毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「ブックオフが赤字転落」「NHN comicoの年間売上136億5200万円」などが話題になっていました。
「国立公文書館デジタルアーカイブ」がリニューアルへ | カレントアウェアネス・ポータル ※2016年3月28日
4月1日にリニューアルしました。サイトはこちら。画像がかなり大きく拡大できて、見やすいかも。絵巻物「桜町殿行幸図」とか、延々スクロールできて凄い。ちなみに「本デジタルアーカイブで提供するデジタル画像等については、任意にご利用いただけます」です。
小説ウィザードリィ「隣り合わせの灰と青春」Kindle版が4月配信!「不死王」「風よ。龍に届いているか」も | インサイド ※2016年3月28日
絶版になっていた名作がKindleで! という紹介記事なのですが、この作品はベニー松山氏がずっと前からセルフパブリッシングプラットフォームの「BCCKS」で配信していたのです。記事を読んで「あれ?」と思って調べてみたら、消えている。こちらのURLにあったのですが、Kindle版を配信するためにBCCKS版は取り下げちゃったみたい。まあ、Kindle独占配信じゃないと70%印税にできないから、だとは思いますが。世知辛い。
改めて、パブリックドメイン論。 『三文オペラ』上演中止問題を契機に 福井健策|コラム|骨董通り法律事務所 For the Arts ※2016年3月29日
『三文オペラ』上演中止問題について、福井健策先生が一般論で解説。以前、パブリックドメインになった作品の著作者人格権について疑問に思ったことがあったのですが、こんな記述が。
ただし、こちらも時間の経過など社会情勢の変化で保護が弱まっていくことは著作権法に明記があるし(60条)、差止などの主張が出来るのは孫までの遺族など限定されている(116条)。そもそも遺言などない限り、「故人の意に反する改変である」ことを遺族が証明するのはそう容易ではない。そのためもあって、パブリックドメインになった後の作品で、人格権侵害が認められた事例はほぼ見当たらない。
なるほど! ただ、だからといって「どういう改変をしても構わない」というわけではなく、作品と著者への尊敬の念を忘れてはならないとは思います。が、必要以上に気にすることもないようです。
国立国会図書館、YouTubeの国立国会図書館公式チャンネルで動画の配信を開始 | カレントアウェアネス・ポータル ※2016年3月30日
公式チャンネルはこちら。とりあえずいまアップされてるのは真面目で堅い感じの映像です。まあ、国の機関だから仕方がないか。
NHN comicoとグループ会社が15年12月期の決算公告を官報に掲載…NHN PlayArtの最終利益は8.5億円、NHNハンゲームは1.3億円に | Social Game Info ※2016年4月1日
NHN comicoの年間売上が136億5200万円もあるのが驚き。純損失になっていますが、経常利益は出ています(特別損失で赤字転落)。ちなみに上場しているアルファポリスは、2016年3月期売上予想で約30億円です。
NHN comicoの事業紹介にはcomico事業、O2O事業、IPタイアップ事業、cafe事業の4つが挙げられています。稼いでいそうなのは、IPタイアップかな。ゲーム、イベント、ノベルティーグッズ制作、LINEスタンプ素材、宣伝、広告。
出版状況クロニクル95(2016年3月1日~3月31日) – 出版・読書メモランダム ※2016年4月1日
毎月楽しみな小田光雄さんの出版状況クロニクル。4年分を詰め込んだ『出版状況クロニクル4』が4月中旬に論創社から刊行されるそうです。444。
Booklive、「きゅん」とした感動を共有する小説投稿サービス「トルタ」 -INTERNET Watch ※2016年4月1日
BookLiveがCGM(Consumer Generated Media)に参入ですって! KADOKAWA×はてなの「カクヨム」とは異なり、恋愛小説に限っている模様。デザイン的にも、女性をターゲットにしている感が。BookLiveは2月に無料マンガアプリ「マンガきゅんと」をリリースしたばかり。攻め続けますね。CGMの運営は違った苦労があると思うのですが、どこかと組んでるのかな?
福井大学附属図書館、OverDriveの電子図書館システムの提供開始:国立大学としては初 | カレントアウェアネス・ポータル ※2016年4月1日
大学図書館にも提供開始。そういえば昨年11月の図書館総合展で、「今後の予定」パネルに福井大学の名前が載ってました。
ブックオフが赤字、「中古家電」でつまづき | 週刊東洋経済(ビジネス) | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 ※2016年4月3日
冒頭に “同社は、主力商材である中古本の市場が縮小を続ける中” とあるので、ブックオフ自身がそういうことを言っているのかな? と思ってIR資料をチェックしてみたのですが、記述が見つけられず。というか、売上は伸びているのですが。
なお、今年はエイプリルフールネタを追いかけませんでした。どの企業も義務的にやるようになって食傷気味。あと、超忙しかった。
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