たまたま見かけた「Social Media Week Tokyo」のお知らせで、Google+のセミナーを見つけたので行ってきました。レポートさせていただきます。
家に帰ってきてから知ったのですが、Ustreamでライブ配信されてたんですね。アーカイブは2月21日まで公開されているようです。ただ、Google+のパートは音が入っていないみたいなので、現地に行ってよかった……。
ただ、ちょっと痛かったのが、バスが遅れていたため冒頭10分くらいを聞き逃してしまったこと。現地で「tsudaり」をやっていた方が、すでにまとめを公開していますので、詳しくはこちらを見ていただいたほうがいいかもしれません。
「Google+ のこれまでとこれから。」 山本裕介氏
グーグル株式会社 プロダクトマーケティングマネージャー 山本裕介氏による「Google+ のこれまでとこれから。」のパートです。
【Google+のこれから #SMWTOK #KW01 】山本「“Google+ はじっさいどうなの?”→よくある誤解として、Facebookに対抗したSNSである、というのがありますが、私たちとしてはSocial Spineという認識をしています」
— Koji Inui (@resigner) 2014, 2月 17
↑↓このあたりを聞き逃しています。「Google+によくある誤解」を3つ挙げ、「そうではないんですよ」という説明をしていたようですね。
【Google+のこれから #SMWTOK #KW01 】山本「Spineは背骨とか脊柱という意味があります。Googleの各種サービスを繋ぎあう背骨の役割として、Google+を想定構築してきました」
— Koji Inui (@resigner) 2014, 2月 17
ボクが会場に入った時には、誤解その2「GoogleはGoogle+をいろいろなプロダクトにひもづけて、ユーザーを強引に増やそうとしている」についての話をしているところでした。
ユーザーの利便性を追求した結果、連動した方が使い勝手がよいと判断した上での設計なんですよ、という説明をしていました。YouTubeコメントがGoogle+アカウントが必要になったことで、以前は多かったコメントスパムが少なくなり、YouTubeチャンネルの管理もしやすくなっているそうです。あとは、Google+ローカルの口コミのことにもちょっと触れていました。
誤解その3はこちら。
「Google+ってゴーストタウンだよね?」という、よく言われる話。これも、ストリームを利用しているユーザー(people active in just the stream)は3億人いますということで、明確に否定していました。まあ日本で流行っていないのは確かだと思いますが。
ソーシャルメディアは観測範囲(つまり、誰をフォローしているか)によって全く違う顔を見せるという性格がありますが、Google+の場合は「サークル」や「コミュニティ」によって「見えない」「見せない」領域があるということを念頭に入れておく必要があるように思います。あとは、投稿にコメントがぶらさがる形なので、Twitterのような細切れで流れてくるタイムラインと比較すると、投稿数は少なく見えるというのもありますね。
第三者(「Global Web Index」)のデータでも、世界第2位になっているそうです。
では、ユーザーは何をアクティブに使っているかというと、まず「写真」だそうです。自動バックアップや自動補正(おかませビジュアル)、「だけ」シェアなどの紹介がなされました。
次に、ビジュアル×ウェブ上のアイデンティティということで、CanCam+のオーディションが紹介されました。
ちなみにCanCamは小学館の雑誌ですが、このセミナーは講談社の講堂で行われています。「他社の事例で申し訳ありません」とお詫びしていました。
あとは、Google+プロフィールと連携してGoogle検索結果に顔写真が表示されるようになる「Google著者情報(Authorship)」の紹介など。
正直、アクティブに使っているユーザーの立場としては、あまりこのパートでは目新しい話はありませんでした。質疑応答の時間があれば「Google+ コンテストおよびプロモーションのポリシー」の改訂(いつのまにか”事前承認された方法による場合を除き”という一文が追加されている)について尋ねてみたかったのですが。
「企業のための Google+ マーケティング活用法」 中村全信氏
グーグル株式会社 ブランドソリューション エキスパート 中村全信氏による「Google+ for marketing」のパートです。まず、去年1年間にGoogle+で何があったかという映像が上映されました。YouTubeで探してみたら、見つかりました。
まず中村氏は、ソーシャルメディアプラットフォームは企業のためのものではなく、ユーザーのためのものだという前提から本題に入りました。「ここにいる方々には自明のことですが」と前置きしながら、ソーシャルメディアで企業がユーザーに宣伝を送ってもノイジーなだけで効果的ではないですよね、と。ソーシャルストリームの価値を最大化(Expand The Value of Social Stream)しなければならないですよね、という話をします。
ではGoogle+で熱い領域はどこかというと、Food, Movies, Hobbies, Beauty, Fashionといった、趣味的なカテゴリが強いそうです。
「コーヒーが好きだ!」とか「G+焼肉部」といった、”濃い”コミュニティがいろいろありますよーという紹介をしていました。
じゃあこれを企業のマーケティングとどう繋げていくかというと、「Google+ページでコミュニティを運営しましょう」という話の流れになります。「Google+ページ」と「ユーザー」という関係だと基本は1対1のコミュニケーションになるけど、Google+コミュニティであればユーザー同士のコミュニケーションを企業が支える「プラットフォーム」の立場になれる、と。実際、CanCam+オーディションでも、コミュニティがかなり活用されていたのは記憶に新しいところです。
企業が運営するコミュニティの事例として、「Cadbury UK」の「Cakes & Baking – The Cadbury Kitchen」や、「Ford Motor Company」の「Ford Photo Community」などを紹介していました。
また、中村氏は「ソーシャルメディアマーケティングの課題」として、「適切なユーザーと適切なタイミングで、価値のある対話を生み出すことは難しい」ことを挙げました。ストリーム内での共有だけではもったいないとか、ソーシャルメディアはブランドとの関連性を高める全ての要因ではない(一部に過ぎない)という話です。
「消費者自身がブランドを創り上げ、定義できる時代」になりつつあるというのは、面白い指摘だと思いました。
そういう中で、GoogleはGoogle+を「ソーシャルメディア以上」の存在にしていきたいと考えているそうです。例えば、YouTubeのコメント欄は以前は荒れていたけど、コメントするのにGoogle+アカウントを必須にしたことなどを挙げていました。企業がYouTubeチャンネルを運営する上でも、特定のユーザーのコメントを上位表示しないように管理できたり、コメントしてくれた人を1クリックでフォローできるようになっていたりするそうです。
中村氏は「ソーシャルメディアの外へ向けて情報発信」ということを繰り返し強調していました。それがGoogleが昨年末に開始した「+Post ads」につながります。これは、広告主がGoogle+へ投稿したコンテンツ(写真やテキスト・動画・ハングアウト)を、広告として Google Display Network を通じて配信できるというものです。
動画広告と同じように、2秒間マウスオーバーすると、このような形で投稿が広告として展開されるそうです。ユーザーは広告に直接コメントしたり+1したり、企業側もそれにコメントを返したりといったことができるとか。だから、既にユーザーと対話している投稿や+1の多い投稿を広告に使うのがいいでしょう、とのことでした。
すでに日本でも、ソフトバンクモバイルが+Post adsの第1号として広告を展開しているそうです。エンゲージ率は1.9%で、他のエンゲージメント広告とだいたい同水準だそうです。飛び抜けた効果がある、というわけではないようですね。
+Post ads ベータプログラムへの参加にはいろいろ条件があって、まずもちろんGoogle+を活発に利用していること(魅力的なコンテンツを最低でも48時間に1回くらいは発信している)、フォロワーが1000人以上いるGoogle+ページであることなどが挙げられていました。Google+ページのフォロワー1000人って、結構大変ですよ。
最後に、今後の新しい展開として、ハングアウト中にユーザーがそのままショッピングできる「Shoppable Hangout」を挙げていました。ハングアウトオンエアが「ジャパネットたかた」みたいになるイメージでしょうか。
講堂の入り口で、Google+公式スタートガイド(リンク先はPDF)が配られていました。
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こちらはボクが書いた非公式のガイドブック。いま3巻まで出ています。4巻がAndroid編、5巻がiOS編、そして6巻がビジネス活用編……というところまでは構想していて、5巻までほぼできあがっていたのですが、昨年5月のリニューアルによって、ほぼ全面的に画像などを差し替えなければならなくなったという。とほほ。