでも自由でもないわけです。

逆に、EPUBは言ってみればウェブサイトをそのままパッケージにしているだけで、紙の延長上にあるわけではなくウェブの延長上にあります。引用してシェアできるようにもなっているわけで、パッケージ化されているからソーシャルじゃないとかオープンじゃないと言われるのはちょっと違和感。

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