「イオン系で成人誌販売中止」「村井純教授インタビュー」「DRMフリー電子書店が増減」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #300(2017年11月27日~12月3日)

BookLive

 先週は「イオン系で成人誌販売中止」「村井純教授インタビュー」「DRMフリー電子書店が増減」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2017年11月27日~12月3日分です。いつもより2日遅れになってしまった。すいません。

図書館とコピーの(実は)複雑な関係 ~スマホで撮っちゃダメですか?~  骨董通り法律事務所(2017年11月28日)

 「私的使用」の複製についてと、コンビニ機でのコピーと、図書館でのコピーについて、詳細な解説。誰が複製の主体なのか? がポイント。あと、前回のまとめで取り上げた「全ての蔵書が電子書籍という私設図書館」の法的根拠についても解説されています。

劇的な若者の4マス離れ…年齢階層別に見た4マス接触の時間の実情と過去からの変化をグラフ化してみる ガベージニュース(2017年11月29日)

 年齢階層別の時系列グラフがなかなか衝撃的。1986年から2016年の30年間で、60歳未満の4マスとの接触時間が半分くらいになっています。ただ、これは4マスをまとめた数字。接触時間は広告売上と比例すると仮定すると、恐らくテレビはあまり減っておらず、新聞・雑誌が激減しているのではないかと思われます。

コンビニ成人誌追放 出版社が恐れる売り場消滅 日本経済新聞(2017年11月30日)

 周囲でもそうとう物議を醸していた、ミニストップの成人向け雑誌販売中止。連動して、イオン系の未来屋書店やスーパーなどでも販売をやめるとのこと。営利企業による自主的な営業判断によるものであれば「それはしょうがないね」「いい判断かもね」という話で終わるのですが、問題はこの件のきっかけが千葉市の要請によるものであるという点。公権力による「命令」ではないのですが、いわゆる「忖度」が強く入った判断なわけです。それが色濃く出ているのが、会見が千葉市役所内で行われたという点。今後、命令ではなく、忖度を求めるという手法が行政に広がっていきそうで怖い。

IT関係者必見! 村井純教授インタビュー全文公開 “30年かけた準備が終わり、これからが本番”  INTERNET Watch(2017年11月30日)

 「この23年間でもっとも重要な技術とは」という質問に、迷わず「無線」と「バッテリー」、つまり「モバイル」だと回答するところがさすがの村井純先生。当時の郵政省(現総務省)の役人に「たいして遠くに飛ばない無線をなぜ国際的に合わせる必要があるのか。日本独自のルールでも問題ないだろう」と言われ、そうじゃないんだと説得するのが大変だったという昔話にはため息。霞が関のこういう体質、いまもあんまり変わっていないんじゃないかなあ。

2017年文藝春秋春秋電子書籍DL数ベスト10発表1位は累計20万DLに達した『火花』、トランプ大統領を予言したと話題になった『アメリカの壁』もランクイン! @Press(2017年12月1日)

 記事になっていないようなのでプレスリリースをピックアップ。『火花』がとうとう20万ダウンロード到達。10位に電子書籍オリジナルの『アメリカの壁 小松左京e-booksセレクション』が入っているところも注目。

画像の登録だけでAIが不正利用を検知–「NAVERまとめ」が著作権管理システムを導入 CNET Japan(2017年12月1日)

 「NAVERまとめ」のLINEが信頼性向上のための施策を打ち出すという新方針を発表してからまるっと1年。子会社を設立して切り離したときは「トカゲの尻尾切りか!」と思っていたんですが、ちゃんとシステム開発も動いていたんですね。「将来的には(1次コンテンツに対する)収益の分配にも対応する予定」とのこと。さすがにそこまではすぐには実装できなかったようですが、前に進んでいることは良いこと。有言実行、すばらしい。

DRMフリー電子書籍ストアがまたひとつ……オーム社の電子書籍ストアが運営終了へ INTERNET Watch(2017年12月1日)

 「やはりソーシャルDRMは難しいのか?」といった反応が散見されたのですが、どうやらこれはオーム社の運営スタッフ退任によるもので、サービスがうまくいってなかったというより、人材流出を止められなかった、編集チームが社内政治でつぶされた、ということが原因のようです。なお、一部の商品は、「達人出版会」で引き続きソーシャルDRMでの配信を行うとのことです。

WEB新書ヘルプ はじめての方へ(2017年12月1日?)

 「EPUBファイル内には、購入者情報がわかる暗号化データが埋め込まれています」ということで、朝日新聞之「WEB新書」がソーシャルDRMに対応。オーム社の電子書店終了とちょうど入れ替わるかのようなタイミングです。

和歌山市駅に直結、「ツタヤ図書館」開館へ 最大規模 朝日新聞デジタル(2017年12月1日)

 CCCと図書館流通センターの2社応募があり、識者のよる選定委員会による評価でCCCが選ばれたとのこと。武雄市、海老名市、多賀城市などと同じような事件(貴重な地域資料を破棄したり、系列会社から古本を仕入れてみたり)が起きないことを祈ります……。個人的には、図書館にも多様性があっていい、とは思っているのですが。

出版状況クロニクル115(2017年11月1日~11月30日) 出版・読書メモランダム(2017年12月1日)

 毎月楽しみな、小田光雄氏の出版状況クロニクル。「10」で「はるか夢の址」の逮捕について「(朝日新聞には)続報が出ていない」と言っているのですが、毎日新聞は非常に熱心に追いかけていてたくさん続報が出ています。ざっくりとではありますが、シミルボンにまとめておきました。

ZINEの生態系とローカリティ マガジン航(2017年12月1日)

 毎月楽しみな、仲俣暁生氏の Editor’s Note。「同人誌」と言うと二次創作のマンガ(それもエロいやつ)しか思い浮かばない人も多いので、こういう小冊子をどう表現するかはいろいろ悩ましいところではあります。ちなみに私は略さず「同人雑誌」と呼ぶことで、明治時代の硯友社『我楽多文庫』からの流れなのだという主張をしていました。そういう意味で「ジン(ZINE)」は、まだあまり色がついていない呼称なのかな?


日本独立作家同盟主催イベント、12月16日に開催。ひさびさに私が登壇します٩( ‘ω’ )و


来年1月9日のJEPAセミナー「新春講演会 2018年の電子出版はどうなる?」で登壇します。なんか毎年恒例になってきました٩( ‘ω’ )و


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