「メルカリで新刊販売も」「サイバーエージェントSpotlightが新R25へブランド統合」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #271(2017年5月8日~14日)

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 先週は「メルカリで新刊販売も」「サイバーエージェントSpotlightが新R25へブランド統合」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年5月8日~14日分です。

メルカリ新アプリ登場 エンタメ特化「カウル」 ITmedia ビジネスオンライン(2017年5月8日)

 本や音楽・映像ソフトなどの「エンタメ・ホビー」カテゴリーを専用アプリに。最後のほうにさらっと書いてある「今後は、出版取次業者と協力し、メルカリ カウル上で中古の商品だけではなく新刊の販売も予定するという」という記述にびっくり。アマゾンと同じように、新刊と古本が同じ場で販売されることになるわけです。トーハン「e-hon」か日販「Honya Club.com」で発送するのかな? 大阪屋栗田「楽天ブックス」もあり得る?

「メルカリに食われる」、リユース業界の悲鳴 東洋経済オンライン(2017年5月8日)

 2ページ目に推移グラフが載っていて、なかなかインパクトがあります。「メルカリ」が要因として挙げられているのですが、サービス開始は2013年です。2016年8月に急変している理由が、この記事ではわかりませんでした。「メルカリ」のリリースを確認してみたところ、2016年7月にウェブサイトから出品可能になる機能追加が行われています。これが要因で、出品が急増したというのはあり得そうです。

書籍無断公開5万点か 被害数十億円、警視庁が情報収集 日本経済新聞(2017年5月9日)

 ゴールデンウィーク中に閉鎖された海賊版電書サイト「フリーブックス」に対し、警察が捜査に動き出した模様。新潮社のコメント「同様のサイトが登場しないよう法整備を進めてほしい」が気になります。すでに、2015年1月施行の改正著作権法で、出版社が電子出版権を取得していれば違法サイトを訴える当事者になれます。つまり、今回警察が動くのは法整備のおかげ。これ以上なにを求めているのでしょう。もしかして、音楽・映像と同様の、海賊版ダウンロード違法化?

 個人的には、一般ユーザーが正規サイトを判別できる「エルマーク」のような表示を、早期に業界団体で用意すべきだと思います。正規で無料公開されている場合もあるわけで、現状では海賊版サイトであることを一般ユーザーが見分けることは困難です。

まとめサイト問題、広告の責任は? 電通幹部「品質判断は難しい」 withnews(2017年5月10日)

 “個別ターゲティングが容易となったので、「掲載媒体の質」という発想が軽視され過ぎた時期が続きました”とありますが、そこを広告主に提案することこそが広告代理店の役割では。「ブランドセーフティ(ブランド保護)」という考え方や、「アドベリフィケーション(アドベリ)ツール」の普及促進が望まれます。

DeNA、まとめサイトは「再開難しい」 ITmedia ビジネスオンライン(2017年5月11日)

 キュレーション事業を存続するかどうか、「難しい」と発言するも結論はまだ出していません。どうも、DeNAと同じようなことをやっていた他社が、うまいこと糾弾を免れてしまった感が。

「新R25」創刊へ サイバーエージェントが新メディア ITmedia ビジネスオンライン(2017年5月11日)

 4月末でサービス終了した「R25」のMedia Shakers(リクルート子会社)を、サイバーエージェントが買収。DeNA「Welq」などのまとめサイト問題で延焼しかけていた「Spotlight」をブランド統合し、「新R25」として再出発するとのこと。悪い評判が付いてしまったから、看板を付け替えるということでしょうか。再開後、どのような運営になるかを注視しておきたいところです。

アマゾン「マーケットプレイス」方針に作家団体が抗議 EBook2.0 Magazine(2017年5月11日)

 アマゾンでは新刊・古本が同時に売られていますが、従来は新刊が優先表示されていました。これが今後アメリカでは、安いものを優先表示する形に変わるようで、出版社や作家の団体が猛反発しています。初期状態の[Add to Cart]または[Buy now with 1-Click]ボタンで注文されるのが、新刊・古本関係なく最安値のものになる、ということでしょうか。アメリカは日本と違って買い切り・自由価格なので、アマゾン自身も新刊の在庫が売りづらくなる……? 出版社や作家からすると、新刊の仕入れが減るかもしれないという懸念があるということでしょうか。日本にもいずれ同じ制度が導入されるかもしれないので、注視しておきたいところです。

カドカワ—17/3期は売上高が2.4%増、Web、出版、映像などのメディアミックス戦略を積極展開 企業情報FISCO(2017年5月12日)

 最終的に、修正予想(2016年11月10日発表)も上回る売上・利益に着地。残念なことに、IR資料で電子書籍売上高の実数が非公開になってしまいました……(グラフは残っています)。

カドカワ2017年3月期通期決算説明資料


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