売っていないものは買えません。電子出版市場の盛り上がりには、ラインアップ増が不可欠です。では、2012年1月以降に発行された本はどれくらい電子化されているのでしょうか? Amazon で出版社別に調べてみました。
表に入る前に、以下のようなことを前提としたデータだということをあらかじめご了承ください。
まず、「電子化率」という言葉を使っていますが、Kindleストア向けの配信を抑制し他ストアには配信している可能性があります。また、例えば「朝日新聞社」のようにイーシングル(短い電子書籍)を多く出している場合は「電子化率」という言葉があてはまりません。
また、トータルでの電子化率は22.3%という結果になっていますが、出版社なのに出版社一覧には載っていないケースがあるため本当はもう少し大きな数字になるはずです。Amazon の仕組みが悪いのか、データベースが悪いのか、出版社側が対応すべきことなのかは不明です。
「本」の点数上位で言えば、「ゼンリン」「協同出版」などはKindleストア未配信のようですが、「学研」は「学研プラス」の名前で電子版を配信しているにもかかわらず、Kindleストアの出版社一覧には出てきません。「ゴマブックス」「マイナビ」なども同様です。
残念ながらキーワード検索では正確な点数がわからないため深掘り調査は行わず、ゼロではなく空欄にすることで対処させていただいてます。その上で、電子化率20%未満のレコードは薄い赤に、80%より大きいレコードは緑に塗っておきました。
出版点数が多いわりにKindle本が少ない出版社は、朝日新聞出版、NHK出版、主婦の友社、岩波書店、リクルート、河出書房新社、英俊社、ポプラ社、コスミック出版、ベースボール・マガジン社などです。また、Kindle本が空欄になっているレコードを除外すると、電子化率はトータルで32.7%になりました。
※スマートフォンの方は、画面を横にしてください
※出版点数上位500位に絞りましたが、まだ縦に長いです
※読み放題対応の調査は省きました
※.xlsxファイルはこちら
[元データ:Amazonの「本:詳細サーチ:出版社」、「Kindleストア:出版社」に &x-age=&field-dateyear=2012&field-datemod=1&field-dateop=after を付けて2016年10月16日に抽出]
表の前にも書いた通り、トータルで電子化率22.3%という結果はあくまで暫定で本当はもう少し多いはずですが、電子出版市場が紙の10分の1程度であることを踏まえると、まあこんなもんかなという気もします。
「売っていないものは買えない」というのは、私がずっと前から言っていることですが、それでも最近の本の電子化は以前に比べればそれなりに進んでいる、ということが言えるでしょう。