毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「Kindle Unlimitedのラインアップに大きな変動」「ブックオフ古本事業不振」などが話題になっていました。
ブックオフ、止まらぬ「中古本離れ」でピンチ | メディア業界 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 ※2016年8月30日
4月の記事では「家電買取」が計画どおり進んでいないという話でしたが、その家電買取の告知に力を入れたら、そのぶん古本買取が落ちこんでしまった、という話。ブックオフは本を売る場所というより、処分する場所(ほとんど買値は付かない)というイメージなのですが、いまさら告知の多寡で大きく変わるものなのでしょうか?
グーグル、見出しを自動生成するアルゴリズムを開発 – CNET Japan ※2016年8月29日
機械学習アルゴリズムによって、文章を要約して見出しにするそうです。技術の進歩のためオープンソース化してGitHubで公開、というところがGoogleらしい。いずれ、煽り・釣りタイトルも自動生成されるようになるのかしらん?
書籍読み放題「Kindle Unlimited」で作家の稼ぎ方はどう変わるのか? 鈴木みそ氏らが日本独立作家同盟のイベントで討論 – INTERNET Watch ※2016年8月30日
私が登壇しています。Kindle Unlimitedが主に独立作家に与える影響について討論を行いました。新たな武器の1つとして有効的に活用していこう! と、わりと前向きな着地ができたと思うのですが。
ヤフー/イーブックを子会社化 | 流通ニュース ※2016年8月30日
連結子会社に。IRの株式情報がまだ「2016年1月31日現在」なので、ヤフー以外の大株主がどうなったかは不明です。気になるのはクックパッド、小学館あたり。
アマゾン読み放題、人気本消える 利用者多すぎが原因?:朝日新聞デジタル ※2016年8月31日
「年内特別条件」が前倒しで終了になっている、という話。タレコミ通り。日経も後追いしています。他にも、Amazon側から一方的に終了通告され読み放題から外されるようなケースもあるようです。具体的にどんなジャンルや出版社が変動しているかを調べておきました。コミック、アダルトジャンルなどが大幅に減っています。
電子書籍の読み放題サービス、利用経験者は何%? | マイナビニュース ※2016年8月31日
電子書籍の利用率40.9%に対し、読み放題サービスの利用経験者は9%とのこと。Kindle Unlimitedや楽天マガジンが始まった直後の調査なのですが、思ったより低い利用率。なお、電子書籍で読むジャンルが “1位は「コミック・マンガ」で69.3%、2位「雑誌」(35.5%)、3位「小説・文芸書」(30.7%)” というのは納得。
加谷珪一の“いま”が分かるビジネス塾:「キンドル読み放題」は書店を街から消すのか (1/4) – ITmedia ビジネスオンライン ※2016年8月31日
結論は「書店が街から姿を消すのはまだ少し先になるだろう」と、タイトルを否定しています。理由は「経済的に余裕のあるシニア層が存在していることで、当分の間、購買力は維持できる可能性が高い」から。問題は、シニア層は老眼によって読むたくても読めなくなる点。人口の多い団塊世代がいま60代後半ですから、そろそろ本を読むのが辛くなるころだと思うのですが。
出版状況クロニクル100(2016年8月1日~8月31日) – 出版・読書メモランダム ※2016年9月1日
毎月楽しみな小田光雄さんの出版状況クロニクルがとうとう100回。月1回なので、足かけ8年4カ月です。すごい! しかし……
大手出版社の雑誌休刊はこれからも続くだろうし、それは「dマガジン」やアマゾン、楽天の「読み放題サービス」によって、さらに加速されていくだろう。
これはどうなんだろう? 「dマガジン」の売上によって救われている雑誌がいくつもある、という話を聞いているのですが。「近代出版流通システム」が壊れるから雑誌が休刊する、というロジックなのかしらん?
メディアドゥ、法人向け電子書籍サービス「bizbook」提供開始、社員教育と福利厚生をサポート -INTERNET Watch ※2016年9月2日
メディアドゥ公式アカウントによると「企業が社員の読書状況を管理することが可能」とのこと。社員に「課題図書」を提示し、読んでいる社員と読んでいない社員で査定に差がつく、みたいな運用が考えられますね。怖ッ!
Kindle Unlimitedのラインナップ変更は「日本への対応」不足が原因だ | プレタポルテ by 夜間飛行 ※2016年9月3日
西田宗千佳さんによる考察。
本来ならばアマゾンは、
・マンガなどの多い日本にあわせた読み放題のカウントの仕組み
・Kindle Unlimitedとそうでないものを分けた、わかりやすいランキング
などの仕組みを整えた上でサービスを開始すべきだった。
Kindle本の売れ筋ランキングを Kindle Unlimited 対応本&雑誌が埋め尽くしている様はなかなか壮観で、読み放題以外の本がランキング入りするハードルが相当高くなった、と感じています。そもそも、ランキング入り以外で売上を伸ばすのが難しい、という状況がよくないのですけどね。売れてる本をより売れるようにするだけだという。
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