出版(紙・電子問わず)関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。
メディア・パブ: 米国の電子書籍が激しい価格競争に、値下げが続いた後に反発も ※2013年4月8日
週次のベストセラー電子書籍の平均価格の推移を、昨年8月から今年3月までをプロットしたのが次のグラフである。
同じ条件で定点観測し続けているデータの推移というのは興味深い。Kindle本のベストセラーって一定期間の売上額で決まるっぽいので、販売単価が安ければ部数を売らなければならないけど、逆に単価が高ければ部数が売れないわけで、売価をいくらに設定すればいいのかは供給側の悩みどころです。
【やじうまWatch】なぜ途中の巻から? Kindleストアで11巻以降が激しく売れるマンガとは -INTERNET Watch ※2013年4月8日
「キングダム」が10巻まで無料公開したら、続きが気になるので11巻以降が売れているという話。ある程度人気のある長編モノに、再度勢いを付けたい場合に、非常に有効的なプロモーション方法だと思います。最初からコレはなかなか難しいですね。
キングダム 11 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)[Kindle版]
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集英社 (2012-06-22)
KoboとSonyは電子書籍の競争でなぜ形勢不利なのか – ITmedia eBook USER ※2013年4月8日
要約すると「KoboもSonyも、自らに欠けている部分を補うための企業買収を行なっていないではないか!」という話になると思います。楽天やソニーの場合、既に持っているリソースを有効活用できていないという問題の方が大きい気がしますけどね。
課題図書は週刊少年ジャンプ 漫画の読書感想文コンクール、小学生向けに開催 – ねとらぼ ※2013年4月8日
この記事への反響で「漫画を読む行為は”読書”じゃない!」という声が聞こえてきて、”漫画は低俗なものである”と考える人というのはいつまでも存在するのだな、と。漫画も小説も愛する身としては、なんだか寂しい限り。
「eBookJapan」にも不正アクセス被害、約720アカウントにログインの可能性 -INTERNET Watch ※2013年4月8日
総当たり攻撃ではなく、リストを元にしたアタックだったようで。この場合、運営側として打つべき手は少なく、ユーザー側が「同じパスワードを使い回ししない」といった自衛策をとるしかないように思います。
今年の「東京国際ブックフェア」、1360社が出展、過去最大規模に -INTERNET Watch ※2013年4月8日
なんだこの出展社数の伸び!? 社数はともかくとして、Amazon、Apple、Googleは参加するんでしょうかね?
LINEに3万冊配信の電子マンガ書店、対象作品購入で限定スタンプも -INTERNET Watch ※2013年4月8日
「漫画を買ったらスタンプが付いてきた」ではなく、「スタンプのために漫画を買う」行為が普通に発生しそうですね。「とにかく人を集めちゃえば、収益化する方法は後からいくらでも付いてくる」という典型的な事例だと思います。とくにニコニコ静画(電子書籍)には脅威だろうなあ。タブレット対応が始まったら、本気でチェックしてみようと思います。ユーザー層的に「スマートフォン向けとしては最大級の」なんて謳い文句に騙されちゃう人も多いんだろうなあ……。
文化庁eBooksプロジェクトは何を残したか « マガジン航[kɔː] ※2013年4月9日
一定の手順を踏みさえすれば、膨大なデジタル・アーカイブスの宝の山の中から、自分が探し出したコンテンツを復刊することで誰もがデジタル・パブリッシャーになれる
これ、もう既にそういう発想でパブリッシュを始めている方がいるんですよね。説明文に”「文化庁eBooksプロジェクト」ダウンロード数ランキング1位” とありますし、巻末のガイダンスにも、文化庁eBooksプロジェクトを受けて編集を行った旨は記されています。
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(2013-03-18)
ただ、出版”者”が誰だかわからないし、いつから販売開始したのかも表示されていないという、何かイレギュラーな形になっているのが気になります。KDPでこんなことできたっけ?
電子書籍の先駆け「ビューン」の次なる一手–蓮実社長に聞く – CNET Japan ※2013年4月9日
ビューンはAndroid版が、ソフトバンク専用なんですよね……。iOS版はWi-Fiでも使えるのですが。そういう妙な排除方針は、あまり好かない。
自炊代行に道筋を、許諾ルール検討「Myブック変換協議会」に狙いを聞く – INTERNET Watch ※2013年4月9日
自炊代行業にはニーズがあるのに、いまのままだと限りなく黒に近いグレーな状態なので、”お前は黒だ!”と抑えこむ方向ではなく”白くしましょう”という理念に基いて動いているという理解をしました。問題はこれが各方面から”利権”と捉えられかねないという部分でしょうか。
Reader Storeがサービス改善――購入プロセスの簡略化など – ITmedia eBook USER ※2013年4月9日
早とちりして「ついにパスワード保存に対応!?」と喜んでしまったのですが、IDだけの保存でした。残念。それでも今までに比べれば、購入プロセスは結構簡略化されています。というか今までが、無駄にプロセス多すぎた。そして購入後のプロセスにも無駄が多いのが嫌だ。すぐ読みたくて買ったんだから、ダウンロードボタンとか要らないし、ダウンロードが終わったらすぐに本を開いて欲しい。ダウンロードが終わるまで画面を見守り、終わったらもう1回タップしなきゃ本が開けないんですよね。
まつもとあつしの電子書籍セカンドインパクト:「マニフェスト 本の未来」著者が語る電子書籍の現状と未来 (1/2) – ITmedia eBook USER ※2013年4月11日
買ったまま積んでた……今週中に読もう。
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株式会社ボイジャー (2013-02-18)
売り上げランキング: 1,109
hon.jp DayWatch – 米Google、iOS版の電子書籍ビューワアプリ「Google Playブックス」を縦書き/固定レイアウトEPUB対応に ※2013年4月12日
従来は、Android向けにはリフロー型で提供されている書籍を、iOSで開くとスキャン画像という意味不明な状態でした。やっと普通になりました。Googleにしては随分時間かかったな……と思ったのですが、もしやこれはApple審査で保留されていた? どうも業界関係者の愚痴を聞いてると、ここ半年ほどあちこちのiOS向け電子書店アプリが意味不明なリジェクトを食らっていたらしく……(‘A`)
Jコミ2周年でリニューアル――成人向けマンガの無料化など – ITmedia eBook USER ※2013年4月12日
Jコミは、たゆまぬ進化を続けているところが凄いですね。そして、何か変わるたびにいつも話題になるというのは、プロモーション的にも重要なことだと思います。
電子書籍の新たなクリエイターを発掘――「マイナビeBooks作品コンテスト」開催 – ITmedia eBook USER ※2013年4月12日
テーマが「恋愛」「出産」「子育て」ということは、女性をターゲットにしている感じですね。最優秀賞の賞金が10万円……集まるかなあ?(;^ω^)
2012年の米国商業出版社純収益で電子書籍の占める割合が22.55%に:米国出版社協会発表 | カレントアウェアネス・ポータル ※2013年4月12日
デジタルコンテンツは複製コストが限りなくゼロに近いので、損益分岐点を超えると利益率が飛躍的に伸びるんですよね。紙の印刷・製本・運送・保管というコストに比べると、そこは顕著な差になります。もちろんサーバーの維持費という要素は、電子書店の運営においては問題になりますが、出版者的にはデータを電子書店に渡してしまえば後は経理処理コストくらい。それは紙の本でも発生するし、取次が代行してくれる部分でもあるわけです。損益分岐点を超えるまでが厳しいんですけどね……。
EBook2.0 Magazine — “Kindleクリスマス”は終わったか:12月のAAP統計 ※2013年4月12日
5年もの「実験」の結果、いわゆるカニバリ効果は完全に否定された。自信たっぷりにこれを主張して日本の出版産業に5年の空白と大きな機会損失を与えた関係者は、事実を認めて反省したほうがいい
鎌田さんがこう憤ってらっしゃるということは、「カニバリズムになる」という主張をしていた業界関係者がいらっしゃるわけですよね。どの辺りだろ?
【西田 27号】スタートから半年。Kindleの評価 アマゾン・ジャパン Kindleコンテンツ事業部長 友田氏インタビュー – MAGon ブログ ※2013年4月12日
Kindleの中の人インタビュー。無料公開なのは途中までで、続きは有料になっています。思わず買ってしまった。
西田宗千佳のRandom Analysis 第027号[2013年04月10日発行] (MAGon)
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株式会社Impress Watch (2013-04-10)
売り上げランキング: 1,543
Kindle公式マンガ作成ツール「Kindle Comic Creator」がスタートしたらしい | きんどるどうでしょう ※2013年4月12日
これによって、プロ漫画家がKDPに本格参入する事例が急増するような気がします。もう1つ、自炊ファイルのmobi化にもいいみたいです。ただ、動作が重いという声が気になる……あとで試してみよう。
第14回Twitter読書会「電子書籍の未来」ハッシュタグ #ぶっちゃけ電子書籍どうなの を拾ってみた – Togetter ※2013年4月14日
ダ・ヴィンチ電子ナビが主催で、「ぶっちゃけ電子書籍どうなの」という”Twitter読書会”というより”Twitter討論会”的な催しがありました。一晩経って誰もまとめてなかったので、ボクがまとめておきました。全部拾ったのでちょっと長い(;^ω^)
Twitterには場がないので、いくらハッシュタグを付けたところで「場を仕切る」ことはできないし、「流れを制御する」こともできないのですよね。だから、Twitterを使うと必ずめいめい勝手なことを言う催しになります。必然です。まあ、ブレスト的なので、これはこれで面白いのですが。
で、まとめてみて思ったのが、「それ、もう実現されてるんだよなあ」という話がかなり多いこと。つまり、このハッシュタグをつけてつぶやいている人は少なからず電子書籍に興味がある人なわけですが、そういう層であっても圧倒的に「認知されていない」「認識されていない」ということになるわけです。
電子書店のガイド的な記事を書き始めたのはちょうど1年前からなのですが、この1年間だけでも相当状況は変わっているのですよね。ITmedia eBook USERの電子書店完全ガイドも、正直内容が既に古くなってしまっている。ずっと情報を追いかけているボクでさえ、気づいていないことがゴロゴロしている。そういう状況下で、「認知されていない」「認識されていない」ことがあったとしても、それは責められないよなあ、と思うのです。