今回のレビューは、本日オープンしたばかりの「楽天koboイーブックストア」です。
楽天の広報から届いたメールによると、ストアの正式名称は「koboイーブックストア」です。サイトに載っている販売事業者名は「Kobo Inc.」で、親会社である楽天の名前はトップページのロゴや個人情報保護方針に出てきます。このレビューでは「楽天koboイーブックストア」という表記をさせて頂きます。
- 「楽天Koboイーブックストア」は期待より不安のほうが大きい※2012年7月2日
- 東京国際ブックフェアに行って「楽天Koboイーブックストア」に対する不安を半分くらい解消してきた※2012年7月5日
この2つのエントリーの続編ということになります。本日15時に正式オープンしたわけですが、実際どうだったのか?という点について正直な感想を綴らせて頂きます。
レビューはこちらのエントリーの
・ラインナップが充実していること
・読みたい本を簡単に探せること
・簡単に買えること
・いつでもどこでも簡単に読めること
・いつまでも保管できること
という5つの要素に基づいて行わせて頂きます。
※このレビューは投稿時点でのサービス内容に基づいています。
ラインナップは充実しているか?
端末の事前予約ページでは、このような表現になっていました(正式オープン後、この表記がどこにいったか判りません……事前にスクリーンショットを撮ってありました)。
koboイーブックストアでは、日本語で約3万冊、日本語以外の言語も含めると240万以上のタイトルの電子ブックがラインナップ。いつでもどこでも読みたいときにダウンロードすることができます。
1万冊の日本語無料タイトル!! ※2012年7月現在
さて実際のところはどうだったか?
[日本語]で絞り込んだ状態では18,894件、うち無料作品は12,537件でした。ちなみに、無料作品のうち「青空文庫」が10,741件です。青空文庫公式に登録されている書籍(著作権切れ)が現時点で11,153件ありますので、大半が楽天koboイーブックストアにも登録されているということになります。
有料書籍は6,357件です。これは少ない。事前の情報からすると、3分の1程度ということになります。例えば「BookLive!」は既に62,767タイトル86,464冊(うち青空文庫が4,375冊)を配信しています。日本語書籍のラインナップ充実度でいえば、楽天koboイーブックストアはBookLive!の10分の1程度ということになります。
いちおうジャンル別件数も調べたのですが、表に直すのが面倒なのでGoogleDriveのスプレッドシートで一般公開にしておきます。ちなみにジャンルは重複登録されており、例えばライトノベルには「小説(若者向け)」と「キッズ・ティーンズ」というジャンルが設定されています。
読みたい本を簡単に探せるか?
「kobo touch」端末や、その認証のためにインストールする「kobo desktop」というアプリケーションからでもストアを開けるらしいのですが、なぜかボクの環境だとインストール中にエラーが出てしまうため、まだ試せていない状態です。サポートには問い合わせ済みですが、電話では原因が判らず。メール待ち状態。いつ回答がくるか……。
……というわけで、ひとまずブラウザから見られるストアだけレビューさせて頂きます。
ジャンル別の登録件数を調べる際に気になったのですが、トップページから[ジャンル]で絞り込んでいくと、海外作品まで含めた全てが表示されます。
ここから日本語書籍だけの絞込みができないのです。海外の作品が気軽に購入できるというのは素晴らしいことだと思いますが、絞り込みができないのは非常に不便です。
これは三木谷さんからの「外国語を読めるようになりなさい」というメッセージなのか!?と思ったのですが、実はフリーワード検索で何も入力せず[Go]を押した時には、言語での絞り込みができるようになっています。
だから、多分ただのバグなのでしょう。ガクッ。
フリーワード検索はサジェスト機能に対応しており、動作は機敏です(データ件数が少ないからかもしれませんが)。
検索結果一覧のページは絞込みに対応しています。
しかしこれ、「kobo Vox 向け電子ブックのみ」とか「ePub 拡張仕様」とか言われてもよく判らない人がほとんどなのではないでしょうか。「無料作品のみ」は使えますが……。
並び替え方法は、「人気順」や「価格の安い順」や「評価の高い順」、「書名」の昇順・降順という形になっています。
他のストアではわりとどこでも標準装備されている、出版社の一覧やレーベル一覧がありません。が、フリーワード検索が出版社名や著者名に対応しています。ライトノベルの場合、イラストレーター名にも対応しているのは素晴らしいと思いました。が、残念ながら「~文庫」などのレーベル名には対応していない。なんでやねん。
で、少し気になって出版社名で検索してみたのですが、なんと小学館ゼロ、集英社ゼロという状態でした。講談社とは雲泥の差ですが、大丈夫なんでしょうかこれ。
詳細画面は下図のような形です。
Facebookの「いいね!」や「送る」、Pinterestには対応しているのに、それ以外のソーシャル・ネットワークにはTwitterにすら対応していません。ここまで徹底しているとかえって清々しい。
ちなみにGoogle+へ共有するとこうなります。
あれー?わざわざGoogle+を排除してる?と思い、試しにFacebookへ投稿してみたら……
(´・ω・`)
これもバグでしょうかね?
……ちなみにPinterestには、あらすじまで綺麗に表示されます。
もう1つ気になったのが、どうも登録されているジャンルがおかしい場合があるということ。例えばコミック版の「ゼロの使い魔」ですが……
「子供・ティーンズ > 小説」になっています。小説じゃねーよ!!
ジャンルの登録間違いは論外としても、ライトノベルとコミックの区別がつき辛いのは結構困りますね。「紀伊國屋書店BookWeb」もそうですが、この辺りの検索性が低いのは非常に使い勝手が悪い。
簡単に買えるか?
楽天IDを既に持っている人は、IDとパスワードを入力するだけで「楽天koboイーブックストア」へログインできます。この辺りは、多方面にサービス展開している企業の強みですね。
「楽天koboカスタマーケア」には記述が無いようのですが、ブックフェアの会場で確認した限りでは、支払方法は楽天と共通なので、クレジットカードと楽天スーパーポイント口座が対応しています。ウェブマネーのようなプリペイド方式や、携帯電話キャリア決済には対応していないのが辛いところですね。
いつでもどこでも簡単に読めるか?
今のところ、「kobo touch」以外で読むことはできません。e-inkなのでフル充電から1ヶ月保つ、端末が軽いというメリットがあるのはいいのですが、今のボクみたいに初期認証ができなければ何もできない状態になるのは困りものです。
実は昨日ボクは、三木谷社長が行った緊急店頭プロモーションを取材しました。
この時、「AndroidとiOSアプリの日本語対応はいつ頃になりますか?」という質問をぶつけてみました。「近日中です」というお答えでした。これはブックフェアでスタッフの方にも言われていたことなので、それから2週間程度では状況は変わらなかったということになります。
「できれば最初から一緒にご用意できればよかったのですが……」とも言っていたので、ほんとうに「近日中」にリリースされるかも?Kindleの「近日中」とどっちが早いかな?
……まあ、「紀伊國屋書店/Kinoppy」や、「BookLive!」や、「BOOK☆WALKER」のように、パソコンまで含めて何でも見られる「真のマルチデバイス対応」に比べたら、遅れている事この上ないのは間違いありません。
いつまでも保管できるか?
これも「楽天koboカスタマーケア」のどこに書かれているか判らないのですが、ブックフェアでスタッフの方に確認した限りでは再ダウンロード期限のようなものは無いようにしているとのことだったので、ここは大丈夫だと思っていいでしょう。もちろん「楽天koboイーブックストア」がサービスを終了してしまった場合はその限りではないでしょうが、それはどの電子書籍ストアも同じことなので……。
結論
とりあえず初期認証ができないので、端末の使い勝手などはまだよく判らないままです。が、とにかくラインナップがまだ少なすぎるのと、ストアの使い勝手が悪い点で、ボクはあまり活用したくないストアという印象を持ってしまいました。
使い勝手がよければ、端末ごと親にプレゼントしようと思ったんですが……端末にも、電源スイッチがちょっと押しづらいという難点が。
普段は電源入れっぱなしでそこらへ放置するような使い方なら、電源スイッチに触る頻度は低いので特に問題にはならないでしょうけど、持ち運びをするということになるとちょっとなーという気がします。
[続編]