「Amazon古本買取開始」「富士山マガジンサービスが上場へ」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #171(2015年6月1日~7日)

Nexus 7のBOOK☆WALKER

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「Amazon古本買取開始」「富士山マガジンサービスが上場へ」などが話題になっていました。

ついに大台、comicoがダウンロード数1000万突破 – ITmedia eBook USER ※2015年6月1日

comicoがついに1000万ダウンロード突破。中の人にインタビューをした1月中旬には800万ダウンロードだったんですが、5ヶ月で200万上乗せです。素直にすごいと思います。ちなみに4月には「comicoノベル」が始動し、もうチャレンジ作品の投稿も可能になっています。こういうののスタート時って、目立ちやすいからチャンスなんですよね。

「週刊アスキー」今日から完全電子に……1997年創刊のパソコン誌が新たなスタート、6月8日まで100円 -INTERNET Watch ※2015年6月2日

今日まで100円。「100円ならいいや」と思って比較のためあちこちで買ってみたんですが、発売当日はまだ一部のストア(Kindleストア、楽天Kobo、BOOK☆WALKERあたり)しか配信されてませんでした。こういうところで確実に差がつきますね。

あと、広告が一切入ってないのが気になりました。

週アス完全デジタル化!その真相を宮野編集長に直撃 | ニュースウォーカー ※2015年6月2日

「週刊アスキーPLUS」は2300万ページビュー(2015年4月時点とあるので月間でしょう)とのこと。アイティメディアの「ねとらぼ」が月間5000万ページビュー突破してますから、その半分以下ということに。うーむ、辛い。

Amazon、本の買い取り開始 1冊から無料集荷、事前に買い取り価格をWebで確認 – ITmedia ニュース ※2015年6月3日

honto(ブックオフオンライン)の「宅本便」が動いたからでしょうか、Amazonでもとうとう本の買い取りサービスが始まりました。実際サービス内容を比べると、Amazonは1点からでも無料で集荷するのに、hontoは20点以上から。Amazonは事前にオンラインで買い取り価格(最大)が確認できるけど、hontoは集荷してから査定終了まで1週間。ただし、Amazonはギフト券だけ(つまりAmazonでしか使えない)だけど、hontoは現金も選べます。

大きな差が付きそうなのが、値段が付かない本のケース。Amazonは送料無料で返送されるけど、hontoは返送料がかかります。ただし、hontoは無料で資源回収業者へと引渡し処分する道も選べます。これ、値段が付く良い本はAmazonに、ブックオフでは本を捨てる流れが加速しそうです。

Amazon買取サービス」のページを開くと、Amazonでの購入履歴から自動的に「あなたの買取サービス対象商品」というのがズラッと価格とともに表示されるのがすごい。周囲の声を集めると、どうやらマーケットプレイスの価格を元に査定額を算出しているようです。Amazon側で把握できる在庫数にも依るのかな? 全集でも1冊毎に価格が違うなんて声もありました。

考察書き出すと止まらなくなりそうなので、ここでは一旦ここまで。

漫画雑誌「なかよし」電子配信スタート 電子版はなつかしの名作が付録に – ねとらぼ ※2015年6月3日

これで講談社の漫画誌は一通り電子化が完了したようです。紙版の付録がつかないのは痛いところ。子どもに買い与える親の立場からすると、セーフサーチ設定ができたり定期購読ができたり、というサービスで使わせたいと思うのかな?

誰でもマンガ編集者になれる? ブクリパの新機能 – ITmedia eBook USER ※2015年6月3日

これ、新機能の名称を当初「トキワ荘プロジェクト」としていましたが、NPO法人NEWVERYの「トキワ荘プロジェクト」と思いっきりかぶってしまうことがリリース後に発覚(というか、NPO法人側から抗議が行ってます。商標登録されてるんですね)。いまは「ネーム発掘プロジェクト」という名称に変わっています。トホホ。

プロジェクト的には誰でも投稿可能な漫画onWebの「ネーム大賞」やメディバンの「#マンガになれ」コンテストと違い、いまのところプロの漫画家に限定されています。うーん。

【新文化】 – 「出版物への軽減税率の適用を求める集い」に政党・業界関係者320人 ※2015年6月3日

以前にも書いたように、新聞社や出版社が軽減税率を求めるのは、別に悪いことじゃないと思うのです。ただ、「(ポルノのように)社会的に理解を得がたい出版物は標準税率にするよう出版社に要請する」って、どうなんでしょ? 「マンガに軽減税率摘要なんてとんでもない!」みたいな暴論が外から飛んできそう。

富士山マガジンサービスが東証マザーズ上場 – ITmedia eBook USER ※2015年6月3日

雑誌売り上げがピーク時の半分になっているというのに、雑誌販売で上場しちゃう企業が現れました。経営利益約2億391万円、利益率約10%。詳細は有価証券報告書で確認できますが、CCCの関連会社なんですね。

設立当初は取次の大阪屋と提携してますが、平成21年10月には「出版社の直販業務において、受注から配送までを一括して請け負う」サービスの展開を始めています。その取扱高(売上ではない)は、2014年には60億円突破しているとか。

日経BPのように自社で直販する体制が整えられる(というかクロネコヤマトにメール便を作らせたのは日経BP・リンク先記事3P目参照)ところは少ないでしょうから、そこにうまく入り込んだということなんでしょうね。

[編集長コラム]出版社がPODで売上を上げる3つの方法 | OnDeck ※2015年6月4日

インプレスR&D井芹社長自身による、「出版社向けPOD流通」と「NextPublishing」の違いについて。私も違いがうまく理解できていなかったのですが、「出版社向けPOD流通」は既存書籍のPOD版を新たに作る形なのですね。文庫版みたいな感覚かな。

「Wake Up, Girls!」アニメ未公開ストーリーがオーディオブックに – ITmedia eBook USER ※2015年6月5日

「ドラマCD?」という声が聞こえてきました。確かに。

KADOKAWAが「クールジャパン」の拠点建設 所沢に図書館・美術館・博物館の総合施設 ※2015年6月5日

ちょうど1年前、東所沢の旧所沢浄化センター跡地に出版流通の拠点施設を作るという話がありました。当時から美術館や図書館などの併設は提案されていたようですが、「クールジャパン」の拠点づくりという方向になったようです。そういう名目で、国から補助金引っ張るのかな?

お知らせ

日本独立作家同盟主催セミナー第2回は、ライターで電子雑誌『トルタル』編集長の古田靖さん。文章だけで20年間食べてきたコツを初めて伝授します。創作、ノンフィクションどちらにも使える基本を、紙、ウェブ、電書それぞれに応用できるよう解説。セミナー参加者限定特典として、文章添削もあります。詳細はPeatixのイベントページをご覧ください。

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