毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「EPUB 3が国際標準に」「楽天Koboライティングライフがリリース」などが話題になっていました。
「EPUB3」がISO/IECから“Technical Specification”として出版 -INTERNET Watch ※2014年12月15日
これまでは「フォーラム標準」だったので「事実上の国際標準」という微妙な言い回しをされていたのですが、これでめでたく「国際標準」となりました。パチパチパチパチ。ちなみに表記は「EPUB 3」とスペースを入れるのが正しいそうです。
EPUB 3。「EPUB」と「3」の間にはスペースが入るの。これ豆知識ね。
— 電書ちゃん (@denshochan) 2012, 12月 2
アップル電子書籍訴訟、司法省に厳しい審問 – WSJ ※2014年12月16日
まだやってるアップルの反トラスト法(独占禁止法)違反訴訟。
控訴審の判事3人のうち少なくとも1人は、アップルと出版社との合意は「独占者(アマゾン)の支配を打破する」ことによって競争を促進したとの考えを示唆した。
ちょっとこれまでと風向きが変わった?
シャープ、電子書籍の法人向けソリューション事業を拡大 – ITmedia eBook USER ※2014年12月16日
2014年1月31日に発表して3月から順次展開予定だったはずのブラウザビューワが、9カ月遅れでようやくスタート。「Yahoo!ブックストア」にボイジャー「BinB」ブラウザビューワが採用されたのが2012年7月2日なので、先行他社に比べると2年半のビハインドということに。大丈夫か、シャープ。それでも未来屋書店「mibon」などに採用されているというのがある意味すごい。営業力の差なんでしょうか。
書店員によるレビューやPOPも見られる、スマホ向けアプリ「honto with」 – ITmedia eBook USER ※2014年12月16日
かなり本格的なO2O(Offline to Online または Online to Offline)アプリが登場。各店舗の在庫検索もできます。丸善、ジュンク堂書店、文教堂以外でも使えるようになって欲しい。なにげにバーコード撮影 → honto検索機能も入ってます。お店で撮影して「デジタル万引き」呼ばわりされなきゃいいけど……。
電子雑誌読み放題サービス「dマガジン」会員数が100万人突破 – ITmedia eBook USER ※2014年12月17日
すごい勢いで会員数が伸びてます。これで月4億円の売上です。出版社への配分は、読まれた数で按分なのかな? MAU(Monthly Active Users)が気になるところ。
「週刊文春デジタル」会員5000人突破! | スクープ速報 – 週刊文春WEB ※2014年12月18日
こちらは5000人突破です。800円×5000人で、月400万円の売上。上記のdマガジンに比べると小さく感じてしまいますが、dマガジンは100誌以上の固まりですから、単純計算でも4億円÷100誌=400万円で、実は同等と言えます。
楽天、自己出版サービス「楽天Koboライティングライフ」ベータ版を日本で開始 -INTERNET Watch ※2014年12月18日
「年内開始」という予告、ギリギリセーフです。ボクも楽天カフェでのイベントに行って、レポートを書きました(ちょうどついさっき公開)。
滴る水もへっちゃらな楽天Koboの「Kobo Aura H2O」を使ってみた – ITmedia eBook USER ※2014年12月18日
これでお風呂に浸かりながらゆっくり読書が、ジップロックなしでできますね。カメラが付いてないから、温泉にも気兼ねなく持ち込めます。
NHK NEWS WEB 隠れた成長市場 図書館ビジネス ※2014年12月18日
NHKで電子図書館サービスが! 2015年はもっと広がるかなあ……?
【新文化】 – 日書連の舩坂良雄会長、再販弾力運用に意欲 ※2014年12月18日
出版社からも書店からも、部分再販・時限再販に取り組みたいという話が。ふーむ。
日本国内で配信している電子書籍・電子雑誌の総タイトル数は? – ITmedia eBook USER ※2014年12月19日
推計72万タイトル。「タイトル数」という点に留意。定義はリリースに書いてありますが、マイクロコンテンツは分冊されていてもすべてカウントするのに、マンガだけはいくら巻数が出ていてもシリーズで「1」としかカウントしないそうで。165巻まで出ている「ゴルゴ13」は「1」だけど、134巻まで出ている「グイン・サーガ」は「134」と。うーん……マンガが8割の市場なのに、なぜこんな妙なカウント方法を。
アマゾンは、なぜ出版社を「格付け」するのか | インターネット | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト ※2014年12月19日
アマゾン・ジャパンのジャスパー・チャン社長インタビュー。取次も格付けしてるわけだからアマゾンだけが特別じゃないし、むしろビジネスとしては当然のことだと思います。
私たちの考えは読者と著者を重視しているということです。アマゾンを含めて、それ以外の者はすべてミドルマン(中間業者)にすぎません。もちろん出版社もミドルマンです。
この辺りの考え方は、揺るぎない。「アマゾンを含めて」というところがポイント。
ブックビヨンド、キングジムから「wook」を譲受け配信プラットフォーム市場に参入 – ITmedia eBook USER ※2014年12月19日
キングジムがドリームネッツから事業譲渡されたのが2012年7月1日。それから2年半で、また事業譲渡です。キングジム、何がしたかった。ちなみにブックビヨンドは学研グループなので、出版社がセルフパブリッシング事業を運営することに。
海外ネット配信に消費税課税へ…電子書籍など : IT&メディア : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2014年12月19日
欧州連合 (EU) の税法改正で、2015年1月1日から付加価値税(VAT)が「販売者の国」から「購入者の居住国」に変わります。それと同様の仕組みを日本でも導入しようという話。紀伊国屋書店の高井昌史社長が「海外事業者に公平な課税適用を求める緊急フォーラム」で、10%への増税時に税制改正がなければ自社の電子書籍事業を打ち切ると言ってたアレ。まあ、政府税調が「やる」って言ってたのだから既定路線です。すんなり決まりそう。Kindleストア、楽天Koboは来年10月から販売価格が8%上がります(ちゃんと転嫁すれば)。
ちなみに欧州VATの件は、KDP利用者にはすでに案内が届いています。税率が国ごとに異なるため、設定する必要があるけど、最初だけは自動設定してくれるようです。フランスは電子書籍にも軽減税率が適用されているので他国より税率が低いんですね。
ネカフェの「貸し出し中」を解消、コミック読み放題サービス「シーモアBOOKSPOT」 – ITmedia eBook USER ※2014年12月19日
テクノブラッドはネットカフェ事業支援を行っている会社です。ネットカフェ(漫画喫茶)でいくら読まれても著者・出版社の収益にはならない(厳密には初期の仕入れと新刊入荷時にちょっぴり入る)のですが、この形なら少しは収益になるのかな。