引き続きこの話題について。CDが売れなくなった理由について考察していこうと思います。
なお、前回のエントリーでは若干言葉が足らなかったのですが、ボクは「違法ダウンロードを容認しろ」と言いたいわけではありません。
音楽業界の代弁者であるエイベックス顧問の岸博幸さんによる以下のような主張が、間違っているのではないか?というのがボクの意見です。
ネットの普及と反比例する形で1998年以降音楽の売上が継続的に減少していること、2010年時点で違法ダウンロードは正規ダウンロードの10倍もあった(レコード協会調査)などの事実を踏まえると、やはり違法ダウンロードの蔓延が大きく影響していることは明らかです。
つまり、音楽業界は「CDが売れなくなったのは、違法ダウンロードが主要因である」という認識をしているわけです。そしてボクは「CDが売れなくなったのは、違法ダウンロードが主要因ではない」という意見です。全く影響が無いとは言いません。ただ、主要因は他にあると思うのです。
2ちゃんねるまとめブログに、興味深いエントリーが上がっていました。
匿名掲示板の利点として、自分の立場を気にせずにホンネが言えるというところがあります。まあ言ってみりゃ「好き勝手言いたい放題」なわけですが。
でもその「好き勝手言いたい放題」の中に、ボクが最も大きな要因だと思っていることが挙がっていないのが意外でした。それは「人口動態の変化」です。
音楽CDが最も売れたのは、1998年です。バブル崩壊から5年ほど遅れています。音楽業界の絶頂期がバブル崩壊後にやってきたのはなぜでしょうか?
こちらのグラフをご覧ください。
[出典] 独立行政法人統計センター 政府統計の総合窓口
- 大正9年~平成12年 から、CD売上ピークの1998年のデータを使用
- 2011年
1998年というのは、日本の人口で2番目のボリュームゾーンである「団塊ジュニア」世代が社会に出てバリバリ働くようになった頃です。音楽業界の絶頂期は、この世代が牽引していたものと推察します。
一般的に、学生には時間はたっぷりあるけどお金がない。働き始めると、時間は無いけどお金に余裕はできてきます。そして、お金が自由に使えるのは、結婚するまでの独身時代です。
つまり、人口の多い「団塊ジュニア」世代が結婚して子どもができて、自由に使えるお金が減っていくにつれ、趣味的要素である音楽CDに使われるお金も自然に減っていったというのが、CDが売れなくなった最も大きな要因だとボクは考えています。
なお、「団塊ジュニア」は、思春期にバブル経済絶頂期(1989~1992年)、大学生のころにバブルが崩壊して「就職氷河期」の直撃を最初に食らった世代です。いわゆる「ロストジェネレーション」の最初の世代でもあります。
本来なら、「団塊ジュニア」の子どもたちが、次の人口ボリュームゾーンを形成しているはずです。が、不景気と将来に対する不安から「結婚・出産どころじゃねぇ!」という心境に追い込まれ、出生率はどんどん落ち込んでしまいました。
他にも様々な要因はあると思います。例えば、携帯電話の普及は1990年代後半からです。これも「団塊ジュニア」が働き始めた頃と重なります。携帯電話は必需品となり、毎月固定で通信費が別途かかるようになり、趣味に使えるお金が減りました。
「音楽」は娯楽の一種です。自由に使えるお金が少なくなれば、娯楽から削るのは当然のことではないでしょうか?