「“一人出版社”支援サービス」「『角川新字源』全面改訂編集者がリアル『舟を編む』」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #295(2017年10月23日~29日)

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 先週は「“一人出版社”支援サービス」「『角川新字源』全面改訂編集者がリアル『舟を編む』」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年10月23日~29日分です。

“一人出版社”を5万円で開設できる新サービス、Amazon.co.jpで紙の書籍をPOD販売可能 INTERNET Watch(2017年10月23日)

 「著者向けPOD出版サービス」では出版社名が「NextPublishing Authors Press」というブランド名称になるのが、独自の出版社名を使えるようになるオプションサービス。費用は開設時のみで、出版時にはかかりません。ただ、ISBNは別途取得する必要があります。アマゾンに広告を掲載する「Amazonマーケティングサービス」が利用できるようになる、というメリットも。詳細はこちら。URLが author から publisher に変わっていることもあり、費用をかけてでも本格的に出版を商売としてやっていこうという人に向けたサービス、という感じです。

Google、ニュース出版社との収益分配を計画中との報道 TechCrunch Japan(2017年10月23日)

 記事の「アップデート」で、Googleから「収益面での結論はまだ出ていない」という回答があった旨が記載されていますが、同時に「収益分配は出版社側に有利で非常に寛容な条件になる」とも回答しており、これから本格的に動くのは間違いないようです。

Facebook、広告を出さないページの投稿をメインフィードから追いやるテスト ITmedia NEWS(2017年10月24日)

 まだテスト段階とのことですが、実際にやりかねないと思います。現状でさえ、Facebookページの「いいね!」数がそこそこあっても普通の投稿はあまりリーチせず、広告を出しましょうという通知が山ほど飛んでくるような状態。実際のところ、ボクのブログにFacebookからアクセスしてくる人は3%程度(半分近くがGoogle検索)なので、個人的にはあまり影響なさそうではありますが。

アマゾン、「Kindle」アプリを大幅アップデート–米国版はSNS機能を拡大 CNET Japan(2017年10月25日)

 メジャーアップデート。とはいえ日本版のアプリはガワが変わっただけという印象。アメリカ版アプリは、以前買収した読書コミュニティ「Goodreads」の機能が大幅に強化されているようです。日本の読書コミュニティ大手は「読書メーター」がカドカワ、「ブクログ」がヤフー&DNPグループの資本になっているので、アマゾンに組み込まれる可能性は低いかなという感じ。

東京国際ブックフェアは来年も開催せず 文化通信(2017年10月25日)

 2年連続開催なし。このまま自然消滅しそう。お役目ご苦労様でした。

浜松市、楽天と電子図書で連携 外国語図書中心に 日本経済新聞(2017年10月26日)

 記事には「楽天の電子図書サービス」としか書かれておらず、浜松市の報道発表資料も同様ですが、OverDrive Japanの図書館総合展フォーラム案内に浜松市立中央図書館館長する旨が記載されていたので、OverDriveの導入で間違いないでしょう。浜松市はブラジル人の在住者数が非常に多く(9000人近い)、ニーズが高いモノと思われます。「協定の期間は19年10月末まで。サービスは楽天が無償で提供する」とのことなので、その後は有償になる「お試し」的な位置づけなのでしょうかね?

図書館が文庫本まで貸し出しすると、出すべき本を出せなくなるかもしれません【文藝春秋 松井清人社長インタビュー前編】 ダ・ヴィンチニュース(2017年10月27日)

出版社と書店と図書館の共存のために、「文庫本は買うもの」というマインドを【文藝春秋 松井清人社長インタビュー後編】 ダ・ヴィンチニュース(2017年10月27日)

文藝春秋・松井社長「フリーの風潮に流されず、図書館の役割考え直して」 文庫本の貸出中止をお願いする真意 弁護士ドットコム(2017年10月27日)

 後追いインタビューで「真意」きました。図書館における文庫の貸出数など具体的な数字が出てきたのはいいことですが、ダ・ヴィンチニュースの後編で松井社長ご自身でも述べている通り、文庫書き下ろしの作品も含まれた数字で語られても説得力に欠けます。そもそも文庫の売上が30%を占め文春の収益を支えているというのは、そういう収益構造にしてしまった文春の経営に問題があるのでは。「良書」ってなに? 定義を教えてください。

第71回読書世論調査:自己啓発本、4割興味 マンガ読者も年重ね(その1) 毎日新聞(2017年10月26日)

第71回読書世論調査:自己啓発本、4割興味 マンガ読者も年重ね(その2止) 毎日新聞(2017年10月26日)

 毎年行われている読書世論調査。その1では自己啓発本、文学賞の認知度、憲法関連本について。その2ではマンガ、好きなジャンル、読書率/不読率、新聞ラジオテレビ、オンライン書店の利用率などについて触れられています。2000年調査と比べ、マンガを読む率が10代で減少、20代~50代で増加というのは興味深い現象。スマホの普及率と「マンガを読む習慣」の有無が大きく影響していそうです。

活字離れ?いやいや、今の日本人は漢字に詳しいですよ BuzzFeed(2017年10月28日)

 漢和辞典『角川新字源』が23年ぶりの全面改訂。編集作業をとりまとめる方が、20代半ばにホビー誌の編集部から辞書編集部に異動してきたという。まるで三浦しをんさんの『舟を編む』みたい。1万3500字の手書き漢字一覧表とか、初版の1968年からずっと活版印刷だったとか、興味深い話がいっぱいのインタビューです。中村佑介さんのイラストがケースに使われている特装版、欲しいなあ……。


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