毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、私が気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「キュレーションサービス問題がNAVERまとめに延焼」「DeNAはMedエッジ時代ですら1記事5000円だった」などが話題になっていました。
注意!「キュレーション」が悪いわけではない | インターネット | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 ※2016年12月12日
サブタイトルの “悪いのは「盗むこと」「無断でまとめること」” からいきなり違和感。盗むのがアカンのはその通りですけど、「ちゃんとした引用」であれば無断でまとめても適法なのです。問題は不適切な「なんちゃって引用」が多い点なのでは。
ちなみに、記事中で「コンテンツの質にこだわる」とおっしゃっている「antenna*(アンテナ)」には、別の論点で言いたいことがあります。下図の記事一覧の、どれが広告かわかりますか?
honto、楽譜をプリントオンデマンド本で販売、多品種・少量生産のニーズに対応、中綴じ製本で見やすく -INTERNET Watch ※2016年12月12日
楽譜ってパートごとに違ったり、指揮者用とかソロ用とか、いろんなバリエーションがあるんですね。超多品種・少量生産。実態としては、全パート載ってるのを1冊買ってコピーしちゃうケースが多いんじゃないかな……(私的利用の範疇を超えるので違法です)。
NAVERまとめに無断転載“された”側の訴え……「抗議への対応に驚愕」 – ITmedia ニュース ※2016年12月12日
そもそも、無断転載されていることを権利者側が把握するには、それなりに労力がかかります。その上、削除申請にも労力がかかるのに、さらに、自身の元記事に追記しなければ対応してくれないという。典型的な「ハードルを上げることで諦めさせる」事例で、涙が出そうです。
「まとめ」をする人へPVに応じて報奨金を出す&事業者側も儲かる仕組みになっているわけですから、プロバイダー責任制限法に基づく対処をすれば事業者側が免責される(=「まとめ」をする人にすべて責任をかぶせられる)状態になってしまっているのは、おかしいですよね。胴元がちゃんと管理できていないことこそが、責められるべき点なのに。テレコムサービス協会(テレサ協)によるプロバイダー責任制限法ガイドラインの見直しや、プロバイダー責任制限法改正って話になっていくかも。
なぜ無断転載された側に手間を要求? 「NAVERまとめ」の“トンデモ”削除対応、理由を聞いた – ねとらぼ ※2016年12月14日
「NAVERまとめ」に、アイティメディアが追い打ち。ちょっと驚いたのが「全体のうち約33.7%(3本に1本)にあたる違反記事を日々削除している」という回答。それだけ削除してなお、あの惨状なのですか……。
「一匹狼」フリーランス編集者たちの互助組織 « マガジン航[kɔː] ※2016年12月15日
大原ケイさんの記事。全米組織の「Editorial Freelancers Association(フリーランス編集者協会)」ボストン支部の集会報告です。日本にもこういう互助組織、あるといいですね。小林恭子さんの「The Alliance of Independent Authors」についての記事を読んだときと同じような気持ちになりました。
DeNA転落の起点 買収と譲渡、2つの過ち:日経ビジネスオンライン ※2016年12月16日
安心と信頼の井上理記者。私が記事中で唖然としたのは、南場智子取締役会長がやっていた「Medエッジ(メドエッジ)」時代の話。「メドエッジの記事コストは1本あたり約5000円だった」って、それでまともな監修ができると思っていたんでしょうか……?
文部科学省、「デジタル教科書」の位置付けに関する検討会議の最終まとめを公開 | カレントアウェアネス・ポータル ※2016年12月16日
私もまだじっくり目を通せていないので、備忘録的にピックアップ。
「キュレーション」がダークサイドに堕ちる前のことを思い出し語りしてみる (1/4) – ITmedia ニュース ※2016年12月16日
「OneTopi」の編集長をやっていた松尾公也氏による振り返り。「キュレーター」の名付け親なのだそうです。細野不二彦氏の『ギャラリーフェイク』が元ネタとのこと。新刊が出てるの知らなかった!
posted with AZlink at 2016.12.19
細野不二彦
小学館
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【答え】
矢印の先にある6つすべて広告です。ネイティブ広告がやたらと多いのと、「PR」のアイコンが小さ過ぎるのと、「PR」の画像がぼやけて見づらいのが難点。ちなみにリンク先はクライアントの商品を紹介する記事広告で、「さらに見る」をクリックするとクライアントのページへ遷移します。まあそれでも、PR表記していないメディアに比べたら遥かにマシなんですけどね。
私が理事長をやっているNPO法人日本独立作家同盟で、2017年2月4日と5日に「NovelJam(ノベルジャム)」というイベントを行います。著者と編集者が集まってチームを作り、わずか2日間で小説の完成・販売までを目指す『短期集中型の作品制作企画』です。ジャムセッション(即興演奏)のように事前にあまり本格的な準備をせず、参加者が互いに刺激を得ながら、その場で作品を創り上げるというものです。詳しくは公式サイトをご参照ください。