「知的財産推進計画2016意見募集」「NY公共図書館の超高解像度PD画像」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #202(2016年1月4日~10日)

Nexus7のhonto

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「知的財産推進計画2016意見募集」「NY公共図書館の超高解像度PD画像」などが話題になっていました。

「知的財産推進計画2016」の策定に向けた意見募集 – 首相官邸 ※2016年1月4日

パブリックコメント募集、締切は1月29日です。TPP関連11法案に著作権法が入っているので「大筋合意段階なのに慌てて改正する必要ないでしょ!」って送らねば。あと「著作権保護期間の延長はオプトイン方式にしましょう」という提案も。

人工知能はアートの夢を見るか? 人間に残された聖域は:朝日新聞デジタル ※2016年1月4日

人工知能が天才的な名作を書けるかどうかは怪しいが、『普通に面白い』作品を量産するのには向いている

普通に面白い作品を、あっという間に量産できるから怖いのですよね。そういう時代になると、AIが量産した作品の中から磨けばメガヒットになる作品を選び出す「選定眼」や、磨き上げる技術が今後は求められるようになるのかも。

紙ありきの電子出版市場の拡大と成長,雑誌読み放題,電子コミック,その次は?~2016年の電子出版:新春特別企画|gihyo.jp … 技術評論社 ※2016年1月5日

技術評論社 馮富久さんによる毎年恒例の考察。2016年の日本の電子出版市場の動きとして注目したいこととして、次の4つを挙げています(2ページ目)。

  1. リアル書店を使った販促
  2. 電子図書館
  3. 教育コンテンツとしての電子書籍
  4. 電子から紙の流れ

専門書を扱っている出版社からの視点ですね。ボクの2016年予測では、5つに絞る際に図書館・教育方面を外したのと対照的。

【新文化】 – ブックオフ既存店、9カ月連続で増収 ※2016年1月5日

IR資料をチェックしてみたところ、2015年3月期決算では「BOOKOFF」店舗はマイナスだけど「リユース」店舗は伸びていますね。「HARDOFF」FC契約の解除や「TSUTAYA」事業の譲渡(相手は日販)が功を奏している?

米OverDrive社、2015年の電子コンテンツの貸出数について発表:全体で2014年から24%増、特に電子オーディオブックが急増 | カレントアウェアネス・ポータル ※2016年1月6日

オーディオブックの貸出回数は2014年から36%増とのこと。貸出回数の多いタイトルは、1位~3位が本もオーディオブックも同じ。

1. The Girl on the Train, Paula Hawkins (Penguin Publishing Group)

2. All the Light We Cannot See, Anthony Doerr (Scribner)

3. Gone Girl, Gillian Flynn (Crown/Archetype)

Library Readers Borrow Record Numbers of eBooks and Audiobooks in 2015(Overdrive, 2016/1/5)

アマゾンはリアル書店で何をたくらむ? « マガジン航[kɔː] ※2016年1月6日

大原ケイさんによる、Amazonリアル店舗の狙いや今後の展望について。オンライン向け卸価格で仕入れた本をリアル店舗で販売したり返品したりすると、独占禁止法に抵触する可能性があるという指摘にはなるほど。

【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】東芝「dynaPad N72」で電子書籍を試す ~12型にして重量約579gの軽量Windows 10搭載タブレット – PC Watch ※2016年1月7日

12型で579gは魅力。ただ、スペック低いんでかなり動作がモッサリしているようです。電子書店のWindowsストアアプリって、ほんと少ないんですよね。ただ、デスクトップアプリ使えるならそれでいいじゃん、という気も。

[L] 源氏物語絵巻に浮世絵に。ニューヨーク公共図書館が公開した18万点のパブリック・ドメイン画像の数々 | ライフ×メモ ※2016年1月7日

個人ブログですが観測範囲では一番記事化が早かったと思うので、敬意を表してピックアップ。超高解像度TIFFデータがマジ凄いです。実物には一般の人は近寄れないことを思うと、ある意味実物より凄いかも。

メディアドゥ、第3四半期は営業益56%増と大幅増益を達成! 「LINEマンガ」など大型電子書店への取次が伸長 | Social Game Info ※2016年1月8日

2016年2月期第3四半期決算説明会資料」をチェック。p21のアライアンス/プラットフォームの売上額は12億3800万円(構成比46.9%)。4Qを仮に12億4000万円とすると、年間47億8900万円。ストア側の粗利を3割とすると小売販売額は68億4143万円。LINEマンガの比率を8割とすると年間約55億円といったところですか。ちなみにOverDriveの海外配信には言及がないので、まだ大きく寄与はしていない?

「代償金」など課題山積=国会図書館の電子書籍収集—仕組みづくりで実証実験 – WSJ ※2016年1月9日

「電子書籍」の納本制度は、現時点だと無料かつDRMがかかっていないファイルだけが対象になっています。昨年末から有償ファイルを対象とした実証実験(電書協が受託)が始まりました。来館利用者対象だけならビジネスへの影響は少ないんでしょうけど、「それじゃ『電子書籍』の意味がない」って批判されるんだろうなあ。

作家J.K. Rowling氏、「Harry Potter」シリーズ電子書籍版を電子書籍ストアへ直接納入開始、ソニーとの契約切れに伴い – hon.jp DayWatch ※2016年1月8日

「The Digital Reader」の元記事によると、ここ数年相当売上を落としていたようですね。流通チャネル戦略は難しいなあ。

図書館から消えゆく「ビデオテープ」 デジタル化、難課題に直面|静岡新聞アットエス ※2016年1月9日

著作権法第31条(図書館等における複製等)2項に「図書館資料の保存のため必要がある場合」という著作権の制限規定があるので、入手困難であることが確認できれば法的な問題はないようです。問題は、市販のVHSだとコピーガードがかかっているものがあり、普通にダビングしようとするとノイズがかかってしまうのだとか。DRM(Digital Rights Management)ならぬ、ARM(Analog Rights Management)問題?

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