「多賀城市のTSUTAYA図書館でも古本を高値購入」「Kindle読み放題サービス8月開始か?」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #227(2016年6月27日~7月3日)

iPadのKindle

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「多賀城市のTSUTAYA図書館でも古本を高値購入」「Kindle読み放題サービス8月開始か?」などが話題になっていました。

ツタヤ図書館、廃棄した本より「古い実用書」大量購入が発覚!多額税金使いCCCの言い値で | ビジネスジャーナル ※2016年6月27日

配信日付を見たら直近のニュースで、思わず二度見。佐賀県武雄市、神奈川県海老名市に続き、宮城県多賀城市でも、図書館リニューアル時の蔵書が古い本だったとの報。続報で、どうやら市教育委員会もリストをチェックし、24%を「受入不可」としていたようですが、それでもなお、おかしな選書が防ぎ切れていなかったようです。ただ、報じてるのがサイゾー系のビジネスジャーナル。他メディアからの報も待ちたいところ。ハフィントンポスト 猪谷千香さんによる詳報を期待。

アマゾンジャパン、読み放題サービス8月開始へ:メディア産業の総合専門紙-文化通信 ※2016年6月27日

業界紙の文化通信が報じたということは、提案資料など、確実な情報をキャッチしたのではないかと思われます。そのためか、「収益の半額を電子書籍の利用量に応じて出版社に支払う」といった条件面が報じられたのが興味深いです。

なにもコメント付けずツイートしただけなのに、やたらとRTされて驚きました。文化通信公式のツイートより断然多いという。なぜ。

電子書籍、アマゾンが定額読み放題に 月1千円前後:朝日新聞デジタル ※2016年6月28日

そして朝日新聞でも報じられ、恐らく間違いないだろうというフェイズに。こちらはラインアップについて「漫画の場合は各シリーズの第1巻のみとした出版社が多く」「文芸書は、刊行後2~3年たった作品を中心に提供する社が多い」とより具体的。ただ、この記事では触れられていませんが、おそらく Amazon.com と同様、Kindle Unlimited のラインアップはかなりの割合がセルフパブリッシング作品で、ゆりかごとして機能する形になるのだろうと予測されます。

というのは、Kindleダイレクト・パブリッシング利用規約の最終更新日は現時点で2016年1月18日ですが、オプションの「KDPセレクトプログラムの利用規約」には既に「Kindle Unlimited(中略)ならびにKindleオーナーライブラリーに掲載」と明記されているからです。つまり、KDPセレクトに登録して独占配信していたら、Kindle Unlimited にも自動で載ります。

ブックウォーカー、16年3月期の最終利益は11億4100万円…電子書籍ストアBOOK☆WALKERなどを展開 | Social Game Info ※2016年6月27日

カドカワの連結決算で経常利益101億8900万円なので、BOOK☆WALKERがその1割以上を占めていることに。会社の規模からすると、すごい割合です。このままのペースでいけば、あと2年で利益剰余金のマイナスが消えます。儲かってるなあ。

My Sony ID、Sony Entertainment Network(SEN) アカウントのサインインID共通化のご案内 | My Sony | ソニー ※2016年6月28日

どこもニュースにしていないので、公式のリリースをピックアップ。2012年に書いた「電子書店完全ガイド」をはじめとし、ずっと批判し続けてきたソニーのウィークポイントなので、「やっとか……」という感慨があります。この直後に、Reader Storeの運営会社がソニーマーケティング株式会社から株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントに変更というお知らせも出ており、いろいろ改革が進んでいる感じがしますね。ソニーに詳しい西田宗千佳さんに、解説をお願いしたいところ。

財務省、国会図書館に改善要請 文字羅列の納本で – 共同通信 47NEWS ※2016年6月28日

いわゆる「亞書」問題の余波。審査体制の改善はいいけど「販売数などの客観的な審査基準」って、オンデマンド出版の場合はどないすんねん、という感じ。

【新文化】 – トゥ・ディファクト、「honto」をリニューアル ※2016年6月29日

主にデザイン面で大きな変更。あと、以前に比べたら若干軽くなった感じ。「タイムライン形式で、書店の店頭で売れた本をリアルタイムに紹介」って、なにげに凄いと思います。リアル店舗の情報活用は、Amazonが真似できない領域。オンラインとオフラインでは、売れる傾向が違うでしょうからね。ただ、タイミング次第で同じ本・同じ雑誌に染まるので、できればジャンルだけではなく[紙版だけ][電子版だけ]といったフィルタリングもできるようにして欲しいです。

hontoの売れた本タイムライン

リリース直後の画面。水曜日朝なので、週刊少年マガジンだらけになってます。

【新文化】 – KADOKAWAとトーハン、電子書店で連携 ※2016年6月30日

ひさびさに本棚連携が拡大。「BOOK☆WALKER」と「Digital e-hon」で、本棚情報の相互連携と、ポイント交換もできるサービスが開始です。もっと広がれー!

集英社、「本屋さんアプリ~本屋へGO!~」でACCESS社の電子書籍ビューワ/Beaconソリューションを採用 – hon.jp DayWatch ※2016年6月30日

本屋で得する「本屋さんアプリ」本格始動!第1弾「真夏のマンガ全国統一検定」開始 | ほんのひきだし ※2016年7月1日

お店へ足を運んだ人にだけ付与される特典を提供するといった、Beaconソリューションが本格稼働。「1万個無料配布!」など、ガチで普及に力を入れていたのがやっと動き出した感じです。

出版状況クロニクル98(2016年6月1日~6月30日) – 出版・読書メモランダム ※2016年7月1日

毎月楽しみな、小田光雄さんの出版状況クロニクル。今月は、業界各社の決算情報がまとまっています。小学館の対前年比大幅下落は『妖怪ウォッチ』ブームの反動という情報があったような? 好決算のカドカワは掘り下げず、所沢の不動産活用プロジェクトに結びつけ? うーむ。

電子雑誌元年がやってきた–電子「部数」が紙を上回る雑誌も(前編) – CNET Japan ※2016年7月1日

朝日新聞の林智彦さんによる、渾身の「dマガジン」特集。NTTドコモの料率は45%なのですね。Kindle Unlimited が「収益の半分」なので、ドコモのほうが5%良い。しかしこれ、AppleGoogleが月額制アプリの料率を15%に引き下げることを思うと、また勢力図が変わる可能性も……? 日本ABC協会が、電子雑誌読み放題のUUを集計・公開しているのは知りませんでした。当たり前のようですが、月刊誌より週刊誌のほうがUUは多いのですね。

【新文化】 – ブックサービス、楽天ブックスに統合へ ※2016年7月1日

栗田出版販売(当時)から事業譲渡された「ブックサービス」が、楽天ブックスに統合されます。詳細は公式の案内を参照。まあ、当然の成り行きなのですが、ヤマト運輸傘下だったころとは隔世の感があります。

【村上春樹に司馬遼太郎】電子書籍がいま伸びている理由 | GetNavi web ゲットナビ ※2016年7月1日

文藝春秋の電子書籍担当部長 吉永龍太さんへのインタビュー。「テレビの影響は大きい」「(火花は電子版で)機会損失をかなり防げた」という話や、池井戸潤さん、司馬遼太郎財団、村上春樹さんの作品を電子化にこぎつけた話などが興味深いです。


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