「an・anレビュー炎上でKindleストアが返金対応」「海老名市中央図書館でもCCCの選書問題」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #186(2015年9月14日~20日)

Nexus 7のKobo

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「an・anレビュー炎上でKindleストアが返金対応」「海老名市中央図書館でもCCCの選書問題」などが話題になっていました。

【新文化】 – 太洋社、当期純損失8億2300万円に ※2015年9月14日

大阪屋・栗田に次いで取次業界5位の太洋社が純損失。「ゲオ、TRCなどの帳合変更が大きく影響」とのこと。

米作家団体The Authors Guildが会員作家たちを現況調査、「高齢化」「貧困」「電子書籍の個人出版」が課題 ※2015年9月14日

The Authors Guildの平均年齢が50歳を超えたそうですが、日本文藝家協会の平均年齢は65歳くらいらしいです。超・高齢化社会。

【やじうまWatch】表紙には載ってるのに記事では姿なし……電子書籍の“芸能人の非表示問題”が再燃 -INTERNET Watch ※2015年9月14日

紙には載ってる佐々木希のグラビアが、電子版には載っていないとAmazonレビューが炎上。例えばジャニーズなんかは事務所の方針でネットに一切写真を上げないため、電子版は以前からグレーアウトされているのですよね。

今回の場合、表紙には載っているのに本文ではごっそり抜け落ちていたのが強い批判を呼んだようです。グラビアに続く特集ページ「an・anマンガ大賞」も、一切書影が載っていないのが批判に拍車をかけた模様。なお、続報あります。

マイナビから出版事業部門を分社化した「マイナビ出版」10月1日に設立 – ITmedia eBook USER ※2015年9月15日

リリースによると「マイナビ出版」の事業内容は「新聞の発行および出版事業ならびに電子出版事業、コンピュータソフトウエア、ゲームソフトウエア、映像ソフトウエアの制作・販売 等」ですが、マイナビニュースはどうなるんだろう?

小売店の誘客ツールは「書籍」-無印良品やローソン、書籍棚を相次ぎ導入:日刊工業新聞 ※2015年9月15日

無印良品有楽町に、商品に関連する書籍を一緒に並べた売り場「MUJIブックス」が登場。こういう流れ、今後は加速するだろうなあと思って写真を眺めたら、歴史コーナーなんでしょうか? 『江戸しぐさ事典』とか並べてある……。

紀伊國屋書店の「慣習破り」に業界から批判殺到!アマゾン対策で村上本を9割買い切り | ビジネスジャーナル ※2015年9月16日

謎の業界通、佐伯雄大氏の署名記事。買い切りでも卸正味が78%(通常取引は返品可の77.5%)みたいな条件を突きつけられた書店もあるようで、紀伊國屋書店とDNPグループ、『悠々会』加盟書店のみが優遇されているようです。ううむ。

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いい本なんだけどなあ。まだAmazon在庫ありますね。

「an・an」発行元、電子版の内容カットに謝罪 – ねとらぼ ※2015年9月17日

「an・an」のAmazonレビューが炎上 → AmazonがKindle版の販売停止 → Amazonが「an・an」購入者に返金対応しますとメール → マガジンハウスが謝罪、という流れです。Amazonはこういう時の対応が素早くうまい。他の電子書店ではまだ普通に売ってます(例:楽天Kobo)

なお、グラビアなどが欠損しているのはKindleに限らずどの電子書店も全てなので、当然マガジンハウスの謝罪文(魚拓)にはちゃんと「電子版」と書いてあります。それなのに、ねとらぼは当初「Kindle版の内容カット」とミスリードするタイトルでした(魚拓)。そりゃタイトルに「Kindle」って入ってる方が、PVは稼げるでしょうけど。

紀伊國屋書店、電子書籍サービス「Kinoppy」を海外会員向けに提供開始 – ITmedia eBook USER ※2015年9月17日

以前はFAQに「現時点では海外在住のお客様へ電子書籍のダウンロードサービスは提供致しておりません。Kinoppyでの弊社電子書籍のご利用は日本在住の方のみとなります。海外在住の方には誠に申し訳ありませんが、海外への販売許諾を出版社から得られないためです。弊社電子書籍サービスは、日本国内でのご利用をサポートしています。何とぞご了承ください。」と書いてあった(Internet Archive)のですが、

海外からでも利用できますか? [全般] | 紀伊國屋書店ウェブストア よくあるご質問

いまは「まだコンテンツは少ないですが、出版社から海外配信の許諾が得られ次第、順次配信してまいります」という記述に変わってますね。良い方向性だと思います。ただ、以前から、海外からでも普通に使えていたというタレコミ情報(コメント欄参照)もあり、タテマエ上の話なのかなという感じも。

日本では8980円:Amazon、50ドル(約6000円)を切る新7インチタブレット「Fire」発売へ – ITmedia ニュース ※2015年9月18日

microSDカードで容量増設できる点が、これまでのモデルとの大きな違い。とにかく安いですが、低スペックです。その上、Amazon専用機。

本来の軽減税率導入求める声明 日本新聞協会:朝日新聞デジタル ※2015年9月17日

出版4団体も軽減税率適用求め声明:朝日新聞デジタル ※2015年9月18日

財務省案の事後還付方式は「さすがにそりゃないだろ」という酷いモノ(上限4000円とか、マイナンバーに紐付けとか、いちいち申請が必要とか)でしたが、果たしてどうなるか。新聞・出版業界の主張は一貫してます。

眼鏡ふき・おろし金・シリコン鍋……武雄市に続き来月新装開館予定の海老名市立中央図書館でも「疑惑の選書」が発覚か | ガジェット通信 ※2015年9月18日

海老名市立図書館、選書やり直しへ 武雄市図書館問題が「飛び火」 ※2015年9月18日

例えば『アイミクロンメガネクロス』は実用書や児童書を出版している永岡書店がISBNコードを付与して書店流通で販売しているためAmazonや楽天ブックスなどのネット書店でも「単行本」のカテゴリに分類されています

それを図書館へ納入するのは、さすがに違うでしょ、という話。CCCも大概ですが、チェックする側も酷い。というか、チェックしてないんでしょうね。

しかしこの件、ちょっときな臭いのが、11月に海老名市長選があり、現市長が再出馬表明魚拓)した直後の発覚だという点。

【重要】『とらのあなダウンロードストア』サービス終了のお知らせ – [TDS] とらのあなダウンロードストア魚拓) ※2015年9月18日

まだニュースメディアには取り上げられていないようなので、公式お知らせをピックアップ。閲覧認証を必要とする「KeyringPDF」形式の作品は、2016年6月14日までしか閲覧できないそうです。ユーザーに不便を強いるDRMの是非についての議論が再燃していますね。

無料漫画アプリは紙の漫画の敵なのか?(前編) | ほんのひきだし ※2015年9月12日

無料漫画アプリは紙の漫画の敵なのか?(後編) | ほんのひきだし ※2015年9月19日

気がついたのが後編からだったので、まとめてピックアップ。前編は無料漫画アプリ連載作品が、単行本化されて売れてるよという事例の紹介。後編は既存の作品が無料漫画アプリへ再掲載され、単行本が再度売れるようになる事例。

特に後編は売れ行き推移グラフを具体的なタイトルを挙げて紹介しており、非常に参考になります。こういう記事を、日販の方が書いているというのに、さらに驚き。「無料漫画アプリが紙のマンガ市場を奪ってる!」みたいな感情論を、データで封じ込める良記事。

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