気になるニュースまとめ #10(2012年10月1日~10月7日)

(※写真:写真素材 足成より)

「知的財産権」「電子書籍」「IT技術」の3つの分野に関して、ボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。毎週月曜配信。

知的財産権

「初音ミク」現象が拓く“共感”力の新世界――伊藤博之・石川康晴・猪子寿之 特別対談(1) | インタビュー | 投資・経済・ビジネスの東洋経済オンライン

対談の内容はとても良いのに、記者が書いた冒頭の一文で台無し。

 「どうせ、オタクが好きなアニメキャラだろ」という程度の認識しかないアナタ、最新トレンドから完全に取り残されている。

東洋経済の読者層へ向けた言葉なんでしょうけどね……。

大手出版社を離れて設立:作家のエージェント会社「コルク」――安野モヨコ、小山宙哉、伊坂幸太郎さんら賛同 – 電子書籍情報が満載! eBook USER ※2012年10月1日

ついに日本でもこういう動きが! 東京国際ブックフェアシンポジウム「電子書籍時代に出版社は必要か?」でも話題に挙がっていた、「出版社」という組織が必要なのではなく「編集」という機能が必要なのだ、という話が現実のものになりつつあるということだと思います。

YouTube、権利者の動画を識別する「コンテンツID」、ミラーイメージも逃さず -INTERNET Watch ※2012年10月4日

左右反転やピッチ・アスペクト比・再生速度変更といった加工を施すと、コンテンツIDのチェックをくぐり抜けてしまうという話は聞いたことがありました。検出精度が上がり、柔軟な運用も可能になったというニュース。一番気になるのはここ。

これまでにコンテンツIDで識別され、権利者の申し立てを受けた動画は2億件以上。そのうちマネタイズが選択された動画が3分の1以上を占めるという。Googleでは当初、ブロックを選択するパートナーが多いと見込んでいたが、特に米国ではマネタイズが非常に多く、大手スタジオやレコードレーベルなどの収益源になっているとしている。

どの程度の収益になってるんでしょうね。この辺りがうまく仕組みとして回るようになると、「勝手にアップロードされて稼ぎが減ってしまう」という悩みが、「勝手にプロモーションして稼いでくれる」に180度転換するようになると思うのですが。

オラクル、「Java APIを著作権の対象と認めず」判決を不服とし上訴へ–対グーグル訴訟 – CNET Japan ※2012年10月5日

あらら、この係争続いちゃいますか……。

米国出版社協会(AAP)とGoogleが図書館資料デジタル化プロジェクトに係る著作権侵害訴訟で和解 | カレントアウェアネス・ポータル ※2012年10月5日

こちらは逆に、長い長い係争の一部終了。「米国の出版社は希望すればデジタル化された図書をGoogle Library Projectから削除することができる」ということは、結局事前承諾なしのオプトアウト形式なのですね。これによって Authors Guild との係争がどういう方向性になるか、気になります。

電子書籍

出版状況クロニクル53(2012年9月1日~9月30日) – 出版・読書メモランダム ※2012年10月1日

こちらの「9.『週刊読書人』(8/31)が『デジタルコンテンツ法制』(朝日新聞出版)の共著者である増田雅史弁護士に「電子書籍市場の現在と未来」を聞いている。それを要約してみる。」が気になります。

* 私見によれば、紙の書籍は「ストック」としての消費、「フロー」としての消費がある。クオリティの高い造本、装丁の文芸書などは前者、新聞や実用書などは後者に属し、この「フロー」が電子書籍に向いているのではないか。だから紙の書籍市場は残り続ける。

ボクも、紙書籍はなんだかんだで「コレクターズアイテム」として生き残るのではないかと思います。「やっぱりモノが欲しい」というニーズは確実にある。ただ、よく言われる「電子媒体では所有欲が満たせない」というのも違うと思うんですよ。

こうなってると、やっぱり嬉しいですから! 短編集マダー?

QuickJapan、ついに電子化――太田出版の「根源的・挑発的」な出版魂 – ITmedia eBook USER ※2012年10月1日

記事広告ですが、これはとても興味深いと思いました。

太田出版は、電子書籍が初発の場合には著者にアドバンスを払っています。その形を採らない限り、電子書籍が書籍として自立しませんから。例えば1年間かけてノンフィクションを書いてる人が、さあ印税は? というときに「ダウンロード数です」となったら、安心して仕事できないじゃないですか。

東京国際ブックフェアシンポジウム「電子書籍時代に出版社は必要か?」で、福井健策さんが用意していた資料から改めて「出版社の機能」について引用させて頂きます。

出版社の機能論:

理念上は

  1. 作家を発掘し育成する「発掘・育成機能」
  2. 作品の創作をサポートし、時にリードする「企画・編集機能」
  3. 文学賞や雑誌媒体に代表される信頼により世に紹介・推奨する「ブランド機能」
  4. 宣伝し、各種販路を通じて展開する「プロモーション・マーケティング機能」
  5. 作品の二次展開において窓口や代理を務める「マネジメント・窓口機能」
  6. 上記の初期コストと失敗リスクを負担する「投資・金融機能」

電子書籍初発時にアドバンスを払うというのが特別なことではなく当たり前のことになれば、出版社が「発掘・育成機能」や「投資・金融機能」という部分でまだまだ大きな役割を果たすことができると思うんですよね。

電子書籍普及待ったなしの今だから書籍業界に提言しておきたいこと – ヒット研究所 – 日経トレンディネット ※2012年10月1日

ん? ん??

結果として起きたことは、音楽流通の大きな部分が、レコード店チェーンからアップルや通信会社系の音楽ダウンロード会社へと移ってしまったこと、そして、ネット時代らしく、買われる楽曲が分散してメガヒットが生まれにくくなったことだ。

少し前に調べてグラフ化しましたけど、CDの販売枚数とダウンロード数の比較ではいい勝負(ただしダウンロード数は”曲”単位)ですし、額で見るとまだ圧倒的にCD売上の方が大きいんですけどね。コンサルタントなら感覚的な話を根拠にせず、具体的な数字を挙げて語るべきだと思うんですが。

ちなみに3ページ目の「提言2:電子書籍流通には大アスクル方式を取り入れよ」ですが、あれ? 既にこういうことやってなかったかな? と思ったらこんなツッコミが。

すいません、ボクもパッと名前は出てきませんでした(;^ω^)

検索してみたらこの記事が。なんか見た記憶がありますね……ううむ、記憶力が。

利用中の電子書籍ストア、最多は紀伊國屋書店の13.0%~「OnDeck」読者調査 -INTERNET Watch ※2012年10月2日

電子出版業界人向けマガジンの購読者アンケートなので、これをこのまま一般化できないことには留意すべきです。要するに、業界人の利用状況という話。電子書店のメリット・デメリットをよく知っている方々なのに楽天koboの利用率が高いのは、なんだかんだで期待値に拠るものだと思います。ところがフタを開けてみたら…… _(:3」∠)_ ←こうなってる業界人多数と思われ。

PlayStaion Mobileの本サービス開始、27の新タイトル配信 – ケータイ Watch ※2012年10月3日

エントリーを書きました。

TSUTAYA.com eBOOKsがリニューアル、Web上で全コンテンツが購入可能に – 電子書籍情報が満載! eBook USER ※2012年10月4日

どれどれ……と思いチェックしてみたら

ダウンロード期間:365日

あの……TSUTAYAさん、最後発ストアの1つなのに、制限設けちゃってるのですか(;^ω^)

ダウンロードは購入から5年間限定:一挙5000冊! BookLive!が「マギ」など小学館漫画を配信へ – 電子書籍情報が満載! eBook USER ※2012年10月5日

これに関してはどうしても我慢できずにエントリーで苦言を呈しましたが、「小学館の方針が変わった」という事実をまずは喜ぶべきなのかもしれません。全体の中で見れば期限付きは流れに反していますが、今までに比べれば良い方向へ進んでいるわけですからね……。

『中二病でも恋がしたい!』10月から取扱い条件変わって返品不能に – 主にライトノベルを読むよ^0^/ ※2012年10月6日

返品リスクを負いたくないのであれば、電子書籍化すればいいじゃないの!

電子書籍にハマらない理由は、「本の厚み」にあった – BOOK STAND|WEB本の雑誌 ※2012年10月7日

いえ、ただ単に慣れの問題だと思いますよ。

IT技術

Nexus 7 のGoogle Play 2000円分特典は10月30日まで。米国では9月30日で終了 – Engadget Japanese ※2012年10月1日

先週の時点では、まさかいまだに発送メールすら届かないとは思いませんでした_(:3」∠)_

「声なき声」に耳を傾けているか:日経ビジネスオンライン ※2012年10月1日

ネット上には「ITジャーナリスト」と称する有象無象がいる。

ボクは物書きのはしくれですが、「ITジャーナリスト」なんて名乗っていないし名乗る気もないんですが、たぶんこの小板橋さんからすると有象無象の一員なんでしょうね。ちなみにこの方は、昨年12月に「ドコモ、来年夏にiPhone参入」を書いた人です。さてはて。

Facebookが新機能「Gifts」を発表! 友達にプレゼントを贈ることが可能に « WIRED.jp ※2012年10月1日

Facebookの新機能で、ひさびさに「お、これは面白いかも」と思いました。ボクが利用するかどうかは別問題ですが。

グーグル、「Google Wallet」を使ったウェブコンテンツの購入に対応へ – CNET Japan ※2012年10月3日

「続きは有料」的な仕組みとか、使い方次第では「Web投げ銭」みたいなこともできそうですね。Google Playブックス・映画・音楽がうまくいくと Google Wallet の普及率が上がってくるので、PayPalよりメジャーな少額決済の仕組みになり得るかも。

モバイル向け「Google Maps」、「Street View」画像が表示可能に – CNET Japan ※2012年10月3日

Googleがマップに付随するサービスをどんどん強化してますね。何度も言うようですが、やはりAppleが追いつくのは至難の業だと思います。その理由が↓こちらの記事。

「iOS 6」マップ騒動と「ビッグデータ戦争」 « WIRED.jp ※2012年10月5日

ボクは「ビッグデータ」を流行りにしようとしているIT業界やコンサルタントの言うことは問題外だと思っているのですが、「『Googleが』ビッグデータの処理を最も得意としている」ということに関しては全く異論はありません。Appleはモノ作りとマーケティングに長けた会社、Googleはデータ処理に長けた会社です。自分が得意ではなく相手が得意とする分野に手を出そうとすると、なかなかうまくいかないもんですよね。

【PC Watch】 ソニー、「Xperia Tablet S」の販売を一時停止 ~IPX4防滴を維持できない可能性 ※2012年10月5日

ボクの Xperia Tablet S には特に問題はなさそうですが……ううむ。

なぜZyngaはこけたのか? – TechCrunch Japan ※2012年10月6日

ゲームで遊んでいる人間でさえ、ニュースフィードがゲームのお知らせだらけになったらうんざりしますからね。「ゲームスパム」という言い方は、とても的確だと思います。

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「新しいiPad」が出た頃なら、まだ対抗できたと思うんですよね。半年遅かった。

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