「アマゾンが出版社倉庫へ直接集配」「フォーリーが小学館に譲渡」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #264(2017年3月20日~26日)

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 毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、私が気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「アマゾンが出版社倉庫へ直接集配」「フォーリーが小学館に譲渡」などが話題になっていました。

CCC、徳間書店の買収を発表 書店事業を強化 日本経済新聞(2017年3月21日)

 確報。やはりカルチュア・エンタテインメント株式会社傘下でした。議決権ベースで約97%って、残り3%が気になる。

DeNA報告書276ページを15分でざっくり読む 彼らは何を間違い、我々に何を残したのか? 骨董通り法律事務所 For the Arts(2017年3月22日)

 福井健策先生による、DeNA報告書の解説。DeNAを、プロバイダー責任制限法の免責を受けられるプラットフォームとみなすのは無理がある、と。「絶望的な未熟感」と「また米国勢との距離が開くのか」という嘆き。ドワンゴ(ニコニコ動画)はそのあたりうまかったんですけどねぇ……。

著作権判例集の著作権侵害認めず=教授が出版差し止め請求-最高裁 時事ドットコム(2017年3月22日)

 地裁では著作権侵害が認められ出版が差し止められましたが、知財高裁で決定取り消しされていた事案。教授側の抗告棄却で確定。この判例は次の「著作権判例百選」に載るでしょうか?

アマゾン、本を直接集配 発売日に消費者へ 日本経済新聞(2017年3月22日)

 今後はアマゾンが出版社の倉庫へ集荷に行くとのこと(ただし直接取引している出版社に限る)。所沢に新設された「アマゾン納品センター」の機能です。業界関係者の「むかしはトーハンや日販も、出版社まで集荷に来てくれたんだけどね……」という述懐が印象的でした。リスク軽減のため初版部数を抑えることで、地方都市の書店までなかなか本が行き届かない問題が如実になっており、通販シェアの拡大と、取次飛ばし、書店の淘汰が加速しそうです。

オトバンク、「聴く本」市場の門戸開く 日本経済新聞(2017年3月24日)

 オーディオブックについて。あまり新しい情報はありません。市場規模について「日本オーディオブック協議会によると、オーディオブックの国内市場規模は50億~60億円」と、設立当時に言っていた「約50億円」より少し伸びたかも? と言えるくらいの幅を持たせている感が。「オーディブル」の話題ってあまり聞かないなあ。

イーブックイニシアティブ、スマホアプリを中心とした知育コンテンツを手掛けるフォーリーの全株式を小学館に譲渡…電子書籍事業に経営資源を集中へ Social Game Info(2017年3月24日)

 2014年10月に子会社化したフォーリーの全株式を、小学館に譲渡。第4四半期決算(2016年3月期は変則で14カ月間)は大幅増収で経常利益が出るまで業績回復しており、苦しい時期は脱した感。

【チャイナネット事件簿】 ネット小説に大量の海賊版、背景には文章自動作成ソフト ほか~2017年2月 INTERNET Watch(2017年3月24日)

 中国の話題あれこれまとめ記事ですが、タイトルにも挙げられている「大量の海賊版」の話題が興味深いです。単に複製をアップするのではなく、自動リライトツールで著作権侵害にならないくらいまで大幅に書き換えを行ってしまうとのこと。換骨奪胎してアイデアだけの状態から構築し直せば、著作権法的にはセーフ。日本でも小説投稿サイトがAI創作物に埋め尽くされる日が近いかもしれませんね。ちなみに中国もベルヌ条約と万国著作権条約には加盟済みです。

Mediumが有償購読制を開始 TechCrunch Japan(2017年3月24日)

 2月20日のまとめに“「出版業界のNetflixになる」というのは、日本で言えば「cakes」や「note」みたいな感じ?”と書いたのですが、まさにそういう方向に。月5ドル。


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