先週は「海賊版サイトの緊急避難的ブロッキングを政府が要請へ」「アマゾン配送料値上げも本は今回も対象外」などが話題に。毎週月曜恒例の、出版業界関連気になるニュースまとめ、2018年4月2日~8日分です。
青空文庫のSSL化対応についてのお知らせ|そらもよう〈青空文庫(2018年3月31日)〉
見落としていたので改めてピックアップ。青空文庫が常時SSL(暗号化通信)化です。httpにアクセスしてもhttpsにリダイレクトされます。ブックマークやリンク先などを変更いただけると幸甚です、とのこと。
青空文庫のSSL化についてのお知らせと利用者へのお願いは「そらもよう」に掲載されていますのでご覧ください。https://t.co/HwvvM5eR5h
大事なお知らせは必ず「そらもよう」で告知するようにしていますので、こちらにも目配りしてくださいね。
— Akiko TOMITA (@hugling13) 2018年4月1日
フリーランス・ライターに便利な自動ポートフォリオ作成ツール〈TechCrunch Japan(2018年4月1日)〉
面白いツール。「VoiceGraph」という技術により、自動でポートフォリオを作成できるそうです。試してみましたが、アカウント作成時の日本語名は蹴られてしまいました。英語で登録して、あとから「Edit info」で日本語名にできます。
「+」から寄稿記事を1メディア1記事追加すれば、あとは自動で収集してくれる……らしいのですが、日本語名でちゃんと拾えるかしら? ひとまずBioなど諸情報を100%まで入力して様子見。
広告費ほぼゼロでもオーディオブックが月間6万部売れる! オトバンクのマーケティングは何がスゴい? | インタビュー〈Web担当者Forum(2018年4月2日)〉
社長 久保田裕也氏へのインタビュー。アクセスの大半がオーガニック検索からの流入とのこと。試しにシークレットモードで「オーディオブック」をGoogle検索してみたら、アマゾン「Audible」を抑えて1位でした。社内で「改善に必要なKPIのデータをSlack上で誰でも自由に見られる」ようにしているというのが素晴らしい。個人情報を除くと、すべてがオープンチャンネルになっているそうです。面倒を避けるため、直接関係する人だけのプライベートチャンネル運用にしがちですが、オープンにしていったほうが結果としてのちのちのコミュニケーションコストを下げるのかも。ちなみに役員会議の議事録すらオープンになっているそうです。すげぇ。
ハイブリッド型総合書店「honto」と「ブクログ」が相互連携、購入履歴が本棚へ自動登録〈見て歩く者 by 鷹野凌(2018年4月2日)〉
4月からブログの運用を少し変え、プレスリリースなど一次情報を元に、デイリーで気になる動きを400字以内くらいのストレートニュースとして配信してみることにしました。その1本目がこちら。「ブクログ」と「honto」の自動連携です。これは便利。というわけで業界関係者の方々、プレスリリースお待ちしています。
「読書メーター」のトリスタをブックウォーカーが子会社化〈見て歩く者 by 鷹野凌(2018年4月3日)〉
2014年10月にドワンゴが買収したトリスタを、KADOKAWA子会社のブックウォーカーに移管。ドワンゴによる買収は、KADOKAWAとドワンゴが経営統合してKADOKAWA・DWANGO(現:カドカワ)が生まれる直前のこと。前年にアマゾンがアメリカの読者コミュニティ「Goodreads」を買収しているので、日本でも「読書メーター」や「ブクログ」が買収されるような事態が起こるかも? と思っていた記憶があります。経営統合により、同じグループ内で「BOOK☆WALKER」と「ニコニコ静画(書籍、漫画、イラスト)」が併存し、開発リソースを二重に食ってしまう状況はどうするのか? とも思っていたのですが、結局、ブックウォーカー側に寄せることに。「ニコニコ書籍」のアプリは、2017年9月のリニューアルで「BOOK☆WALKER」の色違いに差し替わっています。ようやくいろいろ一本化。今後が楽しみです。
ピクシブが考える「Webマンガ」の可能性――書店と作る”漫画が読まれる未来”〈ほんのひきだし(2018年4月3日)〉
ちょっと驚いた記事。ピクシブの中の人が、“以前から「Webで公開していると単行本の売上が落ちる」と言われてきました。私もその部分はあると認識しています”と。「pixivコミック」でマンガを無料公開することにより、認知獲得と単行本の販売促進を担っていると思っていたのですが。うーん? 日販の媒体だから忖度した?
ラノベのレンタル実証実験、需要あり〈新文化(2018年4月4日)〉
昨年2月の貸与実験開始のニュースに「なんでいまさら、あらためて実験をする必要があるの?」と疑問符を付けた私。結局、実験期間は4カ月だけだったようですが、需要があるのはわかったようです。しかし、一般社団法人出版物貸与権管理センターの公式サイトに、この件の情報が見当たらない……。
アマゾン配送料上げ 最大1.5倍、物流コスト転嫁〈日本経済新聞(2018年4月4日)〉
とうとう消費者へ転嫁。他社も追随するかも? ただし、本はまだ対象外。プライム会員の値上げも行われません。2年前に全商品送料無料が終わってから、いつ値上げされてもおかしくないと思っているのですが、サービス追加しても値上げはしないままここまで来ています。ICT総研の調査によると、定額制動画配信サービスで一番利用率が高いのはプライム・ビデオのようですが、ここで値上げすると他の満足度の高いサービスへユーザーが流出しかねない、というのはあるかも。
「料理レシピ本大賞」が選考システムとして「NetGalley」を導入〈見て歩く者 by 鷹野凌(2018年4月4日)〉
これは面白い。確かに「NetGalley」は、「書店員が選ぶ」や「図書館員が選ぶ」といったアワードを開催する仕組みとして適しているように思います。
「ネットで稼ぐ方法」の前に… 新聞社からヤフーに出向して考えたこと〈newsHACK(2018年4月4日)〉
上司から「ネットでどうやったら新聞社が稼げるのか考えてこい」という指令を受け、西日本新聞社からYahoo!ニュース トピックス編集部に人材交流で2年間出向していた方による真摯な振り返り記事。実際に読まれるニュースは「芸能人の交際や破局、一見なんでもない動物の話題」とはいえ、そういう話題で広く人を集める「報道媒体」は、私は嫌だなあ。
「在庫リスク」が電子書籍の売れ方を決める〈GetNavi web(2018年4月5日)〉
西田宗千佳氏のヒアリングでも、電子書店では「おおむね新作2に対し旧作8」とのこと。在庫リスクの違いからビジネス構造も異なるのだと、私とほぼ同意見です。
海賊版サイト:遮断要請へ 政府、著作保護に「緊急避難」〈毎日新聞(2018年4月6日)〉
海賊版サイトのブロッキング問題が物議…既に実施している「児童ポルノ」との違いは〈弁護士ドットコム(2018年4月7日)〉
日本国内の設備から海賊版サイトを配信する米Cloudflareブロッキングを無効化する新サービス開始(楠正憲)〈Yahoo!ニュース個人(2018年4月8日)〉
政府が海賊版サイトのブロッキングについて言及し始めたのが3月19日の報道。私が理事長をやっているNPO法人日本独立作家同盟で「海賊サイトによりマンガ文化が壊される!作家が生き残る方法とは?」というトークイベントの告知を始めたのが3月28日。そこから、政府が立法手当をせず「緊急避難」的にブロッキングを実施するよう「要請」する方針だとか、それに対し猛反対の意見が出たりとか、事態が急に動いています。なんというタイミング。
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