毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、私が気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「週刊文春編集長は読み放題サービスを一刻も早くやめるべきだと思っている」「週刊少年マガジン100万部割れ」などが話題になっていました。
[編集長コラム]OnDeck終了のお知らせ(「著者向けPOD出版サービス」と「IMPRESS INNOVATION LAB」リニューアルのお知らせを兼ねて) | OnDeck ※2016年10月31日
電子出版系メディア「OnDeck」が終了。今後はリニューアルした「IMPRESS INNOVATION LAB」がキュレーションメディア(※人力)として機能していくことになるそうです。「ITmedia eBook USER」も2015年9月に更新終了しており、電子出版専門メディアが生き残っていくことの難しさを改めて感じます。
ブックビヨンド、電子出版プラットフォーム「Beyond Publishing」、月額9500円から利用可能 -INTERNET Watch ※2016年10月31日
ドリームネッツ → キングジム → 学研ブックビヨンドと渡り歩いた「wook」を、リニューアルするのではなく、新たにサービスを立ち上げたという話。「wook」はEPUB 3に対応していなかったんですよね(※ブクログのパブーも同様)。お知らせには「wook」は年内で終了、「Beyond Publishing」が受け皿になる旨が記載されています。月額9500円というのは「wook」時代からの料金を継承していますが、料率75%といえどちょっと個人で利用するのは難しい額。ドリームネッツやキングジムの時代に格安プランで加入している方はいるようですが。読み放題プランが作れるなど機能的にはいろいろ優れているので、主なターゲットは営利企業(出版社)ということになると思われます。
『週刊文春』新谷編集長と「Yahoo!ニュース」有吉氏が対談「流通を制する者がメディアを制す」 | AdverTimes(アドタイ) ※2016年10月31日
いろいろモヤッとする対談。「プラットフォーマーが力を持ちすぎている」というのは、実態としては「Yahoo!ニュース」の比率がまだ非常に高いと思うのですが。あと、「週刊文春」が読み放題なのは現時点で「dマガジン」だけなので、「たとえば雑誌読み放題サービスなんかは、うちも一刻も早くやめるべきだと思っているんです」というのは実質「dマガジン」を名指ししているわけで。docomoとの関係は大丈夫かしら? まあ、「週刊文春デジタル」ですら「ニコニコチャンネル」というプラットフォームに依存しているわけで、そういう意味ではタイトルの「流通を制する者がメディアを制す」というのは正しい認識だとは思いますが。
出版状況クロニクル102(2016年10月1日~10月31日) – 出版・読書メモランダム ※2016年11月1日
毎月楽しみな、小田光雄さんの出版状況クロニクル。「出版の多様性とは小出版社が担ってきたもの」とありますが、担い手が近代出版流通を経由しないやり方へ移行しつつあり、その数字が現時点では統計として把握できていない、ということではないかと思いました。
Amazonと本屋は、どう共存していくべきか | AdverTimes(アドタイ) ※2016年11月2日
アメリカでは、独立系書店が推薦した本が売れて話題になると、「売れる本」を仕入れる Amazon まで波及するから、出版社は独立系書店に最もプロモーションコストを払う、とのこと。そういう共存があり得るのですね。興味深い。
米Amazonのリアル書店「Amazon Books」、レジ支払時にPrime会員勧誘活動を開始、非会員だと定価でしか買えないように – hon.jp DayWatch ※2016年11月2日
これもアメリカの話。「Amazon Books」の狙いがプライム会員勧誘のためだと捉えると、なるほどなあという感じ。
「週刊少年マガジン」、100万部割れ – ITmedia ビジネスオンライン ※2016年11月2日
日本雑誌協会発表の数字は「印刷証明付き」なので、紙だけの数字です。「週刊少年マガジン」は2015年1月から紙版と電子版を同時配信していますが、電子版の配信数がどれくらいなのか気になります。日本ABC協会からは「デジタル版販売部数」も発表されてますが、数字を閲覧するには入会が必要なんですよね……国立国会図書館行くしかないっぽい。
電子出版制作・流通協議会、『電子図書館・電子書籍貸出サービス調査報告2016』を発行 | カレントアウェアネス・ポータル ※2016年11月4日
昨年は図書館総合展でフォーラムがあったのですが、今年はもういきなりサマリー発表しちゃってますね。昨年は「電子書籍サービス」を実施しているのが54館だったのですが、今年は53館と減ってる……とりあえず「TRC-DL」の導入館は46自治体と、2016年に入ってから13カ所ほど増えているようですが。何があった。
DNPが読み上げ機能付き電子図書館サービスをJDLSに提供 | ICT教育ニュース ※2016年11月4日
先週ピックアップした、JDLSにDNPが出資した件の続報。JDLSの「LibrariE」が自社開発だったのかどうかは不明ですが、ビューワはボイジャー「BinB」が採用されることに。JDLSには司書向けのオーダーシステムもあったはずですが、どうなるんだろう?
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