毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「BookLive!とTSUTAYAがサービス連携」「東京国際ブックフェア・国際電子出版EXPO」などが話題になっていました。
「ネットはオールドメディアが圧勝」――川上量生ドワンゴ会長インタビュー(上)|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン ※2014年6月25日
「統合後の姿は見えていない」――川上量生ドワンゴ会長インタビュー(下)|Close-Up Enterprise|ダイヤモンド・オンライン ※2014年6月30日
川上量生ドワンゴ会長へのインタビュー。「ネットはオールドメディアが圧勝」という箇所は、リップ・サービス(というか安心させるための方便)なのかな? という気が。「統合後の姿は見えていない」という発言も、もし川上氏が思い描いていたとしても現段階では言わないだけの話じゃないかな。ところがこの発言、ひとり歩きして「出版の未来は暗い」的な論調のために引用されてたりします(リンクは貼りません)。ううむ、発言の影響力が大きくなると怖いな。
BookLive!とTSUTAYAがサービス連携 Tポイント付与や店舗連携など – ITmedia eBook USER ※2014年6月30日
大型提携。紙版買ったら電子版が無料で付いてくる「AirBook」や、紙版予約して届くまで電子版が読める「FastRead」など、実店舗であることを活かしたサービスが中心。BookLive!が三省堂書店と組んでやってきた実績があるからこそだな、という感じがします。「デジ本プラス」や「空飛ぶ本棚(こっちは文教堂)」という先行事例があるので、とくに雑誌系では賛同する出版社が多いはず。
しかし、TSUTAYAと組むのはトップカルチャーやWonderGOOと提携している楽天Koboだというのが既定路線だと思っていたのですが、FC店と本部の意向にでっかいズレが発生してしまったようです。直営店が少ないので、FC店の意向は無視できないはずなのですが、大丈夫かな?
あとは、TSUTAYA.com eBOOKsをどうするんだろう? というのが心配だったのですが、とりあえずサービス継続みたい。
GALAPAGOS STOREもブラウザビューワを用意――試し読みから順次拡大 – ITmedia eBook USER ※2014年6月30日
「3月から順次提供」予定だったブラウザビューワが、ようやく提供開始……と思ったら、現時点ではまだGALAPAGOS STOREの特集コーナーでしか観られず、本格導入開始は恐らく9月頃から(電子出版EXPOで聞きました)とのこと。ボイジャー「BinB」や、ACCESS「PUBLUS」、セルシス「BS Reader for Browser」からはだいぶ出遅れているわけですが、大丈夫か、シャープ。とりあえず未来屋書店「mibon」や「book-in-the-box」提供社向けが最優先なんでしょうけど。
ちなみにシャープの記者会見は、BookLive!×TSUTAYAの記者発表会と全く同じ時間の開催でした。ボクはどちらも行けなかったのですが(大汗)
ASP型サービス「EBLIEVA ブラウザビューア」がアプリの呪縛からストアを解放 – INTERNET Watch ※2014年7月2日
シャープのブラウザビューワに関するインタビュー。「乱立していたフォーマットも、2013年以降はEPUB3とXMDFでの配信が主流に」とか「市場の伸びを阻害する大きな要因として、電子書籍ストア事業への新規参入のハードルの高さ」とか、ツッコミどころがゴロゴロしていて「おいおい大丈夫か?」という気分になりました。最後発であることに触れていないから、PR記事かと思ったヨ。
出版状況クロニクル74(2014年6月1日~6月30日) – 出版・読書メモランダム ※2014年6月30日
毎月楽しみな、小田光雄さんの出版状況クロニクル。出版デジタル機構の役員交代に触れていないのは意外。小田さんにとっては、大したトピックじゃないのかな。
ボイジャーの電子出版サービス「Romancer」正式リリース、作家の電子書籍制作をサポート – ITmedia eBook USER ※2014年7月1日
「Romancer」正式版リリース。WordからEPUBを簡単に作れるサービスとしては魅力的。サーバー側で自動的にEpubCheckもやっているそうです。ボクも記者会見に行ったんですが、8割くらい池澤夏樹さんが喋ってました。これまで電子化を拒んできた理由は、電子版の印税率が出版社通すと15%くらいという現状がどう考えても納得できなかったためとのこと。なるほど。「友情ではなくビジネスとして魅力的に感じた」という言葉が印象的でした。
オトバンク、公共図書館でオーディオブックをレンタル可能に – ITmedia eBook USER ※2014年7月2日
「大日本印刷の電子図書館ソリューション」というのは、図書館流通センターの「TRC-DL」です。つい先日、広島県の府中市立図書館にも導入されました。OverDriveもオーディオブックは扱っているので、関係者にとっては既定路線だったのかな?
【東京国際ブックフェア・国際電子出版EXPO関連】
「第21回東京国際ブックフェア」が開幕、7月4日・5日は一般・18歳未満も入場可能 -INTERNET Watch ※2014年7月2日
全体のざらっとまとめ。初出時ミスってたみたい。
国際電子出版EXPOリポート:今見ておきたい電子出版ソリューション――気になるブースに行ってみた – ITmedia eBook USER ※2014年7月2日
メディアドゥ(電子図書館「OverDrive」、絵本ストアアプリ「Toyboo!」)、スターティアラボ(電子書籍作成ツール「Actibook」、AR制作ツール「COCOAR」)、ボイジャー(電子出版ツール「Romancer」)について。
KADOKAWA、Twitterと協力しタイムライン上で電子書籍を閲覧可能に – ITmedia eBook USER ※2014年7月2日
Twitter Cardsを使って、タイムライン上でEPUBが閲覧できる仕組み。おお、面白いじゃん、と思ったのですが、これを真似てその日のうちにDropboxとBiB/iを使って同様の機能を実現している方が現れたのには驚きました。角川アスキー総研の立場が……。配信する側としては、あとは購入への導線を最終ページ辺りに用意しておけばいい、ということになります。
国際電子出版EXPOリポート:地域密着型、iBeacon、デジタル印刷――会場で見つけた気になる展示 – ITmedia eBook USER ※2014年7月日
宮崎南印刷(地域特化型電子書籍ポータルサイト「Japan ebooks」)、モリサワ(iBeacon連動システム、マルチ電子書店配信サービス「MCGate」)、ホリゾン(デジタル印刷)について。
東京国際ブックフェアリポート:第21回 東京国際ブックフェアを練り歩いた – ITmedia eBook USER ※2014年7月3日
講談社、平凡社、青幻舎、今人舎、小学館、児童書共同ブース「こどもアイランド」、農文教、三修社、手塚プロダクション、エイ出版、集英社、河出書房新社、KADOKAWA、洋書バーゲンコーナーの写真。
東京国際ブックフェアリポート:東京国際ブックフェアを360度ビューでグルッと体験 – ITmedia eBook USER ※2014年7月3日
「RICOH THETA」による360度ビュー。面白い。
東京国際ブックフェアリポート:DNPと凸版ブース、それぞれの最新展示をチェック – ITmedia eBook USER ※2014年7月3日
大日本印刷と凸版印刷。それぞれ、提携社との共同出展が結構たくさんあって、埋もれてしまっていた印象があるのがもったいない感じ。
完全オフライン仕様、災害用非常袋にも1台の電子書籍端末「honto pocket」 -INTERNET Watch ※2014年7月3日
「honto pocket」単独記事。去年参考出展していた「txtr Beagle」をベースに大日本印刷が独自開発とのこと。大きな違いはBluetoothを外して完全オフラインにした点と、EPUBに対応(昨年モデルはPDFのみだった)したこと、文字の大きさ変更・しおりに対応したこと。参考出展とはいえ、今年中に発売予定とのこと。完全オフラインということは、壊れた時どうなるんだろう……?
大日本印刷が眼鏡型端末で読む電子書籍、首を左右に振ってページめくり -INTERNET Watch ※2014年7月日
エプソン製の眼鏡型ウェアラブル端末「モベリオ」で閲覧できる電子書籍。ボクも試してみましたが、メガネの上から装着できなかった……普通の大きさならできるみたいですけど、ボクのは幅広(頭でかいので)なんですよね。首を横に振るとページがめくれる様子とか、上下に振ると視界が変わるといった動作が、ぼやけた視界でもなんとなく把握できました。泣。
KDP対抗サービスの“KWL”、楽天Koboが年内開始に向け、作家らの要望を募集中 -INTERNET Watch ※2014年7月4日
やっと開始……と思ったら「これから始めます」というティザーサイトのみ。まだ印税率なんかも決まっていないそうなので、ガシガシ要望を送ってみてはどうでしょうか。
国際電子出版EXPOリポート:今年の電子出版EXPOを振り返る – ITmedia eBook USER ※2014年7月4日
ベストクリエイト(電子書店「いつでも書店」)、クリエイターEXPO、KADOKAWAときて、締めはシャープ。