出版(紙・電子書籍)関連の気になるニュースまとめ #72(2013年6月24日~2013年6月30日)

Nexus 7のKinoppy

出版(紙・電子問わず)関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。先週は、「コンテンツ緊急電子化事業」の一部が復興予算として使われていないという東京新聞の記事が話題になっていました。

6インチ2560×1600ピクセルを誇る高解像度ディスプレイ技術、開発中 – ITmedia eBook USER ※2013年6月24日

Nexus 10と同じ解像度が6インチで実現できてしまう時代が、すぐそこまできています。電池の消耗がめちゃ激しいとは思いますが。

会場レイアウト – 第17回 [国際]電子出版 EXPO-(eBooks・イーブックス)は、書籍・雑誌・コミック・新聞などのデジタル化技術・サービス、コンテンツが一堂に集まるe-Book専門展です。 ※2013年6月24日

7月3日から始まる電子出版EXPOや東京国際ブックフェアの会場レイアウトが公開されています。右上に「楽天Koboが進化して登場!」という広告が出ているのが気になる……とりあえず真っ先に向かいます。

くすみ書房閉店の危機とこれからの「町の本屋」 « マガジン航[kɔː] ※2013年6月25日

地方の書店が、生き残りのためにさまざまな工夫をしているにも関わらず、次々と危機に陥っているという状況が伺えるレポート。

第5回:加藤貞顕(cakes)1/5|インタビュー連載「これからの編集者」 | dotPlace (α) ※2013年6月24日

第5回:加藤貞顕(cakes)2/5|インタビュー連載「これからの編集者」 | dotPlace (α) ※2013年6月25日

第5回:加藤貞顕(cakes)3/5|インタビュー連載「これからの編集者」 | dotPlace (α) ※2013年6月26日

第5回:加藤貞顕(cakes)4/5|インタビュー連載「これからの編集者」 | dotPlace (α) ※2013年6月27日

第5回:加藤貞顕(cakes)5/5|インタビュー連載「これからの編集者」 | dotPlace (α) ※2013年6月28日

cakesの加藤貞顕さんへの、非常に面白いインタビュー連載。簡単に要約すれば、ウェブ時代に対応できない編集者は生き残れないよ、ということですかかね。

Amazon、EA/Disney/Warner BrosのコンテンツをKindle FreeTimeに追加 – ITmedia eBook USER ※2013年6月24日

Kindle FreeTime は子ども向けの Subsciption(月額固定料金)サービスですが、Disney、Electronic Arts、Warner Brosと提携して一気にコンテンツ拡充したというニュース。これは敵わない。

電子書籍ブームで広まる「自炊」 代行業は合法的なビジネスになるか – WEBRONZA+経済・雇用 – WEBマガジン – 朝日新聞社(Astand) ※2013年6月25日

出版デジタル機構会長の植村八潮さん寄稿記事。「権利者と業者に挟まれた形となった出版社」が、どのように対処していくかが問われているという指摘。実は時を前後して瀬尾太一さんから、協議会に大手出版社が3社同席して前向きな姿勢を示してくれたという話が明かされています(“蔵書電子化”関係者座談会の前編)。

我らプロフェッショナル 世界を元気にする100人 – 「電子書籍は読み放題か無料になる」~赤松健氏・Jコミ代表/漫画家:ITpro ※2013年6月26日

これは赤松健さんが以前から主張していることですが、さてはて。ボクは、パッケージ的な販売手法がなくなるまでには、まだしばらく時間がかかりそうな気がします。「連載」をベースにしている漫画と、「単行本」が主流の文字モノでも、かなり状況が違いそう。

非破壊型スキャナーで自炊代行に影響は? “蔵書電子化”関係者座談会(後編) -INTERNET Watch ※2013年6月26日

ボクも参加した座談会の後編です。瀬尾太一さんが考えている方向性は実現可能性でいえば概ね賛成なのですが、「ストリーミング配信」はオフライン閲覧ができなくなってしまうので、あまり好ましくないのではないかなーと思います。

バーンズ&ノーブル、タブレット事業から撤退へ – WSJ.com ※2013年6月26日

ひとまず電子ペーパー端末は残るようです。Microsoftに事業売却という噂もありますが、どうなることやら。

2013年度電子書籍コンテンツ市場の需要予測:レポート|ICT総研 市場調査・マーケティングカンパニー ※2013年6月26日

電子書籍ストアの利用率で、なんと楽天「kobo」がトップという調査レポート。n=12,917という大規模調査のわりには男女比・年齢構成・居住地域などの情報が一切ないので、「代表性」はほとんどないものと思われます。つまり偏りまくってる。信用しちゃダメな部類の調査。

【電子書籍ビジネス調査報告書2013発行】2012年度の新プラットフォーム向け電子書籍市場規模は368億円でケータイ向けを逆転 | 株式会社インプレスビジネスメディア ※2013年6月27日

この市場予測は「比較的信頼ができる」という評判でした。

EBook2.0 Magazine — 「“デジタル・ネイティブ”は本など読まない」神話 ※2013年6月27日

アメリカでの調査結果。「紙もデジタルも等しく重視し、図書館を積極的に利用し、将来についても建設的な考えを持っている」とのこと。「文章」を読み慣れているかどうかが分水嶺であって、それが紙なのかディスプレイなのか携帯端末なのかというのは大きな問題ではない、ということだと思います。

東京新聞:被災地支援 書籍のデジタル化 復興予算 無理やり消化:社会(TOKYO Web) ※2013年6月28日

いわゆる「緊デジ」の成果物と予算の使い方に関する批判。東京新聞の1面トップと社会面に載って、結構話題になっていました。こう言ってしまうと身も蓋もないのですが、復興予算総額25兆円からすれば「たかだか20億円」のうちの25%(つまり5億円)程度の話なので、それほど目くじらを立てても……という気がします。もちろん検証は必要だし、いまの情報の出し方にはボクも大いに不満があるのですが。

JAGATセミナー「EPUB制作現場の実態と今後の課題」を終えて | 電書魂 ※2013年6月28日

ちょうど蔵書電子化座談会と同じタイミングで、行けなかったセミナーの貴重なレポート。さらっと「コンバート対応は、すでにXMDFやドットブックになっているものをEPUB3に変換するのを1タイトルとして数えるというような話で、おそらく緊デジの制作物のうちかなりの割合がこれだったのではないかと思われる」と書いてあるのが恐ろしい。登壇者の発表内容はかなり専門的な話ですが、紙をベースにした出版フローから電子書籍を作るのがいかに難しいことなのかをうかがい知ることができます。

AAP発表、2012年の米出版社による電子書籍の輸出高は前年比63%増の約120億円 – ITmedia eBook USER ※2013年6月28日

まだ額は小さいですが、英語圏であれば輸送料や関税といった障壁もないことを思うと、今後はもっと額が大きくなってくることが予想できます。日本語圏のみを対象とした商売には自ずと限界があるので、翻訳して発信するか、日本語教育によって日本語が読める人口を増やすというような努力が必要になってくるのかな、と。後者は国策としてやらないと難しいとは思いますが。

大日本印刷 トゥ・ディファクト、DNPグループ書店と連携し、hontoのオフィシャルマガジン『honto+(ホントプラス)』を創刊 | DNP 大日本印刷株式会社 ※2013年6月28日

電子と紙の両方で無料配信&配布というところと、佐渡島庸平さんのコルクが編集を担当しているというのが興味深い。

ソニー Reader の未発表モデル PRS-T3 が FCC入り、6型電子ペーパー画面採用 – Engadget Japanese ※2013年6月28日

噂だけ先行していた PRS-T3 が、本当に出るようです。写真を見る限り物理ボタンはT2と同じ。Bluetoothが載るようです。なんとなく厚くなったように見えるのは目の錯覚? フロントライトは噂通り積まないのか積むのか? 解像度はどうなるのか? 他電子書店との連携拡大はあるのか? などなど、わたし気になります!

朝日新聞デジタル:本の付録に腹巻き、歯ブラシ… 出版団体から「待った」 ※2013年6月29日

流通や税額軽減陳情だけの問題ではなく、書籍にオマケ付いてると再販制度適用除外になるはずなのですが。例えばアルバムCDに特典映像DVDが付いているケース。CD単体だと再販制度があるので安売りできないのに、特典映像DVDが付いていると適用除外になるので小売店の判断で安売りできるんですよね。

出版状況クロニクル62(2013年6月1日~6月30日) – 出版・読書メモランダム ※2013年6月30日

毎月楽しみにしている、小田光雄さんの出版状況クロニクル。図書館貸出総数増とともに書店数が減っている現状と、新刊点数が増え続けているのに売上額は減り続けている現状データが恐ろしい。粗製濫造された出版物にお金を払う人が少なくなっている(図書館で借りて読めばいいや、になっている)ということなのでしょうか。


電子書店各社から上半期ランキングが出ています。多くの電子書店でランキング上位を独占している「進撃の巨人」が、koboでは10位内に入っていないなど、傾向がかなり違っていて興味深いです。

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