2014年2月5日から7日までサンシャインシティコンベンションセンターで行われている、公益社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)主催のイベント「page2014」に行ってきました。テーマは「始動!コミュニケーション・ファクトリー」とのことです。
なお、前夜祭「JAGAT会員のためのセミナーと懇親会」のレポートはこちらです。
ひと通り会場内を見て回ったのですが、あちこちで印刷機が動いていて、インクの匂いがして、業界外の人からすると普段見慣れない光景なので結構新鮮な感じでした。
個人的に強く興味を惹かれたのはCANONブース。「ブラックジャックによろしく」のオンデマンド印刷と製本のデモをやっていました。
出版社の方はオンデマンド印刷を嫌がってるところが多いようですけど、サンプル版を見せてもらった限りでは、ここまで綺麗ならオンデマンド印刷でもぜんぜんOKじゃん! という印象でした。
取次からの総量規制で部数が抑えられてしまっていると嘆いている出版社さんは、思い切って電子版+オンデマンド印刷版に切り替えていく方向性のほうが活路を見いだせるんじゃないだろうか、と思うのですが、そんな簡単な話じゃないのかなあ……。
さて、今日の取材の主目的はこちら。
「電書魂」のJun Tajimaさんからお誘いをいただき、印刷会社がEPUB制作で直面している課題についてのカンファレンスにおじゃましてきました。いつもお世話になっています。
頭のなかで三沢の入場テーマがぐるぐる回ってるんだけどなにこの症状?
— Jun Tajima (@JunTajima) 2014, 2月 5
昨日はだいぶ緊張していたようですね。
ここからはカンファレンスの詳細レポートを……といきたいところなのですが、JAGATの方から「詳細レポートはご遠慮いただけると助かります」とブレーキをかけられているので、概要だけさらりと。有料セミナーだから、致し方ありません。
モデレータは、一般社団法人電子出版制作・流通協議会(電流協)の田原恭二さん。
スピーカーは、大日本印刷 hontoビジネス本部 制作開発部の吉田政紀さん。
凸版印刷 デジタルコンテンツソリューションセンターの遠藤亮正さん。
シーティーイーの鎌田幸雄さん。
そして、「電書魂」のJun Tajimaさんこと、三陽社 メディア開発室の田嶋淳さんです。
ざっくりまとめると、従来は紙の制作に最適化されたワークフローだったため、まだ電子版の制作を考慮したワークフローになっておらず、さまざまなイレギュラーが発生していろいろ苦労されている、ということのようです。まとめすぎです。
印刷用のInDesignデータがあれば、電子版も簡単に作れるでしょ? と勘違いされてしまっている部分や、EPUBがビューワによって表示が変わってしまうフラグメンテーション問題への対応だったりとか、そのそもDTP化されていない時代の書籍をどうやって電子化するんだとか、DTPオペレーターにはHTMLやCSSの知識がないとか、研究熱心なDTPオペレーターはInDesignで高度な技を使っちゃうからEPUB書き出しが大変になっちゃうとか、検版でプリントアウトして底本と見比べるようにしたら文字間が違うとか行間が違うといった余計なチェックをしちゃうからKobo端末で電子書籍のまま底本と見比べるようになったとか、コストかけられないから「そこまでこだわります?」と出版社を説得してますとか、今後はお金をかけて作るリッチなEPUBと単純な量産型EPUBに分かれるだろうとか、なるべく自動化して時間とコストを下げるとか、EPUB 3もまだこれから進化するから先端技術をキャッチアップしていかなきゃいけないよねとか、マスターデータとして保存するのはInDesignだと怖いから汎用性が高いオープン規格の方がいいよねとか。
そんなカンファレンスでした。
そういえば年末のJEPAセミナー「電子書籍実務者は見た!」もこういう内容だったなあ……まだ取材メモのままだ。