毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「スク・エニがSNKプレイモアを提訴」「LINEマンガ海外展開へ」などが話題になっていました。
【新文化】 – 講談社の第3四半期、増収増益 ※2014年10月6日
電子書籍は、国内の電子市場の伸びを大幅に上回る伸長率で推移しているそうです。具体的な数字、出して欲しいなあ……。
東芝も電子書籍端末から撤退…スマホに押され : 経済 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2014年10月6日
東芝、「電子書籍端末から撤退」報道に「そのような事実はない」 – ITmedia ニュース ※2014年10月6日
読売新聞の「撤退」報道を、即座に取り消す広報コメントが出ています。なんなんだという感じ。ちなみに、dynabook.com にはなぜか旧モデルの「BookPlace DB50」が載っていますが、昨年4月に出た「BookPlace MONO」は dynabook.com はもちろん、東芝公式サイトの「製品・サービス一覧」にも、どこにもありません。
気になって Internet Archive で発売日の2013年4月18日に最も近い過去ログを調べてみたのですが、東芝公式サイト(2013年5月2日ログ)・ dynabook.com(2013年4月20日ログ)ともに載っていない……さすがに、「BookPlace Cloud Innovations」のプレスリリースには記述が残っていますが、これで「そのような事実はない」と言われても説得力が……。
niconico×ダ・ヴィンチ 「次にくるマンガ大賞」創設! | ダ・ヴィンチニュース ※2014年10月6日
経営統合効果でしょうか。ユーザー投票で賞が決まる点と、紙のコミックスだけでなくWebマンガ(商業作品・同人作品を問わず)も候補対象というのが面白い。
【山口真弘の電子書籍タッチアンドトライ】Amazon.co.jp「Kindle(2014)」 ~6,980円から買える、フロントライトを省いたエントリーモデル – PC Watch ※2014年10月7日
円安の今、エントリーモデルとしてこの価格はかなり魅力的なのではないでしょうか。Paperwhite持ってたら要らないけど。
紀伊國屋書店と図書館流通センター、世界標準の書誌データ対応に向けた共同プロジェクトを発足 – ITmedia eBook USER ※2014年10月6日
RDAは “Resource Description and Access” の略です。ちょうど1年ほど前から、国立国会図書館収集書誌部と日本図書館協会目録委員会が連携し、新しい書誌データ作成基準として『日本目録規則』を策定しているそうです。図書館総合展でチェックしておこう……。
米Amazon、電子書籍の個人作家のためのコミュニティー機能「WriteOn by Kindle」をβ公開 – ITmedia eBook USER ※2014年10月6日
「未発売の作品を投稿し、他の個人作家からのフィードバックや修正を受けることができる」制度というのは、『マニフェスト 本の未来』で紹介されていた「ベータリーダー」のことでしょう。
ベータリーダーとはファンフィクション用語で、従来の作家にとっての編集者にあたる責任を果たす読者(または作家仲間)を指します。ベータリーダーは普通デジタル手段を通じてコミュニケーションを取り、公開前のファンフィクション作品の文法、構造、一貫性の誤りがないかを確認します。
posted at 2014.10.12
クレイグ・モド,アンドリュー・サヴィカス,ライザ・デイリー,ローラ・ドーソン,ヒュー・マクガイア,ブライアン・オレアリ,浅野紀予,高橋征義,秦 隆司,宮家あゆみ
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マンガのセリフを自由に書き換えて送れるアプリ「コミコミ」公開 講談社・小学館が協力 – ITmedia eBook USER ※2014年10月7日
セリフが勝手に書き換えられたコラ画像はネットにあふれていますが、それが公認されてできるようになったというのが凄い。ただし、書き換えられるマンガのコマは、専用ストアで購入しなければいけないようで。うーん。
「メーカー発想」はもうだめ 角川・ドワンゴ相談役 :日本経済新聞 ※2014年10月7日
新会社の相談役になって初めてのインタビュー。
新会社は純粋持ち株会社ではなく事業もやる。ドワンゴとKADOKAWAの真ん中にもう一つ、組織を作るイメージです。(中略)川上君は(電子書籍サイトの)「ブックウォーカー」にも興味があるから、これも真ん中に置く。
「i文庫」や「読書メーター」の買収がドワンゴ主導で行われているので「ニコニコ静画」が軸なのかと思ったら、そうではないようです。うーん、この辺りの動向、目が離せない。
セイコーインスツル、電子辞書ビジネスからの撤退を発表 – ITmedia eBook USER ※2014年10月7日
観測範囲ではセイコーインスツルの電子辞書にお世話になっていた人が多かったのか、撤退のリリースに衝撃が走っていました。お疲れさまでした。
LINE、マンガ海外配信 講談社・小学館と年内に :日本経済新聞 ※2014年10月8日
まずは欧米の英語圏と台湾で配信を始めるそうです。便利な正規版は海賊版を駆逐しますから、頑張って欲しいところ。
角川歴彦会長、ドワンゴとの経営統合を語る「最初の大事業はゲーム」 – withnews(ウィズニュース) ※2014年10月8日
「dマガジン」の会員数がさりげなく公開されています。新規契約の45%が加入し、3カ月で52万人になったそうです。月400円だから、年間売り上げ約25億円。すげえ。
【新文化】 – 大阪屋、6社による出資額は総額37億円に ※2014年10月9日
小田光雄さんの「出版状況クロニクル70」で「増資先を予定していた楽天もDNPも候補から外れてしまったことは明らかである」などと言われていましたが、結局ふたを開けたら楽天が出資比率35.19%の大株主、大日本印刷も11.56%を出資するそうです。10月28日に行われる臨時株主総会で確定します。
米アマゾンが初の実店舗、マンハッタンで出店へ=報道 | テクノロジーニュース | Reuters ※2014年10月10日
あれだけ実店舗を否定しておいて? と頭の中が疑問符でいっぱいになったニュース。ただ、在米文芸エージェントの大原ケイさんによると、これはクリスマス前の「ラスト・ミニッツ」買い物客への対応策とのことです。
無料で連載マンガが読みまくれる「少年ジャンプ+」を作ったジャンプ編集部に突撃インタビューしてきた – GIGAZINE ※2014年10月10日
インタビュー終了後にやたらアプリの説明があるなと思ったら、末尾のカテゴリに小さく「広告」と書いてありました。これ、ネイティブ広告ですね。カテゴリーの一覧にはちゃんと「広告」って出てるのに、記事では分かりづらい。
インタビューの内容は非常に良いのに、広告だというのを隠そうとしているのがミエミエで、げんなりしました。逆効果だと思いますよ、こういうの。
スク・エニ、SNKプレイモアを提訴 「ハイスコアガール」著作権侵害の事実ないと主張 – ITmedia ニュース ※2014年10月8日
SNKプレイモアから告訴されていたスク・エニが、逆にSNKプレイモアを提訴しました。全面戦争の始まりです。続きが読めないのが残念だし、押切蓮介さんも気の毒。だけどこうなったら徹底的に争って、どの程度までなら法的に許されるのか? を明確にして欲しいです。
『ジャンプ改』休刊、連載作品の移籍先も発表 – ITmedia eBook USER ※2014年10月10日
6月に発表されていた『ジャンプ改』の休刊ですが、ちゃんと移籍先も決まったようです。ヤンジャン、となりの、ジャンプ+などが中心。
アース・スター休刊、デジタル版へ移行を発表 – コミックナタリー ※2014年10月11日
こちらは、紙は休刊ですが、デジタル版へ移行するとのこと。詳細は次号。「コミック アース・スターONLINE」で連載作品の第1話無料配信は既にやっているので、Webマガジンかな?
キーパーソンインタビュー:「ニュース重視」にシフトした東洋経済オンライン、狙いは 山田俊浩さん – 毎日新聞 ※2014年10月日
東洋経済オンラインの編集長インタビュー。「ニューズピックス」に転職した前編集長の佐々木紀彦氏に対する思いがにじみ出ています。
ブログ的な記事はなるべく少なめにして、ジャーナリスティックな記事に大幅にシフトしています。一時期かなり多くなっていた、取材に基づかないブログ的な記事は、あまり入れないようにしている。
読まれるものだけを引っ張ってくると、どうしてもあおり風のものでPV(ページビュー、閲覧されたページ数)を取るということになり、東洋経済のブランドを毀損(きそん)する。
前編集長時代にリニューアルを行い、週刊東洋経済からの転載記事の力によって2013年3月には5301万になったのですが、そこをピークに長期間、停滞していた。幸い、私がサイトを担当することになってからは成長軌道に乗り、7月の時点で過去最高を更新し、8月も9月も連続で更新しました。
以前のボクの評価。
釣りタイトルも多いし、ウソ、大げさ、紛らわしい記事も多い。ほんと、最近の東洋経済オンラインの記事は読む気がしない。たまたま開いても、悪いけどそっ閉じすることが多い。
— 鷹野 凌/月刊群雛発売中 (@ryou_takano) 2013, 11月 23
(たぶん佐々木さんは、東洋経済オンラインを立て直した立役者として、昇進していくんでしょうけどね。あとに残されるメディアは、ブランド価値を落とした搾りかすになってしまうんだろうなーと)
— 鷹野 凌/月刊群雛発売中 (@ryou_takano) 2013, 11月 23
「昇進」の予測は外れ、飛び出しちゃいました。そして最近のボクの評価。
東洋経済オンラインは編集長が変わって、だいぶまともになってきた気がする。
— 鷹野 凌/月刊群雛発売中 (@ryou_takano) 2014, 7月 23
山田俊浩さん、このまま頑張ってください。