月間アクティブユーザー数が1億人を突破したGoogle+が敗北?

http://blogs.msdn.com/b/jw_on_tech/archive/2012/03/13/why-i-left-google.aspx

Why I left Google – JW on Tech – Site Home – MSDN Blogs

日本語訳版:僕がグーグルを辞めた理由:Why I left Google @docjamesw

3年前にMicrosoftを辞めGoogleに入社して、つい最近まで開発ディレクターとしてGoogle+を担当していたJames Whittakerさんが、Microsoftに戻り、Googleを辞めた理由をブログに綴りました。この James Whittakerさんが述べていることを根拠として「Google+は敗北した」といった論説を展開する人々を多く目にします。ボクはこの風潮に逆らおうと思います。

日本語訳の記事から引用させて頂きます。

グーグルは言うなれば金持ちのボンだ。自分だけパーティーに招かれてないとわかって、仕返しに自分もパーティー開いて対抗したんだけど、誰もグーグルのパーティーには来なかった。誰も来なかったことは部屋に象が1頭いるぐらい誰の目にも明らかなことだ。誰も言わないだけで。

これは、Google+を利用しているユーザーに対し失礼な言い方だと思います。パーティーに参加して楽しんでいるのに、いない人扱いされているわけですから。ボクは、辞めた会社の悪口を言う人は信用しません。どこへ行っても同じように、悪口を言うのだろうなと思うからです。せめてこの引用部分が無ければ、ただの批判として受け止めることもできたのですが。

また、多くのGoogle+批判者が勘違いしていることがあります。FacebookとGoogle+は「インターネット上のサービス」や「ソーシャルネットワークサービス」という分類までは同じですが、その性質は全く別のものなのです。それは、人のつながり方が違うからです。

Facebookは、「友だち」になるためには相互承認が必要です。それに対し、Google+で「サークル」へ入れる行為に相手の許可はいりません。これはTwitterのフォローと同じです。つまり、Google+の性質はFacebookではなく、どちらかといえばTwitterに近いのです。

相互承認が必要なソーシャルネットワークといえば、日本ならmixiです。Facebookとmixiの性質はよく似ています。元より顔見知りだった人と、ネットワーク上でもつながることができるというところがFacebookとmixiの本質だとボクは思います。どちらも、無差別に「友だち」リクエストを送る人は嫌われます。見知らぬ人には見せたくない情報が、「友だち」になることで筒抜けになってしまうからです。

逆にTwitterやGoogle+は、見知らぬ人とも気軽につながることができます。フォローされたらフォロー返しする――といった行為は義務ではありません。勝手にフォローできるし、見たくない情報発信者なら勝手にリムーブできます。そこに相手の意思は必要ありません。

「Twitterのタイムラインを作るのは自分自身である」――これはGoogle+にも当てはまる言葉です。ストリームに投稿が流れず閑散としているのは、たまたまあなたがサークルに入れている人が情報発信をしていないだけで、あなたが見ていない所では活発なコミュニケーションが行われています。自分の観測範囲だけで、全体を判断するのは早計です。

Twitterは原則として、全ての投稿が公開です。「ツイートを非公開にする」設定にしている人は少数派なので、その気になればその人の過去発言や、誰をフォローしているかなどの全てを把握することができます。それに対しGoogle+は、投稿するたびに自分の意思で公開範囲が選べます。Google+のストリームを流れる投稿は、実は限定公開がかなり多いです。Googleの発表によれば、投稿の3分の2は限定公開です。つまり、人のつながり方はゆるやかですが、情報を公開するしないの制御も自分の意思で決められるのがGoogle+なのです。

投稿の多い少ないは人によるので一概には言えませんが、ボクの場合Twitterは500人くらいフォローした状態のタイムラインが程良く流れて快適でした。Google+は現在1500人くらいサークルに入れていますが、ストリームは程良く流れて快適です。ちなみにボクは、2012年になってからGoogle+へ投稿していない人はサークルから外していますので、1500人の大半はアクティブユーザーです。

うちのティーンの娘ですらGoogle+は2度は見ようとしなかった。「ソーシャルはプロダクトじゃないんだよ」―僕のデモを見終わると娘はこう言った。「 ソーシャルは人。で、人はFacebookにいるの」。

これはよく判ります。娘さんがFacebookを使うのは、友だちがGoogle+ではなくFacebookにいるからであり、Google+のシステムが悪いから使わないのではないのです。もし仮に友だちがみんなGoogle+にいたら、Facebookには見向きもせずGoogle+に没頭するでしょう。先行しているサービスはどれだけシステムが酷くても、そこに人がいるというだけで優位なのです。

ではGoogle+に人はいないのでしょうか?

「Facebookに比べるとGoogle+はまるでゴーストタウン」といった論調の報道が流れるたびにボクは憤慨していますが、ボクの見ているストリームがゴーストタウンだったことなど一度もありません。常にアクティブに誰かが情報発信し、またボクの発信する情報には頻繁にコメントや+1が付く場所です。

これは All my plus というサービスを使った、ボクの一般公開投稿の分析結果(3/25現在)です。+1の集計は壊れているようで、カウントされていません。分析にはちょっと時間がかかるので、画面キャプチャを貼らせて頂きます。一般公開投稿1,909件に対し、コメントが6,321件、1投稿あたり3.31件のコメントが付いているということです。ボクは大半の投稿を一般公開にしていますので、この分析結果はかなり実態に近い数字になっています。ただ、自分のコメント(コメントへの返信)もカウントされているので、それを割り引くと1投稿あたり2コメントくらいですかね。

Googleはつい先日、Google+の月間アクティブユーザー数が全世界で1億人を突破したと発表しました。Twitterのアクティブユーザー数が1億人を突破したのは去年の9月――サービス開始から5年かかっています。Facebookのアクティブユーザー数が1億人を突破したのは2008年8月――サービス開始から4年かかっています。Google+はサービス開始からまだ9ヶ月しか経っていないのに、1億人を突破したのです。しかも後発のサービスで。これは驚異的な数字です。

数字で単純に比較すれば明らかではないでしょうか。なぜ、あたかもGoogle+が利用されていないかのような、人がほとんどいないかのような印象操作を報道が繰り返されるのでしょう。以前にも書きましたが、一つ忘れてはならない報道があります――Facebookは代理店を通じて、メディアやブロガーに Googleの批判記事を書くよう依頼していました。この件はなぜか日本では大きな騒ぎになっていませんし、その後もGoogleを批判する記事は書かれ続けています。

磯崎哲也さんがGoogle+で面白いことを言ってました。

財務的に見てもGoogle:Facebookの戦力→10:1くらいなので、長期的には包囲されてジリジリ追いつめられる公算大。

なるほど、判官びいき的な所というのはあるのでしょうね。巨大なGoogle帝国に挑んでいる若くて勢いのある経営者という構図だから、とにかくGoogleを叩いてしまえというような風潮になっているのかもしれません。正義が勝つのではなく、勝った方が正義なんでしょうけど、姑息な手を使う企業をボクは応援したくないですね。

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