毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「『美味しんぼ』への批判と意見無料公開」「『そばもん』無料公開」「鈴木みそさんインタビュー」などが話題になっていました。
Kindleダイレクト・パブリッシングでアップロードできるファイルサイズの上限が650MBに ※2014年5月19日
先ほど、KDPでアップロードできるファイルサイズの上限を650MBにした件をKDP著者、出版社の方々にメールでお知らせしました。容量の大きいマンガや写真集などでは使い勝手が良くなるかと思います。詳細はこちら→https://t.co/hXLOMmAePs
— Yoshi Kosuge (@yoshikosuge) 2014, 5月 19
従来は最大50MBだったのが650MBに。画像1枚あたりのファイルサイズも、従来は最大127KBだったのが5MBに変わりました。
小学館 コミック -ビッグコミックスピリッツ~SPINET- 『美味しんぼ』福島の真実編に寄せられたご批判とご意見 ※2014年5月19日
批判と意見だけではなく賛意も載せられ、両論併記の体裁になっています。個人的に一番興味深かったのは、この公開されたPDFの中ではなく、『漫画なんだから、まず「面白いか面白くないか」で評価されるべきだ』という意見。そりゃそうだ。普通の人は面白くなければ読まないから、この話題が盛り上がっているのはもしかしたらネット上だけなのかも。
コミックナタリー – ハイキュー!!第2回人気投票開催、今号のジャンプは電子版も ※2014年5月19日
何の前触れもなく、何の理由も提示せず、いきなり紙版と同日配信です。10ヶ月前の配信は、45周年記念号という理由があったのですが。
posted with AZlink at 2014.5.26
週刊少年ジャンプ編集部 編
集英社
そして今週は配信されていないので、またしても単発だった模様。何かテストしているのかな?
セルフパブリッシング:品質を担保するには – ITmedia eBook USER ※2014年5月20日
SmashwordsのCEOであり創業者のマーク·コーカー氏が、“すべての本は読者の前に陳列される機会に値する”という信念を示したインディーズ『作家声明』を掲載したところ、オンラインコミュニティーがすぐに怒りの反応を示した。その信念は出版没落の一部だと批評家はソーシャルメディア上で書き連ねているが、書籍をより台なしにしそうなのは、一定の書籍が出版される必要がないと単一の企業に決めさせることではないだろうか。
たまたま似たようなタイミングで、2010年10月16日に書かれた『超マニアックなCD屋「メカノ」はなぜ潰れないのか』という記事を読みました。
中野 POSは売れるものだけ売って、売れないものを切るシステムなんです。音楽でも何でも、市場にはヒエラルキーというものが存在しますよね? 大衆向けからマニア向けまで、裾野の広い下の部分から突端まで。その上の部分を切ってしまったら、そのジャンルは死ぬに決まってるんですよ。
ボクの感想。
コンビニならともかく、専門店がPOSで「売れる本だけ並べる」をやっちゃダメだよなあ。
— 鷹野 凌/月刊群雛5月号発売中 (@ryou_takano) 2014, 5月 25
街の本屋さんを潰したのは、取次連動型POSシステムではないかと思っている。
— 鷹野 凌/月刊群雛5月号発売中 (@ryou_takano) 2014, 5月 25
タイムラインで見かけた反響。
マスプロダクトを効率よく動かして売り抜くには良いシステムなんだろうけど、超多品種極小ロットの音楽や本に同じことをしたらぺんぺん草も生えんわ。
— doncha.net (@dokusyo2) 2014, 5月 25
コンビニでもPOSオンリーな品揃えのお店は、結構やばいです。
— 倉下 忠憲 (@rashita2) 2014, 5月 25
※倉下さんは、元コンビニ業界の方です。
作家になったエンジニア《前編》 …藤井太洋×宮内悠介×大森望 | Matogrosso ※2014年5月15日
作家になったエンジニア《後編》 …藤井太洋×宮内悠介×大森望 | Matogrosso ※2014年5月22日
前後編まとめて紹介。『Gene Mapper -full build-』の藤井太洋さんと『ヨハネスブルグの天使たち』の宮内悠介さん、大森望さんの鼎談。これまでの経歴など、知らなかったことが結構多かったです。しかし……
大森 収入的には大丈夫なの?
藤井 全然ダメです! やばいです(笑)。
藤井さん!(;^ω^)
Gene Mapper -full build- (ハヤカワ文庫JA)
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藤井 太洋
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宮内 悠介
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大森望
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国立国会図書館の電子情報部に話を聞いてみた « マガジン航[kɔː] ※2014年5月22日
使い倒せ、国立国会図書館デジタルコレクション – ITmedia eBook USER ※2014年5月22日
自分の記事ですがピックアップ。国立国会図書館の方に話を伺ったのですが、「著作権保護期間を満了と明示している画像については、転載依頼フォームからのお申込みが不要となりました」というお知らせへの反響が大きくて、びっくりしたそうです。
STOP!! Amazon Student プログラム!!: 日本出版者協議会 ※2014年5月23日
つい先日INTERNET Watchの記事『出版3社がAmazonへの出荷停止を発表』で
公正取引委員会にも相談したが、出版社が業界団体で行動するのは「その方が問題であると、カルテルということで判断する」という警告を受けたとして、「その後は各社判断で動いている。今回の取引停止は各社判断で行っている」と述べた。
と書いてあったのですが、これは大丈夫なんでしょうか? 「出版協の会員社の連名での呼びかけになります」だから、団体で行動しているわけではないということになる? うーん。
ASCII.jp:アマゾンで年間利益1000万円の衝撃――鈴木みそさんの場合 (1/3)|まつもとあつしの「メディア維新を行く」 ※2014年5月23日
ASCII.jp:作家は1000人の村を育てる術を考えるべき――鈴木みそ氏 (1/3)|まつもとあつしの「メディア維新を行く」 ※2014年5月24日
まつもとあつしさんによる、鈴木みそさんへのインタビュー。『既存商業メディアの力を使えない無名の新人に「1000人の村」は育てられないのだろうか?』という感想記事を書きました。
消えかけている電子書籍を後世に残すための戦い – GIGAZINE ※2014年5月25日
これは翻訳記事なのでアメリカ議会図書館のことが挙げられていますが、日本でも国立国会図書館がオンライン資料収集制度(eデポ)で無償かつDRMなしの電子書籍の収集を始めています。登録、試してみようかな。
【食の安全】話題のコミック全文掲載!! 福島産という名前だけで避けていませんか? 山本おさむ『そばもん ニッポン蕎麦行脚』 – コミスン(comic soon) ※2014年5月25日
『そばもん ニッポン蕎麦行脚』の第134話が6月9日まで全文公開されています。どれだけ福島の方々が食の安全に心砕いているかを描いています。必見。なお、『美味しんぼ』は「スピリッツ」ですが、『そばもん』は「ビッグコミック」と、同じ小学館でも編集部が異なります。
posted with AZlink at 2014.5.26
山本おさむ
小学館
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山本 おさむ
小学館 (2014-06-30)