「海外からの配信に消費税・政府税調方針と緊急集会」「note」「本屋大賞」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #112(2014年4月7日~13日)

Nexus7のhonto

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「海外からの配信に消費税・政府税調方針と緊急集会」「note」「本屋大賞」などが話題になっていました。

音楽、電子書籍 海外からの配信に消費税、来年度にも 政府税調 (1/2) – ITmedia ニュース ※2014年4月7日

政府税調が腰を上げました。これに関連して、4月10日に電流協主催の緊急集会が行われました。ウェブ広告の方が額として大きいので、賛同する団体は出版・音楽以外にも広がっています。果たしてうまくいくのかどうか……。

個人クリエイター向けプラットフォーム「note」 テキストや写真、任意の価格で有料販売も – ITmedia ニュース ※2014年4月7日

観測範囲の問題かもしれませんが、「Gumroad」の登場時や、pixivの「BOOTH」などが出た時より盛り上がってる感があります。ボクはちょっと厳し目のことを書きましたけど、まだ始まったばかりなのも事実。これからいろいろ発達していくことでしょう。加藤さんが、こんな改修予定があるというのを公表しています。

電子書籍の「出版権」、信頼関係の構築重要:朝日新聞デジタル ※2014年4月8日

順番が違う。信頼関係は結果として醸成されるものです。著者と出版社の関係はビジネスですから、重要なのは何よりまず契約条件です。

Amazon、Google、Appleに「いいところ取り」されないようにするには、出版社が著者に対し「ウチで出すことは、こういうメリットがある」ということを明確化し、きっちり理解してもらうことでしょう。メリットがないなら、そりゃ他に流れますよ。それを変に法律で縛ろうとする(一体化論)から、余計に不信感を招いているのだと思うのですが。

セルフパブリッシング作家に打撃? Amazon Kindleストアで希望小売価格99円が設定できなくなったワケ | ダ・ヴィンチニュース ※2014年4月8日

自分の書いた記事ですがピックアップ。他社はチャンスだと思うのですが。Kobo WritingLife 日本語版マダー?

アメリカの電子書籍、“ブーム”は終了 « マガジン航[kɔː] ※2014年4月8日

大原ケイさんのブログ記事 に加筆修正したバージョン。元記事は、観測範囲でもかなり否定的に捉えている人が多く、炎上していました。わざわざ「”ブーム”は終了」とダブルクオーテーションで囲ってある意味が理解されなかったみたい。

ブームが終わったからといって、萎んで消えてしまうわけではなく、定着した、安定成長期に入ったという意味なんですよね。マガジン航の記事では、その辺りが加筆されています。

クラウドソーシングで翻訳:翻訳した電子書籍を販売するプラットフォーム型サービス「BUYMA Books」がスタート – ITmedia eBook USER ※2014年4月8日

昨年末に第一報のあった「BUYMA Books」がいよいよスタートです。当時のまとめにも書いたとおり、運営会社のエニグモは2009年に無許可の雑誌スキャンデータ販売サービス「コルシカ 」をやろうとし、出版社から抗議を受け中止している会社です。さてどうなるか。

「著作物を登録する」ときに、それが著作権者のものなのかどうかをちゃんとチェックするフローはあるのかな? もしないと、自分の本が知らないうちに勝手に翻訳されてたなんてことがあり得るかも。

2014年本屋大賞、大賞は和田竜『村上海賊の娘』 – ITmedia eBook USER ※2014年4月8日

『村上海賊の娘』はまだ電子化されていません。2012年本屋大賞受賞作『舟を編む』が2年越しでようやく電子化されるので、『村上海賊の娘』も2年後かな? という皮肉記事を書きました。

BOOK☆WALKERが楽天の決済サービス「楽天あんしん支払いサービス」に対応 – ITmedia eBook USER ※2014年4月9日

これはびっくり。他に対応しているのは、恐らくフィーチャーフォン時代からの流れで「まんが王国(menue)」「コミなび(メディアドゥ)」「アクセスBOOKS(エキスプレス・コンテンツバンク)」と、版元直営系「白泉社e-net!」くらい。BOOK☆WALKERもKADOKAWA直営だから、こういう提携が可能なのかもしれません。次は本棚連携かな?

「フィギュアは児童ポルノではない」 ブログ削除騒動めぐって抗議署名をGMOメディアに提出 – ねとらぼ ※2014年4月9日

ブログサービスの削除騒動、広義の出版という意味で取り上げておきます。「児童ポルノ」扱いをしたのはどうやらGMOの広告主らしく、営利企業であればスポンサーの意向には逆らえないわけで。謝罪はあったのですが、削除方針に変わりはないようです。むむむ。

[検証レポート/全プロセス掲載]要望の多い「Word」でKindleストア向けの電子書籍は作成できるか? | eBook Strategy Magazine ※2014年4月10日

[検証レポートの追加]「Word」で日本語縦書きのMobiファイルは問題なし | eBook Strategy Magazine ※2014年4月10日

頑張ってHTMLに書き出しするより、Wordのままアップロードした方がよかった、ということになるのでしょうか。KDPのマニュアルで一太郎に触れていないのは、確かにもったいないですよね。

hon.jp DayWatch – BookLive、ネットカフェ大手「自遊空間」とサービス連携、まずクーポンアプリにコミック立ち読みコーナーを設置 ※2014年4月10日

実店舗との提携がどんどん進んでいますね。実際に使ってみるとイメージが変わる人も多いと思うので、いまはとにかく接触頻度を上げることだと思います。

LINE マンガ、ライトノベル作品の提供を開始 – ITmedia eBook USER ※2014年4月10日

あまり目立ちませんが、地味に大きい動き。なにしろアプリのダウンロード数が500万件ですから。

セルシスの電子書籍ビューワ「BS Reader for Browser」がソフトバンクの「スマートブックストア」に採用 – ITmedia eBook USER ※2014年4月11日

ブラウザビューワはボイジャー(BinB)、アクセス(PUBLUS)、セルシス、シャープの四つ巴戦争になっています。ところで、シャープは3月から「GALAPAGOS STORE」でブラウザビューワを展開開始する予定だったはずなのですが……。

スマホ小説で独自の発展を遂げる『エブリスタ』…池上社長が語る”いま”と”次の一手” | Social Game Info ※2014年4月11日

ちょっと意外だったのが、ユーザー層について。

フィーチャーフォンメインだった頃の一般的なケータイ小説サイトですと、10代の女性ユーザーが大多数を占めたものですが、当社ですと10代が28%にとどまり、20代が35%、30代以上が37%と年齢構成が高めになっています。ユーザーの男女比も大きく異なり、男性46%、女性54%で、男性比率が高い点も特徴といえます。

年齢層はボリュームゾーンが「ケータイ小説」時代のまま齢を重ねてるという感じだと思うのですが、男女比がこれほど近いとは。びっくりしました。

マンガを実況する時代「Dモーニング」の新バージョンに電子書籍の未来を見た(エキサイトレビュー) – エキサイトニュース(1/2) ※2014年4月11日

ついに公式で、任意の箇所を切り取ってSNSへ流せる機能が追加されました。

「マンガボックス」のセミナー記事にもあるように、Webマンガやマンガアプリを「認知メディア」として捉えるなら、とにかく人の目に触れる機会を増やしたほうがいいのです。勝手にキャプチャされて勝手に流されるより、公式で用意したほうがコントロールできるわけで。上のウィジェットみたいに、ハッシュタグによるチェックも可能です。これはモーニングの「単行本販売」に好影響を与えると思います。

海外からのネット配信に消費税を 出版業界など緊急集会:朝日新聞デジタル ※2014年4月10日

この集会、ボクも行ってきて、記者会見まで出ています。

紀伊国屋書店の高井昌史社長は(中略)来年10月に予定される10%への増税時に税制改正がなければ、自社の電子書籍事業を打ち切る可能性を示唆した

実際そう言ってましたねぇ……政府税調が「やる」って言ってるから、安心して吹いちゃったのかもしれませんが、イメージダウンは避けられないと思います。あーあ。

ところで、紀伊國屋書店ウェブストアで「月刊群雛」を検索しても結果に表示されなくなってしまったのですが、これはいったい。

紀伊國屋書店ウェブストアで群雛が検索できない

配信済みの2月号4月号(なぜか3月号だけ出ていない)のページはちゃんと残っているのに、検索に引っかからなくなってしまったという。なぜだろう?

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