さきほど、楽天・三木谷会長兼社長による記者会見で、楽天Koboの詳細が発表されました。
端末が7,980円というのは衝撃的な安さです。が、肝心のサービス内容がかなりぼやかされていて、正直言ってかなり不安の残る会見でした。質疑応答がネットでは配信されなかったのも不満。
一番気になるのはここです。
利用にはインターネットに接続できるパソコンが必要?
PC動作環境:
※ご利用には、USBポート付きの、インターネットに接続できるパソコンが必要です。
[OS]
Windows7/Windows Vista /Windows XP (SP3)/
Mac OS X10.5 (Intel)もしくはそれ以上
Intel Pentium4(Windows)、Intel Core Duo(Mac)もしくはそれ以上
[メモリ]
1GB RAM、ハードディスクに200MB以上の空き容量(書籍データの保存に必要な文を除く)
1024×768以上のディスプレイ解像度
無線LANに対応しているのに、どうして利用にはパソコンが必要なのでしょう。
kobo Touchはワイヤレス機能搭載。Wi-fi経由で、いつでもどこにいても世界中たくさんの本から選ぶことができます。Kobo Touch以外の端末からでも、PCやスマートフォン、タブレットなどからkoboeブックストアにアクセスして、24時間電子ブックが購入できます。
「kobo Touchから購入できる」とは書いていないのがすごく気になります。すごく、嫌な予感がします。
[追記]
コメントで教えて頂きました。どうやら最初にパソコンへつなげて、アクティベーション(端末認証)をするようです。
最初だけ必要なのであれば、ボクの心配は杞憂ということになります。が、もしそれが本当なら、サイトに「最初だけ必要」と書いておいて欲しいと思います。
次に気になるのがここ。
日本語の本は3万冊、うち有料のものは2万冊
koboイーブックストアでは、日本語で約3万冊、日本語以外の言語も含めると240万以上のタイトルの電子ブックがラインナップ。いつでもどこでも読みたいときにダウンロードすることができます。
楽天Rabooのラインナップは4月10日時点のボクの調査では44,148冊ありました。これが約3万冊になってしまっています。しかも、有償なのは2万冊らしいのです。
楽天三木谷氏の電子書籍端末「コボタッチ」の会見。日本語の本は3万冊、そのうち無料のものが1万冊。有料のものは2万冊と発表。
— 赤田康和さん (@akadayasukazu) 7月 2, 2012
RabooはePUB以外の電子書籍も取り扱っていたので、恐らく変換がまだできていないということなのでしょう。会見で三木谷さんは「将来的には150万冊を目指す」なんて勇ましいことを言っていましたが、スタート時にこれはちょいと寂しいのでは。
あと気になるのはこの辺り。
iOS、Androidなど他デバイスにはいつ対応?
配信する電子書籍コンテンツは、Kobo社の電子ブックリーダーのほか、アプリケーションでiOS、Android OS、Windows OS、Mac OSを搭載したスマートフォンやタブレット、パソコンなどマルチプラットフォームで読むことができる。
会見では「近日対応予定」とだけ言っていて、いつから対応するのかは明確になっていません。kobo端末が無ければ使えない期間がどれだけあるか、それがKindleと比べてどうなのかによってkoboの命運が決まるでしょう。
他にも不明な点はいくつもあります。
Rabooの購入履歴はどうなるのか?
「Raboo」は長期的にはKoboのブランドに統合していく、という話はkoboを買収した時の会見でも言っていたことですが、今日の会見でもいつなにがどうなるかという具体的な話は無かったようです。
楽天ブックス(紙書籍通販)との連携はどうなるのか?
Rabooでは楽天ブックスで取り扱っている紙書籍と価格の比較ができるようになっていました。Amazon/Kindleはその辺り間違いなくシームレスになっていて、それこそ古本とも比較できるようになっているはずです。少なくとも新刊と比較ができないと、サービス的には劣ることになると思われます。
決済手段は?(子どもが使える?)
Rabooはクレジットカードまたは楽天スーパーポイント決済のみでした。ここがkoboでどうなるかが今のところ不明です。「BookLive!」の、毎月ポイントが自動チャージされる「月額ポイント購入」のような仕組みがあれば、決済手段を持たない子どもでも利用できていいのですが。
再ダウンロード期限は?
Rabooには一部出版社(講談社)に1年間の再ダウンロード期限がありました。そういうアホな制限がkoboでもあるのかどうか。
電子書籍そのものの販売価格はどうなる?
まあこの辺りは7月19日にストアがオープンすれば判ることですが、気になるツイートが。
コンテンツの販売価格は出版社が決めるのかという質問に対して、それは出版社との守秘義務があるので~と、三木谷社長明言を避けた。ふむふむ。
— 滝田誠一郎 さん (@takitaro) 7月 2, 2012
この辺りを曖昧にするということは、恐らく出版社主導の価格なんでしょう。
オンラインストレージサービスの対応は?
端末はPDFやJPEG・GIFフォーマットにも対応しているので、自炊したファイルも見られるようです。であるなら、オンラインストレージサービスにも対応していて欲しいですよね。内部ストレージは1GBですし、いちいちUSBやminiSDでデータを移すのも面倒です。
ここから少し余談。出版社の方々には朗報と思えるのが、こちら。
コボが海外で展開している個人出版サービスには、日本では当面対応しない、とのこと。それはオープンに反する。
— Munechika Nishidaさん (@mnishi41) 7月 2, 2012
楽天は出版社事業はやらない、と名言。棲み分け志向ですね。
— Munechika Nishidaさん (@mnishi41) 7月 2, 2012
(※名言→明言のタイプミスとのこと)
つまり、作家が直接楽天と契約を結び、中抜するような真似はできないようです。とても出版社に優しいスタンスですね。
正直言ってボクは、koboで驚いたのは端末の価格だけでした。1万円切ればいいところかな?と思っていたので、7,980円というのは凄い。でも、電子書籍サービスで大切なのは端末ではないのです。
さてこれらを受けて、Amazonがどう出るか。近日中にもあるだろうKindleのリリース内容に、果たしてサプライズはあるでしょうか。楽しみです。
[続き]※7/5追記
コメント
PCはアクティベーションに必要なようですよ。
http://blog.pasonatech.co.jp/kanazawa/17921.html
おおなるほど、ありがとうございます。パソコンへの接続が必要なは最初だけ、と思っておけばいいんですかね?