「Kindle読書データ分析で新人作家発掘」「でんでんエディターリリース」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #104(2014年2月10日~16日)

Nexus 7 の BOOK☆WALKER

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「Kindle読書データ分析で新人作家発掘」「Kobo『撤退はあり得ない』」「でんでんエディターリリース」などが話題になっていました。

TweetBuzz」のカウンターが停まってしまっているので、今回から外します。Twitterの公式アカウントは、1月14日を最後に停止中。運営会社の情報、載ってないんだな……。

Google、見開き型電子ペーパー型電子書籍端末のデザインを特許出願中 – ITmedia eBook USER ※2014年2月10日

それはパナソニックソニーが通った道ッ!

Barnes & Noble、Nookのハードウェア部門の全員解雇報道を否定―「リストラは事実だが事業は継続」 | TechCrunch Japan ※2014年2月11日

昨年5月の「MicrosoftがNook Media LLCのデジタル部門を10億ドルで買収することを検討している」という噂はどこへいってしまったのか。

デジタルブックワールド2014報告:第3回 米国の高等教育における電子書籍事情〜市場規模と市場デマンド | OnDeck ※2014年2月12日

「デジタルブックワールド2014」報告の第3回。「古本の市場が減少して、新本の市場が伸びているが、これは電子教科書の成長率と一致している」というのが興味深い。

電子コミック『ReComic』がなかったことに!? 『コミックシアター』名称変更で『ブラックジャックによろしく』使用PR動画公開中 – ガジェット通信 ※2014年2月12日

ユーザーからは「アニメーション的なのが中途半端」「動かなくていいから普通に読みたい」といった不評が続出。挙句には「作品がもったいない」「『ReComic』は失敗」とまで書かれてしまい、ショックで斉藤は号泣します。

なんという自虐ネタ。

電子書籍販売のパピレス、3Q営業61.7%増 :ベンチャーニュース:Venture Now(ベンチャーナウ) ※2014年2月12日

しかしまあ、パピレスの業績は好調のようです。

楽天、1万4800円の7インチAndroidタブレット「Kobo Arc 7」発売 -INTERNET Watch ※2014年2月12日

普及モデルの位置付けでこのスペックなら、1万円切って欲しいところ。ASUSから1年前に出ているほぼ同スペックの「MeMO Pad ME172V」は、店頭参考価格帯:¥10,999 ~ ¥13,300です。

hon.jp DayWatch – Amazon出版部門の新人作家発掘法が明らかに、Kindle読者の閲覧データ分析を元に有望な個人作家を一本釣り ※2014年2月12日

出版社直営で電子書店をやっているところも、同じようなデータ分析を既にやっているはず。

今村友紀 「〈出版×デジタル〉の未来予想図 〜作家・今村友紀による『ツール・オブ・チェンジ』精読〜」 #08:直感はデータに勝てない? 編集者の職を脅かす「データ革命」とその可能性 -「データ」の未来予想図(前編) – DOTPLACE ※2014年2月13日

一つ上の、Amazon出版部門の新人作家発掘方法の記事を読んだばかりだったので、タイムリーでした。

楽天Kobo、品ぞろえが当初目標の20万冊超え~撤退は「あり得ない。ご安心を」 -INTERNET Watch ※2014年2月13日

楽天がKoboを買収した時「RabooはKoboと統合します」と言っていたのを覆して閉鎖している過去があるので、「Koboが撤退するということはあり得ないと思っている」とか「ご安心いただければ」と言われても説得力がないのですよね。「楽天が毎月10億円のコスト削減へ、Koboには日本からコストカッターをCEOとして送り込む」という報道もありますし。

Pew Internetの調査:紙・電子書籍市場は健全 – ITmedia eBook USER ※2014年2月13日

米国の業界ウオッチャーが『紙書籍は死んだ』とか『電子書籍の売り上げが落ち込んでいる』なんてことを言ってるけど、紙も電子もまだ伸びてますよ、という話。「あらゆるフォーマットでオーディエンスに確実にリーチすることが今日求められているのではないだろうか」という提言には耳が痛い人も多いのでは。

イブニングで打ち切りの漫画「BLOOD ALONE」、同人&電子書籍で続きを独自展開へ! – ねとらぼ ※2014年2月13日

編集から連載を打ち切られても、「自己出版で続ける」という道を選ぶ漫画家が増えてきてますね。「4万部で打ち切り!?」と界隈がざわめいていました。

ドコモ、電子雑誌「NOTTVブックス」を発表–週刊ダイヤモンドなど8雑誌 – CNET Japan ※2014年2月13日

「電子雑誌の放送」という新しい形。ちょっと気になるのが「各雑誌は定期的に自動で端末に一時保存され」という記述。一時保存ということは……?

北米電子書籍市場からのソニー撤退に思うこと « マガジン航[kɔː] ※2014年2月14日

Sony Readerの北米撤退を、現地の方はどう受け止めているかについて。カナダはKoboが寡占状態(2012年の端末市場のシェアではKoboが46%、ソニーが18%。アマゾンは24%)なのですね。

ちょっと気になったのがここ。

結局、ソニーは「ガジェット屋」で、Eブックというコンテンツを売るビジネスなんてそもそもムリだった、ということに尽きると思います。

ソニーは「ガジェット屋」なんでしょうか? ソニーの部門別売上・利益のグラフが、Annual Report 2013に載っています。

Sony Annual Report 2013

大赤字になっている「モバイル・プロダクツ&コミュニケーション」と「ホームエンタテイメント&サウンド」は、携帯電話・PC、液晶テレビ・家庭用オーディオ・ブルーレイディスクプレーヤー/レコーダー・メモリ内蔵型オーディオなどのモノづくり部門です。ゲーム部門はギリギリまだ黒字。映画・音楽・金融はきっちり黒字です。ソニーはコンテンツ分野の方が強いんですよね。

Sony Readerの失敗は、ゲーム・音楽・映画という強みを活かさずに、書籍部門を別系統で走らせていた点にあるのではないでしょうか。Sony Entertainment Network(PlayStation Network)に、書籍だけ入ってないってどう考えてもおかしいですよね。

【新文化】 – 堀江貴文氏が業界に提言 ※2014年2月14日

出版社は新刊点数を絞り、ロングテールの売りにくい本は電子書籍だけ発売すればいい。売れる本は長い期間販売することで、ミリオンセラーはもっと増える

売上が30年前の水準まで落ち込んでいるのに、新刊発行点数は30年前(3万6000点弱)の倍以上という現状から考えると、超・正論。ですが、実現するのは難しいでしょうね……。

文藝春秋の文春e-Books『文藝春秋 電子書籍ベスト100』、Kindleストアで独占無料配信 – ITmedia eBook USER ※2014年2月14日

文藝春秋電子書籍ベスト100【文春e-Books】

文藝春秋電子書籍ベスト100【文春e-Books】

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文藝春秋 (2014-02-14)

注目すべきなのは、販売がAmazonではなく文藝春秋である点と、独占・無料配信である点。少し前に、販売がAmazonで無料配信という、似たような企画がありました。

オールタイムベスト小説100

オールタイムベスト小説100

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Amazon.co.jp (2013-11-07)

講談社が「アフタヌーン」の電子化をする時に「0号」という無料冊子を作って各電子書店で配信していますが、これはKindleストアだけ配信されていません。講談社系の本はKindleストアでは「販売:講談社」です。

つまりAmazonは、講談社の無料冊子は載せていないけど、文藝春秋の無料冊子は載せたということです。ポイントは「独占」でしょうね。

大手出版作品は「満足度は低いのに値段が高い」、個人出版作品は「満足度が高くて値段が安い」などオンライン書店の事実が判明 – GIGAZINE ※2014年2月14日

「作者に支払われるお金の総額のうち、47%は個人出版作品の販売によるもの」というのが興味深い。

電書ちゃんねる、ブラウザベースの編集ツール「でんでんエディター」をリリース – ITmedia eBook USER ※2014年2月14日

EPUB 3の強力な編集ツールが出ました。HTMLタグ挿入型エディタのような、EPUB作成ツールだと考えると分かりやすいかな。マークアップを覚えるのって、文系人間にはハードル高いんですよね。でもWYSIWYGエディタだと、見た目はともかく中身のタグが大変なことになってしまうという。表外漢字と人名用漢字のチェック機能が付いているのも嬉しいところ。ルビをふる目安にできる。

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