この記事の反省のために、記録を残しておきます。
改めて自分の Twilog を検索してみたんですが、「ニコニ・コモンズ」クリエイター奨励プログラムの問題について、ボクが最初に認知したのはたぶんこの時点。リリースされてから1ヶ月くらいは経ってますね。
.@ocncn1800 さんの「貴方の絵が危ない・ニコニコ動画「ニコニ・コモンズ」と「クリエイター奨励プログラム」の被害とその反響」をお気に入りにしました。 togetter.com/li/242366
— 鷹野 凌さん (@ryou_takano) 1月 16, 2012
自分でイラスト描くわけじゃないんで、ニコニ・コモンズに対する関心が薄かったんですよね。で、問題を認知してからは、これは記事にしてもっと広く問題の認知を図るべきだろうなーと思いました。メディアには、そういう観点から記事を書いてる所が無いし。
関連まとめなどはだいたい追ってたんですよ。でも自分で記事にするにあたって、自分の目で調べて自分の頭でちゃんと考えなきゃダメだと思った。で、このツイート以降、考えをつらつら書き始めた。
頭を整理していてふと気がついた。ニコニ・コモンズって要するに、昔からよくある”フリー素材集”じゃないか。ポイントはそれが自己申告による登録型になっている点と、クリエイター奨励プログラムという形でお金が還元される点か。簡単に言えば”盗作でお金を騙し取れる可能性がある”と。
— 鷹野 凌さん (@ryou_takano) 1月 27, 2012
振り返って思えば、自分が問題を認知するのが既に遅れてるのだから、「自分の頭で」なんて妙なこと考えずに、関連まとめを改めてじっくり読んで参考にすればよかったんですよ。いや、自分の頭で書いた初期稿の段階で、比較してみるのがよかったかも。
で、ツイートしながら考えをまとめていてミスったのは「まずサービス提供者である運営が、責任を持って著作権侵害かどうかのチェックを行うのが筋」というところを外してしまったこと。親告罪なんだから、権利者が判断するしかないよね?という所に思考が固まってしまった。
過去5年間を考えれば、どう考えても「運営のチェック」は期待できないから、自分たちで自分の身を守るしかないんじゃないか?と。
あーなんか見えてきた。ニワンゴの運営がちゃんとチェックしてくれる”はずがない”とみんなが思ってるから、騒ぎになっているわけだ。
— 鷹野 凌さん (@ryou_takano) 1月 27, 2012
はっきり言って、企業の体質や方針が簡単に変わることは無いです。今までが野放しなら、今後も野放しでしょう。ただ、問題提起する側が「まずサービス提供者である運営が、責任を持って著作権侵害かどうかのチェックを行うのが筋」という原則を外してはいけなかった。
「まずサービス提供者である運営が、責任を持って著作権侵害かどうかのチェックを行うのが筋」という原則を外しちゃったので、完全に思考が次善の策になってるんですよね。その辺りが「運営寄り」と受け止められてしまった理由なのだと思います。
原則を外しちゃったから、こういう思考になってる。
第三者ができることは、”原作者への通報”だけだと思うよ。そして原作者がそれで動かないなら、それは”黙認”されているということ。
— 鷹野 凌さん (@ryou_takano) 1月 27, 2012
「匿名掲示板から生まれたキャラクター」の件も思考が次善策になってる。現実的に考えた時に、悪意の第三者が「のまネコ」みたいなことをやった際に、強行されたら守れない(すくなくともボクには思い浮かばない)です。「のまネコ」が守れたのは奇跡ですよ、マジで。
もちろん戦った当事者の方々の努力があったからでしょうけど、販売を強行しようと思えばできたと思うんですよね。「消費者の反発」というのがあそこまで盛り上がったから止まった。逆に言えば、あのくらい盛り上がらないと止まらないということなんです。
この辺りではもう完全に思考が「次善の策」になっている。「問題の認知」を図って「ユーザーの声」をもっと大きくすることを目的にするなら、ユーザー寄りのスタンスで考えなきゃダメだよね。
現実的に考えると、運営に対し善意の第三者が著作権違反の通報ができないなら、オリジナル作品の著作者に通報するしかないよね。著作者自身が監視する必要はない。通報のための窓口をオープンにしておくことと、どこまでなら許すかという線引きを自分の中で明確にしておくこと、かな。
— 鷹野 凌さん (@ryou_takano) 1月 27, 2012
で翌朝、このツイートに北久保さんからいっぱいリプライが届いていた。
「フェアユース」についてもう少し頭を切り替えて考えられればよかったんですが、ここでも思考は「日本の現状」だった。
日本は“フェアユース”の考えがない代わりに、親告罪だからオリジナル作品の著作権者の裁量に任されているわけだよね。コミケで「みんな大人だから目を瞑って」るわけじゃなくて、著作権者であるGAINAXが黙認してくれているだけの話。
— 鷹野 凌さん (@ryou_takano) 1月 27, 2012
次の失敗。著作権=財産権+著作者人格権なのに、問題を財産権だけに矮小化した。要するに「二次利用」は大した問題じゃないと考えてしまった。
“ニワンゴが信用されてない”っていう話は昨日もしてたんだけど twitter.com/#!/ryou_takano… 著作権者が”許容できない”と感じるポイントって(当然人によって違うだろうけど)、要するにクリエイター奨励プログラムでお金が入るっていう部分だよね?
— 鷹野 凌さん (@ryou_takano) 1月 27, 2012
次の失敗。 @ultimate_q4500 さんから絡まれた時に、何に怒っているのか冷静になって考えられなかった。翌日気がついたんですが「カオスラウンジ問題」のまとめをいくつか作ってる方ですよね。「無断の二次利用」の惨状はボクも見ていたのに、二つの問題を結び付けられなかった。
いきなり知らない人から「なめとんかコラぁ!」と言われると、冷静なつもりでも思考には確実にバイアスが入りますね。続けて「金の大小が問題じゃない」=無断の二次利用に怒っているんだという指摘を貰っているのに、もう頭が切り替えられなかった。
で、そのままの勢いで記事を書き上げてしまったと。
この段階で、自分のブログだけだったらそれほど問題にはなっていないのでしょうけど、そのままの勢いでAニュースに載せてしまった。またそれが承認されガジェ通に載ることになってしまった。
とにかくスピードが命というニュースならともかく、問題を分析してしっかりしたレポートにするような記事を、ろくすっぽ推敲もせず急いでアップしてしまったのがいけなかった。まあ、記事に書く手前から「原則」を疎かにしているので、一晩寝かせてもあまり変わらなかったかもしれませんが。
で翌日、自分の意識は「ユーザーのためになる問題提起ができた!」なので、逆にニワンゴ側の視点で考えてみた。
ニコニコ動画クリエイター奨励プログラムの可能性と問題点 getnews.jp/archives/165105 これ実際どのくらい儲かってんだろ
— 煮物ドゥードゥーあべしボップボップボップさん (@nimonomo) 1月 29, 2012
そう、クリエイター奨励プログラムを事業として客観的に考えた時に、ニワンゴの収益源があまり無いんですよ、これ。プレミアム会員じゃなきゃ登録できないっていうのはありますけど、これがプレミアム化への動機になって会員が増えるとは思えないし。
— 鷹野 凌さん (@ryou_takano) 1月 29, 2012
他にあるとしたらGoogleアドセンスとPayPalの広告くらい? 奨励金による出費が恐らく月1,000万円くらいあるのに、よくこの事業にGoを出す気になったなーと思いますよ。
— 鷹野 凌さん (@ryou_takano) 1月 29, 2012
実態としては「原則」が疎かになった時点で既に結構ニワンゴ寄りなのに、更にニワンゴ寄りの発言をしてしまったということですね。そりゃ怒られる。今になって考えれば判る。
昨日の昼頃リプライが殺到し始めた時には「なんで『ユーザーのために』書いた記事でこんなに責められなきゃいけないんだ?報われないなー」って考えてました。ユーザー寄りではない記事になっちゃってたのにね。
で、夕方木野瀬さんからリプライを貰い運営側の生の声を聞くのと同時に @kinky12x08 さんのこのツイートを見て、自分が「原則」を疎かにしていたことにようやく気づいた、と。
著作権や権利者の黙認うんぬんなんて引き合いに出すまでもなく、ニコニ・コモンズの利用規約によって著作権侵害は禁止事項と定められています。たとえ第三者からの申し立てであったとしても、権利侵害の実態が明らかになった場合、運営は規約に則ってアカウントの削除等の対応を取らねばなりません。
— 本物川さん (@kinky12x08) 1月 29, 2012
決定打は木野瀬さんのこのツイート。「おいおいちょっと待て、4月まで放置するつもりかよ」と。それは許さん、とボクの中に火がつきました。ボッ。
@ryou_takano ええ。対応に負担を感じている著作者から意見を聞きたいところ。4月以降にはそういう著作者がもっと出てきそう。
— Tomohito Kinoseさん (@kinoppix) 1月 29, 2012
木野瀬さんのこのツイートも火に油でした。「著作者ではない人の声が大きい状態」ではないだろ!と。
@ryou_takano 鷹野さんも認識していると思いますが、いまは著作者ではない人の声が大きい状態。もっと広範囲で議論してもらいたいものです。そこについてはこのツイートに賛成。 twitter.com/#!/ryou_takano…
— Tomohito Kinoseさん (@kinoppix) 1月 29, 2012
で、ふと我に返る。自分の記事、ダメダメじゃん。
自分の態度、ダメダメじゃん。
みんなに謝らなきゃ。
記事も書きなおさなきゃ。
……というのが27日に始まり昨夜までの顛末でした。