毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「2Dfactoが古書買取」「BWインディーズ」「楽天Koboライティングライフ」などが話題になっていました。
紙の雑誌を買うと電子版もゲット TSUTAYAの「Airbook」を試してみた – ITmedia eBook USER ※2014年12月1日
「Airbook」サービス開始初日の体験レポート。さすが西尾泰三編集長。初期設定さえしておけば、購入時にTカードを提示するだけという簡便さは驚異的だと思います。
出版状況クロニクル79(2014年11月1日~11月30日) – 出版・読書メモランダム ※2014年12月1日
毎月楽しみな小田光雄さんの出版状況クロニクル。
しかし本文でも言及しているように、楽天と大阪屋の関係から、コミックの電子書籍化が進めば、この売上自体もマイナスになり、書籍、雑誌、コミックの総崩れを招来しかねない状況を迎えつつあるようにも思われる。
いまさらカニバリズム論!? と思ったのですが、よく読み返してみたら「書店売上」の話でした。なるほど。確か「BooCa」や「空飛ぶ本棚」みたいな取り組みにも否定的だったような。批判するだけではなく「じゃあどうすれば?」という提案が欲しいところ。
【新文化】 – 角川歴彦氏、「リアル書店の維持がネット書店への対抗軸」 ※2014年12月1日
「リアル書店」を守らなければという考え方は、川上量生会長とも方向性が一致しています。川上氏の場合、どこまで本気か分からないけど。
電子書籍が紙の書籍を超えるには? – ITmedia eBook USER ※2014年12月1日
「紙の書籍を超える」必然性は別にないと思うのですが、普及へのカギをソーシャルDRMが握っているという意見には賛成。しかし、日本の電子書籍比率15%って、ちょっと高すぎやしませんかニールセンさん。
iOS版Google Play ブックスがアップデートしてサイドロードに対応 ※2014年12月2日
まったく話題になってませんが、それなりに重要な動きだと思うのでピックアップ。Android版のサイドロード(というかクラウドへのアップロード)は妙に時間がかかるのですが、iOS版はサクッと開けてなかなか快適でした。ただ、ところどころで表示がちょっとおかしい場合ががががが。うーん。
リアル書店の在庫を検索できるアプリ「honto with」 丸善・ジュンク堂・文教堂に対応 – ITmedia ニュース ※2014年12月2日
hontoの大きな動きその1。やっとこういうサービスが出てきたか、という感じ。店頭在庫検索で棚の位置を調べられるのはいいけど、店内マップで表示してくれないかしらん? 棚の番号探すのが面倒なんだけど。hontoの通販とも連動してるのは良い。
コンテンツをバンドルした専用端末「honto pocket」、12月11日発売 – ITmedia eBook USER ※2014年12月2日
hontoの大きな動きその2。ブックフェアで2年連続参考出品だった「honto pocket」が、満を持して登場。会員登録やダウンロードが不要なのはいいけど、端末壊れたらおしまいというのは……。むしろhonto会員に登録させて、端末が壊れたとしてもコンテンツは守られる方向にすべきだったのではないかと。うーん。
【新文化】 -トゥ・ディファクト、来年1月末から本の買取りサービス開始 ※2014年12月2日
hontoの大きな動きその3。個人的にはこれが一番衝撃的。古書買い取りはいいとして、なんでブックオフオンラインで販売するの。hontoで新刊や電書と同じ土俵に並べろよ!!とツッコミ。
来春には、honto内で購入した紙の本が電子化されている場合、その電子版を50%オフで購入できるサービス「読割50」も開始する予定。
それもいいけど、古書買い取りで「hontoに電子版があれば交換します」だったらいろんな方面にメリットが出る形にできるのに、と思いました。ある意味、自炊代行ニーズへの別解。電子版のコピーコストは限りなくゼロに近いのだから、電子版との交換なら古本の仕入れコストゼロ(もちろん人件費その他はかかるとしても)にできるわけで。そのぶん著者と出版社に還元するような仕組みにできれば……というところまで妄想しました。
古本屋から買ってきて交換する人が現れる? それは想定の範囲内です。交換したい人が現れるような人気のある本は、古書市場で適正な値付けがなされていれば人気に応じてだんだん高くなっていきます。流通量もコントロールできるし。いずれ「古本屋から買ってきて電子版と交換」の方が損するようになりますよ。
まあ、こういうこと、きっと中の人も構想してるはず。ボクよりずっと頭良い人が揃ってるだろうから。
絶頂ッッ!! BOOK☆WALKERが4周年記念で「絶頂!常識破りの大感謝祭《カーニバル》」 – ITmedia eBook USER ※2014年12月3日
4周年記念セールと同時に、新サービスの発表が。月額500円定額読み放題サービスの「角川文庫プレミアムクラブ」と、名前だけ公表された「BWインディーズ」。後述しますが、楽天Koboライティングライフもベータ版スタート日時が発表され、セルフパブリッシング界隈もまたさらに盛り上がりそうです。あと感謝祭。
海外マンガフェスタ2014 リポート:どうなる漫画の未来――海外のデジタル化への取り組み、その現状 – ITmedia eBook USER ※2014年12月3日
コミティアでこんなイベントやってたんですね。行きたかったなあ……。里中先生の「漫画の海賊版は紙の漫画をスキャンしたものが多く、そういった意味ではデジタル化が進めば漫画の海賊版も減っていくのではないでしょうか」という発言は慧眼。
BOOK☆WALKERとBCCKSが連携、BWインディーズの布石か? – ITmedia eBook USER ※2014年12月4日
ひとまず今回発表されたのは、BOOK☆WALKERのアカウントでBCCKSに会員登録ができるようになったのと、BOOK☆WALKERで登録しているクレジットカードでBCCKSでも購入決済できるようになったのと、BCCKSでのストア配本印税率が35%から50%にあがったこと。「BWインディーズ」との関連性は、現時点では何も明かされていません。念のため。まあ、記事にもあるように「KADOKAWAグループの作品を二次創作できる投稿プラットフォーム」ができたら、それは素敵なことだと思うのですが。
楽天Kobo、出版サービス「楽天Koboライティングライフ」を12月18日から開始へ – ITmedia eBook USER ※2014年12月4日
ついにきましたKWL。KDPの対抗馬として期待が大きいのですよね。ブックフェアで「年内提供開始予定」とされていたので、ギリギリ間に合った感じ(ベータ版みたいですけど)。まだ詳細は明かされていないので、システムや条件面などは不明です。18日を刮目して待つべし。
(デジタルトレンド・チェック!)アマゾンの電子書籍戦略を聞く:朝日新聞デジタル ※2014年12月4日
アマゾンジャパンの幹部が大手新聞社のインタビューに応じるのは珍しいのでピックアップ。西田宗千佳さんのツッコミは鋭くさすがだなあと思うのですが、答える玉木一郎氏もうまいこと具体的な話を避けている印象。やるなあ。
Barnes & Nobleの電子書籍ビジネスからMicrosoftが撤退、保有株式を売却 – ITmedia eBook USER ※2014年12月5日
これで Barnes & Noble がどうなるかにはあまり興味がないのですが、Microsoft の電子書籍ビジネスに対するスタンスがどうなるかには興味津々。とりあえず、Windows標準のEPUBビューワが存在しない状態をなんとかして欲しいのに。International Digital Publishing Forum (IDPF)からまた脱退、なんてことがなければいいんですが……。