売っていないものは買えません。電子出版市場の盛り上がりには、ラインアップ増が不可欠です。では、売上の4分の1が電子版となったコミックはどれくらい電子化されているのでしょうか? Amazon で出版社別に調べてみました。
全期間全ジャンルの調査記事はこちら。全ジャンル2012年以前の調査記事はこちら。
表に入る前に、以下のようなことを前提としたデータだということをあらかじめご了承ください。
まず、「電子化率」という言葉を使っていますが、Kindleストア向けの配信を抑制し他ストアには配信している可能性があります。また、例えば「幻冬舎コミックス」のように話単位に分割したイーシングル(短い電子書籍)を多く出している場合は「電子化率」という言葉があてはまりません。
また、トータルでの電子化率は36.2%という結果になっていますが、出版社なのに出版社一覧には載っていないケースがあるため本当はもう少し大きな数字になるはずです。Amazon の仕組みが悪いのか、データベースが悪いのか、出版社側が対応すべきことなのかは不明です。
「本」の点数上位で言えば、「学研」は「学研プラス」の名前で電子版を配信しているにもかかわらず、Kindleストアの出版社一覧には出てきません。「ゴマブックス」なども同様です。残念ながらキーワード検索では正確な点数がわからないため深掘り調査は行わず、ゼロではなく空欄にすることで対処させていただいてます。空欄レコードを除外すると、トータルでの電子化率は39.99%になりました。
その上で、電子化率40%未満は薄い赤、20%未満は少し濃い赤、60%以上は薄い緑、80%以上は少し濃い緑に塗っておきました。また、「電子書籍元年」と言われている2012以降に出版されたコミックとそれ以前を比較できるようにしてあります。だいたいの出版社は、2012年前後で電子化率が大きく違っていることがわかります。
※スマートフォンの方は、画面を横にしてください
※出版点数上位100位に絞りました
※読み放題対応の調査は省きました
※.xlsxファイルはこちら
[元データ:Amazonの「本:コミック・ラノベ・BL:コミック:詳細サーチ:出版社」、「Kindleストア:Kindle本:コミック:出版社」を2016年10月16日に抽出]
興味深いのは集英社。カラー版とモノクロ版を出しているぶん点数は上乗せされているはずですが、イマイチ電子化率が低いように見えます。「少年ジャンプ+」や「ジャンプBOOKストア!」とのラインアップを比較してみたいものです(大変そうなので言ってみただけです)。
「売っていないものは買えない」というのは、私がずっと前から言っていることですが、電子コミックはさすがに市場が大きくなってきただけあって、電子化はかなり進んでいる、ということが言えるでしょう。売上比率は電子化率と近しいと言ってもいいかも?