「オーディオブックAudibleが日本上陸」「ドラえもん電子版」「芥川賞・直木賞」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #177(2015年7月13日~19日)

Nexus 7のGooglePlayブックス

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「オーディオブックAudibleが日本上陸」「ドラえもん電子版」「芥川賞・直木賞」などが話題になっていました。

クラウドファンディングは作家の第三の収入源になるか? 長尾謙一郎先生に聞いてみた – デイリーニュースオンライン ※2015年7月5日

少し前の記事ですが見落としていたので。2014年5月19日のまとめでピックアップした『長尾謙一郎「クリームソーダ シティ」未完のまま連載終了』ですが、クラウドファンディングで続編を制作するプロジェクトを立ち上げ、目標200万円は突破し続編5話を描くことが決まりました。ただ、残念ながら完結まで描く目標額には到達せず、資金募集は終了しています。

記事の最後に「クラウドファンディングにはそもそも企画者に知名度が必要、もしくは宣伝力などの事実上の制限も存在します」とありますが、難易度は目標額の高さに比例するので、やり方次第なのかなとは思います。

「本屋ですが、ベストセラーはおいてません」 Amazonで買う時代、広がる「書店」ビジネス (1/4) – ITmedia eBook USER ※2015年7月13日

先週ピックアップしたNHK(消えてるのでInternet Archive)と同様、書店が生き残るために何をしているかについて。スタンダードブックストア、もりのみやキューズモールBASE、梅田蔦屋書店、トーハン「ほんをうえるプロジェクト」など。

40%超が電子書籍に無関心、新聞はWebと競る ジャストシステム調査 – ITmedia eBook USER ※2015年7月13日

そもそも文化庁「国語に関する世論調査」で、1カ月に本を1冊も「読まない」割合が47.5%なので、40%超が電子書籍に無関心でも不思議ではないです。もっとも、マンガを含めるかどうかで大きな違いが出るでしょうけど。

あと、「利用するつもりはない」の男性40歳~44歳が14.0%、45歳~49歳が46.0%って、さすがにバラつきすぎだと思うのですが。10歳区切りにしておけばよかったのに。

複数の米作家団体+書店組合が司法省に陳情「独禁法違反の疑いでAmazon社を調査してほしい」 ※2015年7月14日

Authors Unitedが単独で陳情してもダメだったので、今度は複数の団体で訴えることにしたようです。司法省が動くかどうかは別として、書店組合も別として、複数の著者団体がAmazonに強い不満を抱いている、ということは頭に入れておくべきでしょうね。

オーディオブックの定額聴き放題サービス「Audible」が日本上陸 月額1500円 – ITmedia eBook USER ※2015年7月14日

オトバンク、Audibleへのオーディオブック提供開始を発表 – ITmedia eBook USER ※2015年7月15日

1本目の記事では「(日本語コンテンツは)国内のオーディオブック配信サービス大手、オトバンクなどからコンテンツ供給を受けているとみられる」という推測でしたが、翌日オトバンクからもリリースが出ました。

日経は「アマゾンの参入で市場が大きく成長する可能性」って書いてますが、子会社で別サービスですから、どうなんだろう? という感じ。Amazon.co.jpのアカウントがそのまま使える優位点はありますが。

「ドラえもん」電子書籍がついに登場!デジタルカラー版も配信スタート – コミックナタリー ※2015年7月15日

やっとか!

米国の電子書籍市場で大手出版5社のシェアが20%→14%に縮小中、個人作家たちに苦戦 ※2015年7月15日

元ネタは「Author Earnings」によるクロールデータ。売上シェアではなく、Amazonランキング入りしているタイトル数。ランキングは単純に売れてる数で決まるので、1000円の本が99部売れるより、100円の本が100部売れる方が上にランクされるのです。「Author Earnings」は、分かっててミスリードしてる感がある。

「文学フリマ」とエブリスタが提携 同人誌の一部をWeb上で“立ち読み”可能に – ITmedia ニュース ※2015年7月16日

文学フリマとエブリスタ、どちらにもメリットがある面白い連携だと思います。文学フリマの参加者がこれを機にE★エブリスタへ投稿するようになったり、逆に、E★エブリスタの参加者が文学フリマへ参加するようになったり。Online to OfflineとOffline to Onlineの、どちらも起こるのではないでしょうか。

『はじめの一歩』『ナニワ金融道』の電子版が配信停止に – ITmedia eBook USER ※2015年7月16日

『はじめの一歩』は60巻で電子化止まってましたし、週刊少年マガジン電子版にも掲載していないので、森川ジョージさんのご意向なんでしょうね。配信していたのを止めるってのは、何かきっかけがあったのかもしれませんが。[追記:森川ジョージさん、今年の頭にFacebookで「単行本の電子配信も契約満了をもって終了する」と明言されてました]

『ナニワ金融道』は作者の青木雄二さんが亡くなられてからプロダクション管理になっており、続編『新ナニワ金融道』はプロダクション制作で出版社も扶桑社へ移っています。たぶんビジネス的な事情なんだろうなという感じが。

なお、「電子版でも出していたのにそれを配信停止とするケース」は、有名どころだと『ガラスの仮面』があります。「契約上の不備があったため」とのこと。

アプリで読めばすべて無料、それでも単行本が売れる理由。マンガアプリ「comico」に聞く、スマホ時代のマンガコンテンツ。 | アプリマーケティング研究所 ※2015年7月16日

始まったばかりだからかもしれませんが「ノベル」について一切触れられていないのが残念。公式作家、150人まで増えたんですね。台湾版が100万ダウンロード、韓国版が200万ダウンロードという情報も。

編集後記にあるビデオリサーチの「コミックアプリ調査」って知らなかった。男女とも、1位はcomicoで、2位はLINEマンガなんですね。3位は男がマンガボックス、女がdブック(4位は逆)と若干傾向に違いがあるのも面白い。

第153回芥川賞・直木賞、受賞作決定! 芥川賞には又吉直樹さんの「火花」と羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」、直木賞には東山彰良さんの『流(りゅう)』|ニュース|「本の話」編集部|本の話WEB ※2015年7月16日

あえて文藝春秋のオウンドメディア「本の話WEB」からピックアップ。受賞者の方々、おめでとうございます。『文學界』は電子化されていないので『スクラップ・アンド・ビルド』は紙でしか読めませんが、『火花』と『流』は電子化されているので、各電子書店が「すぐ読めます!」ってアピールしてますね。BookLive!へのリンクを貼っておきます。

星海社「ぷちぇインクロニクル」打ち切り騒動について経緯説明 連載終了は「作者から申し出があった」 – ねとらぼ ※2015年7月16日

星海社「ツイ4」の新人賞座談会編集者コメントがあまりに酷いと炎上、そこから派生していろいろ燃え広がっています。星海社はいつもこうなんで、あまり話題にしたくないのですが。

国際標準フォーマット「EPUB」の現在と未来 -INTERNET Watch ※2015年7月17日

自分の記事です。余談ですが、ボクはこの「EPUB NOW AND FUTURE」を取材した後すぐ、ボイジャーブースで登壇があり、終わった後、打ち上げに行ったらBill McCoyさんも一緒だったという。なにこの世界の狭さ。

TSUTAYAで紙の本を買うと電子版がタダで付いてくる「Airbook」、対象誌が110誌173タイトルに拡大 -INTERNET Watch ※2015年7月17日

開始から1年、対象誌拡大ということは、それなりにうまくいっているということでしょうか。

お知らせ

私が理事長をやっているNPO法人日本独立作家同盟で、7月25日にセミナーをやります。第4回。コルク佐渡島庸平さん×漫画家鈴木みそさん。ファシリテーターはまつもとあつしさん。チケットは残りわずか。Peatixにてお求めください。

タイトルとURLをコピーしました