出版(紙・電子問わず)関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。先週は「Kindle Worlds」が大きな話題になりました。
子どもの読書、紙面よりも電子画面が初めて多数派に 英調査 国際ニュース : AFPBB News ※2013年5月17日
先々週の記事ですが、Google+のコミュニティでおもしろい会話の流れになったのでピックアップ。
「平均以上の読解力を持つ子どもの割合については、毎日画面上でしか読まない子どもでは15.5%で、毎日紙面上、または紙面上と画面上の両方で読む子ども(26%)の半分程度にとどまった」
そもそもその"読解力"ってどうやって測るんだろう?
子どもの読書、紙面よりも電子画面が初めて多数派に 英調査 国際ニュース : AFPBB News
この調査を行った英NPO団体は、「画面上でしか読まない子どもの読解力が低い」というのを問題視しています。ボクはその「読解力」の測り方というのに妥当性があるのかに疑念を投げかけているのですが、コミュニティの会話ではもう少し先まで話が進んでいます。そもそも画面上でしか読まない子というのは、それまで読書の習慣がなかった層だから読解力が低いだけで、デバイスの問題ではないのではないだろうか? という推測です。ボクにはその推測のほうが、NPO団体の問題意識より納得ができるのですが、さてはて。
[1] eBooks 専門セミナー – 第17回 [国際]電子出版 EXPO-(eBooks・イーブックス)は、書籍・雑誌・コミック・新聞などのデジタル化技術・サービス、コンテンツが一堂に集まるe-Book専門展です。 ※2013年5月20日
電子出版 EXPOのセミナーが公開されています。受講無料のEB-Fは速攻で申し込みました。「EB-4 電子出版の未来」にさんざん電子出版をこき下ろしてきた山田順さんがいらっしゃるのに興味を惹かれるのですが、1万円かあ……。
電子コミック、プリント版と共存共栄 – ITmedia eBook USER ※2013年5月20日
電子コミック市場が拡大するとともに、プリントコミックの売上も拡大しているという北米の話。市場性の違いもあるでしょうから、単純比較はできませんが。
電子書籍時代を支える、知られざるコンテンツ取次メディアドゥが見いだした出版業界の”スキマ”|デジライフNAVI|ダイヤモンド・オンライン ※2013年5月22日
電子取次事業は「スキマ」なのかあ、とちょっと違和感。
有川浩が4年連続大賞受賞 第4回ブクログ大賞発表 | ダ・ヴィンチ電子ナビ ※2013年5月22日
有川浩さんが4年連続大賞受賞ということは、ブクログの界隈に相当数のファンがいて、ある意味組織票的な状態になっているのかな?という気も。フリー投票部門でKDP作品(吉野茉莉さんの「彼女のための幽霊」)が受賞しているというのが凄い。
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「2020年までに国内の電子書籍市場売上を1兆円規模に」――楽天Koboの事業戦略 – ITmedia eBook USER ※2013年5月22日
「目標」というより、「夢」とか「願望」と言ったほうがいいのかも。孫正義さんがソフトバンクを起業する時に「いつか売上を豆腐みたいに1丁(兆)、2丁(兆)と数えられるような会社にする」という宣言をしたそうですが、それと似てる感じ。大言壮語も、実現させればウソにならないわけです。実現させれば。
hon.jp DayWatch – BookLive、電子書籍専用端末「BookLive!Reader Lideo(リデオ)」の父の日ギフトセットを発売 ※2013年5月23日
母の日ギフトに続いて、父の日ギフトも。母の日は500円分のギフト券付きでしたが、父の日はブックカバー付き。しかしこれ、三省堂の店頭でしか買えないというのが非常に残念。三省堂楽天店で、通販対応すればいいのに……。
[追記:対応してました]
うわっ…あんたのEPUB、ダメすぎ…? 検証とその対処 – 電書ちゃんねる ※2013年5月23日
「簡単にEPUBが作れる」「簡単にKDPで出版できる」みたいな解説が続々登場しているけど、あまり触れられていないepubcheckが重要ですよという話。エラーメッセージ一覧日本語訳が労作です。
アマゾン、二次創作を公認販売する Kindle Worlds を開始。作者と原作者に支払い – Engadget Japanese ※2013年5月23日
Amazon、二次創作作家に免罪符と利益を与える「Kindle Worlds」発表 – ITmedia eBook USER ※2013年5月23日
Amazon公認の二次創作システム”KindleWorlds”で同人の常識が変わるか?! | きんどるどうでしょう ※2013年5月23日
界隈に激震が走った、先週最大のニュース。公認二次創作そのものは、日本でも「アンソロジーコミック」という形でちゃんと商業流通化していますし、出版以外であれば初音ミクやくまモンなどの事例もあります。二次創作がヒットしたらその収益が原作者にも還元されるというシステムは、ニコニコのクリエーター推奨プログラムなどがあります。これが大きなニュースになるのは、「最大手のAmazonが始めるから」ということに尽きるでしょう。このニュースを受け、「コミケを合法化する努力をしてこなかった日本の出版社」的な批判をちょこちょこ見ますけど、コミケの場合はエロ同人をどうするかという問題が大きいから……Kindle Worldでもエロ禁止なわけですし。赤松先生の提唱しているPマークしかない!?
浮世絵や古地図、すごろくなど資料1万6000点、都立図書館がWeb公開 NECのクラウドで構築 – ITmedia ニュース ※2013年5月23日
古文書のデジタルアーカイブが続々登場しています。変電社の新しい探索場。
BCCKS、Kindleストアなどへの「ストア配本サービス」開始 – ITmedia eBook USER ※2013年5月24日
Kindleストア、koboイーブックストアと、iBookstoreにも出せるというのがいいですね。個人出版のディストリビューションをやっているのは、他にパブーやメディアチューンズがありますが、BCCKSにはEPUB 3対応の高機能エディタという制作環境を提供している強みがあります。売れた時の手数料以外では、配本/更新申請/配本停止時のみコストがかかるというのも、毎月なにもしてなくてもコストがかかるという形よりは納得しやすい。
FC2コンテンツマーケットに電子書籍コーナーが新設 – ITmedia eBook USER ※2013年5月24日
リリースにはKindleやkoboと同様のラインナップを目指すと書いてありますが、FC2ですもんねぇ……ちなみに「FC2コンテンツマーケット」はURLが http://adult.contents.fc2.com/ で、サイトを開くと「アダルト」と書いてあったりします。DMMの強力なライバル登場、といったところでしょうか。
H-Yamaguchi.net: 嫌いな表現を守るということ ※2013年5月24日
駒澤大学教授の山口浩さんによる、自由民主党・公明党・日本維新の会が今国会に提出しようとしている児童ポルノ規制法改正案に対する反対意見。子どもを守りたいのではなく、自分の嫌いな「表現」を排除しようとしているだけではないか、という重要な指摘。ITmediaの記事も合わせて読むといいかも。自民党って、ずっと以前からそういう規制をやりたがってるんですよね……。
hon.jp DayWatch – 出版デジタル機構、明治期の落語・講談速記本「百花園」を電子書籍化、主要電子書籍ストアで配信開始 ※2013年5月24日
ひさびさに緊デジのニュース。原本は国立国会図書館や早稲田大学演劇博物館でも全巻揃っていない、貴重な資料だそうです。
1日1章無料で読める「フリーミアム電子書籍アプリ」、GMOモバイルがリリース – ITmedia ニュース ※2013年5月24日
限りなくウェブで無料配信というのに近いモデル。広告なしのモノを一括で読みたいならお金払ってね、という形です。
宗教団体初! 京都の東本願寺が電子書籍ストアを作っちゃった – ねとらぼ ※2013年5月24日
アプリにはライセンス情報が載っていなかったのですが、ウェブサイトのソースにメールアドレスが記載(ヘッダーに <link rev=”made” href=”mailto:info@startia.co.jp” /> という記述が)されており(※見つけたのはボクじゃないです)、どうやらスターティア株式会社のアクティブックを使っているようです。