「FLASH発売中止」「iPhone 6」「吉田調書」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #134(2014年9月8日~14日)

iPadのhonto

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「FLASH発売中止」「iPhone 6」「吉田調書」などが話題になっていました。

「FLASH」発売中止、「一部記事に不備」 : 本よみうり堂 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2014年9月8日

1986年11月の創刊以来初の発売中止とのこと。さまざまな憶測が飛び交っていますが、米女優の流出ヌード写真がやばかったでFAみたいです。ちなみに、普通に入手可能だった場所もあるようで、ボクの観測範囲でも何人かゲットしているのを目撃しています。ヤフオクにたくさん出てますね。

まつもとあつしの電子書籍セカンドインパクト:LINEマンガで無償連載はじまる――その狙いと影響は? – ITmedia eBook USER ※2014年9月8日

まつもとあつしさんによる「LINEマンガ連載」についてのインタビュー記事。素早い。「LINEマンガ」で既に1巻単位を販売している作品の中からピックアップし、1話単位を無料配信というスタイルとのことです。いまのところ「マンガボックス」や「comico」のように新作を連載するわけではないようで。ちゃんと差別化してるんですね。

ハフィントンポスト日本版編集長を退任致します。ありがとうございました | Shigeki Matsuura ※2014年9月8日

松浦茂樹氏が編集長退任。1年半おつかれさまでした。直近では月間1300万UU到達しているとのこと。凄いなあ。ちなみにボクは、就任直後にインタビュー&記事化させていただいてます。

コメント承認制によって「建設的な議論ができる場を提供」という方針は興味深いと思っていたのですが、つい先日、Facebookコメントに変更してしまい、Yahoo!ニュースなどと同じ場になってしまいました。うーん、ハフィントン・ポスト全体の方針だから、致し方ないのでしょうけども。

ところで後任編集長の高橋浩祐氏は、直前に東洋経済オンラインへ「「ブラック企業」は、人種差別用語である」という記事を寄稿して炎上している方なのですが、大丈夫なんでしょうか……?

“オモシロそう”が原動力――裏サンデーが始める3つの取り組み – ITmedia eBook USER ※2014年9月8日

コミックとコミック誌市場+電子コミック市場は? ── デジタルコンテンツ白書2014を読み解く」でも触れましたが、炎上商法だと批判をされつつも、月間120万UU・2700万PVまで到達しているとのこと。ネイティブアプリの開発もしているそうで。小学館、お金あるなあ。

Webコミックって、雑誌よりも原稿料が安いというイメージがあるかもしれないですが、むしろ裏サンデーでは紙と同じかそれ以上支払っています。

この発言、小学館の漫画誌は原稿料が安いという説がありますが、紙で連載している漫画家にどう受け止められるのかが気になります。「原稿料上げてくれるなら、Webに移行するよ」ってならないかな?

プロデビューしたら「自己出版本」はどうするべき?–実例から考察 – CNET Japan ※2014年9月9日

藤井太洋さんがこの記事を見て、こんなツイートをしていました。

いやー値段付けは難しい。

ちなみに、自己出版からプロデビューというのは、まだあまり事例が多くありませんが、今後は増えてくると思います。下記は、吉野茉莉さんが2010年から自己出版していて、9月25日にMF文庫Jから発売になるシリーズ。

文化庁、著作権者不明等の場合の裁定制度における権利者捜索のための「相当な努力」の内容を見直し、裁定の手引きを改訂 | カレントアウェアネス・ポータル ※2014年9月10日

「ア)権利者の名前や住所等が掲載されている名簿・名鑑類の閲覧」または「イ)ネット検索サービスによる情報の検索」のどちらか一方だけでOKとか、「エ)利用しようとする著作物等と同種の著作物等の販売等を行う者への照会」が不要になったりとか、「CRICのウェブサイトに30日間以上掲載(公衆に対し広く権利者情報の提供を求める手段)」が7日以上に短縮されたりとか、利用期間は申請者が設定(5年以上も可能)とか、広告掲載料の減額など、かなり要件が引き下げられています。これで従来に比べれば、かなり利用しやすくなったのではないでしょうか。

iPhone 6 / iPhone 6 Plus / iPhone 5s 詳細スペック比較。変更点まとめ – Engadget Japanese ※2014年9月10日

夜中にAppleの公式配信映像を観てました。たくさん記事が出てますが、スペック比較をピックアップしておきます。観測範囲では5.5インチの iPhone 6 Plus の方が人気。7インチクラスのタブレット(iPad miniも含め)市場を食っちゃうんじゃないかな? 噂になっていた12.9インチのiPadは、発表なし。残念。

ディスプレイが大型化したことで、電子書籍が読みやすくなり、また、iOS 8からは iBooks が標準アプリ化されるので、電子書店の勢力図が少し動くかもしれません。Appleさんお願いだから、もう少しiBooks Storeに力入れて下さい。

「Apple Pay」はユーザーの決済手数料がゼロらしく、アメリカではかなり影響大きそうです。PayPalやSquareが食われちゃう。もしかしたら「Apple Payによって、リアル書店で電子書籍購入」みたいな動きが出てくるかも? Amazonにはできないことですし。

神戸新聞NEXT|三田|電子書籍の利用好調、1カ月で800人超え 三田市立図書館 ※2014年9月11日

三田市立図書館は、図書館流通センターの「TRC-DL」です。8月の貸出数は1555冊だったそうで。インターネット上だけで初期の手続きが完了できるというのはいいですね。

国内電子書籍市場はコミックがメイン――今後はどうなる? – ITmedia eBook USER ※2014年9月11日

矢野経済研究所の調査。2013年の電子出版市場を850億円と、インプレス総合研究所の1013億円に比べると控えめ。しかし、矢野経済研究所のプレスリリースを読むと「コミック分野においては過去の作品の電子化が一巡することで、市場の伸び率は鈍化していく可能性」とか、「小説・文学などの読み物分野においては徐々に電子化される作品も増えていることから、今後の伸びが期待される」とか、根拠がよく分かりません。「伸びしろがある」のは間違いないですが、だから「伸びる」とは限らないと思うのですが。

出版6社の学術書を紙版・電子版セットで提供へ – ITmedia eBook USER ※2014年9月12日

記者会見、ボクも行ってきました。このタイトルだとちょっと分かりづらいのですが、「人文社会系出版社」の電子学術書が「主に大学図書館向けに」提供される、というニュースです。

慶應義塾大学出版会、勁草書房、東京大学出版会、みすず書房、有斐閣、吉川弘文館、丸善、京セラ丸善システムインテグレーション

人文社会系出版社が、今後の新刊は積極的に電子版も出すという点がポイントでしょう。大学図書予算の約6割が欧米系電子ジャーナルに食われている現状があり、電子にも積極的に取り組まざるを得ない事情があるようです。

確か日経新聞だったと思うのですが、質疑応答で「『電子化すると紙が売れなくなる』みたいな議論があるが?」という質問をしていたのが印象的でした。出版社にもいまだにカニバリズムを警戒している人は多いそうで、だから「ハイブリッドモデル」という呼び名にしたとか。

ちなみに「BookLooper」は、三菱東京UFJ銀行やコクヨなどの企業内図書館にも導入されているそうです。電子図書館まわりは、いろいろ熱いなあ。今年の図書館総合展(in パシフィコ横浜)は11月5日から7日まで。楽しみです。

吉田調書をめぐる朝日新聞社報道 経緯報告:朝日新聞デジタル ※2014年9月12日

慰安婦報道の検証に引き続きなので、炎上している上にガソリンをかけたような騒ぎになっています。弁護士ドットコムの『「誤報は必ず起きる。問題は事後にどう対応するか」 朝日新聞社長会見をどう見たか?』にもありますが、人間のやることなんで「ミスは必ず起こるもの」です。問題は、ミスが起きた時にどう対処するか。今回の場合、「吉田調書」が公式に公開されることになった段階で、ようやくミスを認めたわけで。ちょっと遅いよな、という感覚。

清武本「出版差し止め」訴訟――読売新聞に敗訴の出版社が反論「裁判官の常識を疑う」|弁護士ドットコムニュース ※2014年9月13日

次長クラスの署名・捺印で、契約書が無効だという地裁判決。会社法14条により「係長のサインでも契約は成立する」というのがこれまでの常識だったはずなのですが……ちなみに、控訴する意向とのことなので、まだ確定はしていません。

老舗ヘビメタ雑誌「BURRN!」が30周年 出版不況の中でなぜ生き残れるのか – ライブドアニュース ※2014年9月14日

常見陽平氏による分析。「ネット上にあまり転がっていない情報を発信し続けている」という点に尽きるのかな。

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