電子書籍ストアレビュー「パブー」

第9回目は、「パブー」です。

http://p.booklog.jp/

実は今日、佐々木俊尚さんがここで「『当事者』の時代」の販売を始めるという投稿をしていたのを見て、レビューをすることにしました。少し他の電子書籍ストアとは系統が違うので、同じ土俵で比較するのは難しいのですが、とてもユニークなサービスです。

New community features for Google Chat and an update on Currents
Note:  This blog post outlines upcoming changes to Google Currents for Workspace users. For information on the previous deprecation of Googl...

ちなみに「『当事者』の時代」は光文社新書から1ヶ月前に発行済み(998円)ですが、「パブー」版ではさらに加筆を加えて490円という思い切ったことをやっています。

「当事者」の時代 (光文社新書)

「当事者」の時代 (光文社新書)

posted with amazlet at 12.04.16

佐々木 俊尚

光文社 (2012-03-16)

売り上げランキング: 278

「パブー」は、Web本棚サービスの「ブクログ」や、ホスティングサービスの「ロリポップ!」や、ブログサービス「ジュゲム」や、「ザ・インタビューズ」などと同じ、株式会社paperboy&co.が運営しています。ボクの勉強不足で、会社の名前を見てもパッと判らなかったのですが、他のサービス名を見ると「ああなるほど、コレをやってる会社なのか」という感じですね。

http://booklog.jp/

「ブクログ」と「パブー」は連携しているので、「パブー」で購入した電子書籍のレビューを「ブクログ」に投稿することができます。これ、他の電子書籍ストアで購入した書籍も、同じことができると面白いんでしょうが……残念ながら対応はしていません。

ここは「電子書籍作成・販売プラットフォーム」として、誰でも電子書籍の作成・販売ができるというのが特徴になっています。アマチュアが無料で公開している作品もあれば、プロ作家が有料で販売している作品もあるという、ある意味カオスな場所です。

このエントリーではあくまで「ストア」としてレビューさせて頂きます。

レビューはこちらの記事の

・ラインナップが充実していること

・読みたい本を簡単に探せること

・簡単に買えること

・いつでもどこでも簡単に読めること

・いつまでも保管できること

という5つの要素に基づいて行わせて頂きます。

※このレビューは投稿時点でのサービス内容に基づいています。

ラインナップは充実しているか?

サイトの右上に、作品数が表示されています。現時点で23,080冊です。ただしここには、他の電子書籍ストアでラインナップされているような「出版社が発行している出版物」は、ほとんどありません。「ブラックジャックによろしく」のように、過去出版社で発行していた作品はありますが、そういうのはむしろ例外と言っていいでしょう。

つまり、作家自身が既存の流通網を介さず販売するための場所であり、既存の電子書籍ストアよりも「Gumroad」や「loftwork」や「Synapse」といった「マイクロペイメント」に分類した方がいいかもしれません。販売手数料は3割と、他のサービスより若干高めですが、「ブクログ」と連携している点が強みですかね。元々集客力がある「場」というわけです。

そういう場だから、佐藤秀峰さんや、佐々木俊尚さんや、内田春菊さんや、桜野みねねさんがいたり、講談社が「BOX-AiR」を売ってたりする横で、アマチュア作家が自分の作品を無料公開してたりするわけです。ユニークですね。

ジャンル 冊数
小説・ノンフィクション 13,556
趣味・生活・芸術 5,682
ビジネス・教育・社会 1,906
コミック 1,939

(※2012年4月16日現在)

それぞれのジャンルは更に細かく分類されていますが、種類が多いので割愛させて頂きます。

なお、利用規約第7条3に

ユーザーは、当社に対し、本サービスを利用して投稿したテキスト、画像等が第三者の著作権等一切の権利を害していないことを保証することとします。万一、第三者との間で何らかの紛争が発生した場合には、ユーザーの責任と費用において問題を解決するものとし、当社に対して何等の損害を与えないものとします。

と定められているので、規約上一次著作権者の許諾を得ていない二次創作同人誌は販売できないことになっています。ただ、人気アニメのタイトルで検索すると若干登録があったりするので、どこまでチェックしているかは判りません。

読みたい本を簡単に探せるか?

サイトデザインは1カラムです。

トップページにはどーんとお知らせが表示されていて、その下に検索絞込み、「おすすめピックアップ」「最近売れた本」「人気本」「新着本」がずらりと並んでいます。マウスオーバーで、その書籍の概要が表示されるようにもなっています。

カテゴリはプルダウンから選択するようになっており、それぞれの「総合」「週間」「販売順」「新着順」での表示と、「無料」「有料」絞込み、「完成」「連載中」絞込みができます。キーワード検索は、サジェスト機能がありません。タグもありますが、ユーザーが登録するものではありません。

試し読みは、作家がどこまで公開しているか次第です。中には全文を試し読みで公開している人もいます。

なおSNSの共有は、Twitter・Facebookいいね!・mixiチェック・はてなブックマーク・ログピに対応しています。お約束ですが+1に対応して下さい

簡単に買えるか?

例によって会員登録が必要ですが、「ブクログ」会員の場合同じIDでログインできます。また、TwitterまたはFacebookのアカウントを持っていれば、クリックだけで登録完了できます。こういう簡便さは、他の電子書籍ストアも見習って欲しいと思います。ただ、会員登録をしないとカートに入れられないのは、少々残念。

決済は基本的にクレジットカードで、VISA、Master、JCB、AmericanExpressに対応しています。海外発行のものは利用はできません。ただし「おさいぽ!」に登録すれば、銀行振込・コンビニ決済・WebMoney・ゆうちょ振替と、PayPal決済が利用できます。PayPalなら海外発行のクレジットカードでも大丈夫です。

クレジットカード決済の場合、初回購入時にクレジットカード番号と、氏名・電話番号を登録する形になります。

ちなみに3Dセキュア認証に登録されているカードの場合、引き続き3Dセキュアのパスワード入力が必要になります。

いつでもどこでも簡単に読めるか?

パソコンはもちろん、iPhone・iPad・Android、Kindle・SonyReader・GALAPAGOSなどの電子書籍リーダーまで、PDFかePUBに対応しているリーダーさえあれば何でも閲覧可能です。

よくある質問から引用します。

パブーでは、現在のところ、インターネットに接続しないと閲覧できないといったことや、ファイルを保有した閲覧デバイスでのみでしか見ることができないという状況の発生と、購入されたお客様の利便性を考慮した上で、DRM(Digital Rights Management)などによる技術的な閲覧制限には対応しないという方針をとっております。

だとすると逆に、不正配布で作家側が困るのでは、と思うのですが、そこはうまくできています。

なお、プロ版では、PDF、ePubファイルのダウンロード時に、自動で購入者のメールアドレスがダウンロードしたファイルに埋め込まれ、再配布の抑制をおこなうことが可能です。

プロ版は月額525円(今はお試し価格315円)です。ここを使って「商売」をしようと思ったら、毎月決まった場代も払わなければならない、ということのようですね。もちろんDRMフリーでメールアドレス埋め込みも無い形でも、必ず不正をされると決まったわけではないですが……。

いつまでも保管できるか?

再ダウンロード期限は無いので、作者が公開停止しない限り(パブーのサービスが終了しない限り)大丈夫です。


結論

そもそもラインナップが全く違うので、他の一般的な電子書籍ストアとの比較はできませんね。やはり、誰でもデータ販売ができる「マイクロペイメント」のサービスとして捉えるべきでしょう。ただ、他の一般的な電子書籍ストアと全く遜色ない(というかむしろ優れている)サービスになっているというのは特筆すべきことだと思います。

残念ポイントは、「パブー」で購入しても自動的に「ブクログ」の本棚へ登録されないこと。また、「パブー」から直接「ブクログ」の本棚へ登録する方法がないこと。「ブクログ」側のページに飛んでから、手動で登録しなければならない仕様になっています。なんでやねん。

せっかく連携しているのに、なんか非常にもったいない気がします。「ブクログ」からの導線は、しっかり用意されているんですけど……。

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