「カドカワ電子書籍事業順調に拡大」「本よみうり堂デジタル閉店」「BookLive黒字化」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #228（2016年7月4日～10日）

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「カドカワ電子書籍事業順調に拡大」「本よみうり堂デジタル閉店」「BookLive黒字化」などが話題になっていました。

カドカワ Research Memo（5）：書籍IP事業の収益性回復が原動力となり高い営業利益水準を確保（1） | マーケット速報 | 企業情報FISCO ※2016年7月4日

持ち株会社の株式会社KADOKAWA・DWANGOの名称が、カドカワ株式会社に変わって最初の決算、の詳報です。注目は書籍IP事業。

電子書籍事業では、昨年10月から11月にかけて実施した「ニコニコカドカワ祭り」では直販、外販ともに成果を上げたことや、「BOOK☆WALKER」でグループ作品の先行販売やオリジナル付録等の独自の付加価値戦略を展開。加えて、外部サイトへのコンテンツ配信や、ｄマガジンなど他プラットフォームとの連携強化を行った効果が顕在化し、売上高が順調に拡大し営業利益が大幅に計画を上回った（計画比2,800百万円の上振れ）。

計画比28億円の上振れ！なお、株式会社ブックウォーカーの当期純利益は11億4100万円です。すごいなあ。

本よみうり堂デジタル閉店のお知らせ | 本よみうり堂デジタル ※2016年7月4日

9月26日午前11時で販売停止。再ダウンロード期限が1年間とか、登録できる端末が3台だけとか、決済手段がクレジットカードのみとか、いまどきそんな制限だらけでユーザーが増えるわけないでしょ。必然的な淘汰。

2015年のネット広告市場規模は9194億円、スマホ広告費が過半数を占める -INTERNET Watch ※2016年7月6日

ついにスマートフォン広告費とPC広告費が逆転。もはやモバイル対応は当たり前の時代になったと言えるでしょう。

記者の眼 – アマゾンの電子書籍読み放題、日本上陸は福音か凶報か：ITpro ※2016年7月7日

アメリカの「Kindle Unlimited」は約100万タイトルでラインアップが凄いという取り上げ方をされているのですが、そこにはBig 5の作品が含まれていない点にも触れておくべきだと思います。［Kindle先行・限定タイトル］の検索結果は現時点で3万8847件。ほとんどがセルフパブリッシング作品で、原則そのままスライドされるはず。リークされた告知情報の5万5000タイトルが真なら、商業出版タイトルは1万6000点ということになります。

あんまりピンと来ない？アマゾンの電子書籍読み放題、「興味あり」は2割未満－インターネットコム ※2016年7月7日

ジャストシステム「Fastask」によるリサーチ。記事の取り上げ方はネガティブですが、現時点で「従来、電子書籍を利用する予定はなかったが、今回アマゾンの読み放題について知った人」のうち25%が「電子書籍の利用に前向きになった」のなら、充分という気がします。問題は1つ上でも書いたラインアップがどうなるか。「セルフパブリッシング」と「コミック1巻だけ」が中心なら、わざわざお金を払ってまで加入する意味が……ということになりかねません。だからいまなお必死で出版社に営業している、ということなのだと思うのですが。