「太洋社破産手続き開始決定」「自炊代行は著作権侵害・最高裁で差し止め確定」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #212(2016年3月14日~20日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「太洋社破産手続き開始決定」「自炊代行は著作権侵害・最高裁で差し止め確定」などが話題になっていました。

電子書籍の利用率が2割弱で頭打ち、「利用意向なし」が増加、「関心なし」と合わせると6割以上に -INTERNET Watch ※2016年3月14日

ジャストシステムのFastaskによる自主調査。調査レポートをダウンロードしてみたら、PDFで488ページありました。Webサービスの利用動向は個々のサービス別に質問している(しかも推移で確認できる)ので有用性が高い。じっくりチェックしてみたいです。

ところが、「電子書籍」の利用率については「電子書籍の利用意向について、あなたの状況をお答えください」という質問のみで、なにが「電子書籍」なのかの定義は回答者任せになっていますね。これ、紙のレプリカである「電子書籍」以外を、ユーザーがどう認識しているかで大きく数字が変わりそうです。

例えば、comicoみたいな無料マンガアプリ系はまだしも、ウェブ小説・ウェブ漫画あたりは「電子書籍」と思われていない可能性大。「あなたが過去1年間に利用したサービスを、下記の中から全て選んでください」みたいな形で列挙したら、実は結構利用率高くなるんじゃないかな?

ちなみに、ブラウザの利用率は「全てお答えください」だから複数回答可なのに、100%積み上げ棒グラフにしちゃまずいのでは。数字合計すると100%超えますヨ。

【新文化】 – 太洋社、破産手続き開始決定受ける ※2016年3月15日

「もはや万策が尽きた」というリリースが印象的。結局、自己破産した芳林堂書店の売掛が回収できなかったのが致命傷となりました。これもしかして、トーハン・日販の取引先でも、似たような状況になっている書店があるのかも?

国連が批判する日本の漫画の性表現 「風と木の詩」が扉を開けた – BBCニュース ※2016年3月16日

BBCニュースによる、漫画家・竹宮惠子さんや漫画研究者・藤本由香里さんへのインタビュー。最後に載ってる(英語記事 The godmother of manga sex in Japan)というタイトル、日本語版とあまりに違うのががががが。

アマゾン、衝撃的な取次「出し抜き」策…出版業界の取次「外し」加速で悪しき慣習破壊 | ビジネスジャーナル ※2016年3月17日

謎の出版業界通・佐伯雄大氏の記事。『取次の顔も立てたサービス』なのに『取次「出し抜き」策』とはいかに。

「自炊」代行は著作権侵害 最高裁で確定 – ITmedia ニュース ※2016年3月17日

発端は2011年9月、出版社7社と作家・漫画家122人が自炊代行業者に質問状を送ったところからでした。あれから5年。最高裁までいって、とうとう決着。大方の予想通りの結果ではありましたが。知財高裁の判決文はこちら(PDF)

2014年のMIAU設立6周年記念イベントで「自炊代行訴訟の動向」について報告があって、そのころはまだ知財高裁で裁判をやっていたんですよね。当時既に、7社訴えられたうちの1社だけ(「スキャポン」の有限会社ドライバレッジ)が残っている状態でした。

ところで、もしTPP協定発効して著作権法が変わったら、自炊代行はどうなるんだろう? 「ブックスキャン」みたいに、裁断スキャン電子化したら紙は確実に廃棄処分するスキームになっている会社は、「原作のまま複製」ではあるけど「利益が不当に害されること」にはならないから、非親告罪には引っかからないような気もするのですが。専門家による解説が欲しい。


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