「竹書房『まんがライフ GIGA』」「AmazonとHachetteのバトル決着」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #144(2014年11月17日〜23日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「竹書房『まんがライフ GIGA』」「AmazonとHachetteのバトル決着」などが話題になっていました。

Amazon、「Voyage」などのKindleシリーズで家族での書籍共有が可能に – ITmedia ニュース ※2014年11月17日

そのうち出るだろうなーと思ってた家族間共有。見知らぬ人との共有は、ちゃんと以下のような方法で防いでいます。

Amazonでの決済のために登録しているクレジットカード情報も共有することになり、互いのカードで購入もできるようになる。

さすがにこの仕組みで、見知らぬ人と共有する勇気のある人はいないでしょう。ただ、家族内なら端末ごと貸し借りすればいいと思うんですけどね。普通に本を貸すのと同じように。1つのアカウントをマルチデバイスで使えるわけですし。とりあえず、まだ Amazon.co.jp では使えないようですが。

竹書房の漫画4誌が月額500円で読み放題「まんがライフ GIGA」、無料作品も – ケータイ Watch ※2014年11月17日

竹書房からもマンガアプリが登場。『Dモーニング』と同様、無料作品も楽しめますが、月額500円のプレミアム会員でぜんぶ読み放題になります。コマを切り取って共有する機能もあったり……なんか共通点が多いなあ、と思ったら。

『まんがライフGIGA』の提供元

『Dモーニング』の提供元

どちらもアプリ開発はエキサイト株式会社でした。なるほど、新たな武器商人登場。

Adobe DRMに代わるデジタル電子透かしが急拡大中 – ITmedia eBook USER ※2014年11月18日

欧米は Adobe DRM のシェアが圧倒的だったのですが、「ソーシャルDRM」と呼ばれる電子透かしの入ったデータで、コピーは自由にできる形が増えてきているそうです。オランダでは全出版社の65%が採用済みというのが凄い。

日本では「達人出版会」や、「絶版マンガ図書館」の 「JコミFANディング」で配布されるPDFや、JTBパブリッシングの「たびのたね」がソーシャルDRMです。来年はもっとソーシャルDRMが増えると予想しているのですが、どうだろう?

アマゾンvsアシェット終戦 « マガジン航[kɔː] ※2014年11月19日

半年続いた Amazon と Hachette のバトルにようやく決着。大原ケイさんによる分かりやすい解説。Amazonへの悪影響は「評判に傷がついた」程度とのこと。まあ、こういう企業間の綱引きってあまり表に出てこないだけで、どこの業界でも普通にあるでしょうからね。

今なぜ…文学全集が次々出版される理由 : 本よみうり堂 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) ※2014年11月19日

「没後50年を機に」と書いてあるとおり、谷崎潤一郎は2016年元旦にパブリックドメイン入りします。全集第1巻の発行が2015年5月ですから、「最後にひと儲け」的な感じなんだろうなーと。ちなみに江戸川乱歩も同じ日にパブリックドメイン入りです。記事の最後でちょびっとだけ、小学館の電子全集について触れられています。

日本電子書籍出版社協会がEPUB 3.0.1対応のためバージョンアップした「電書協 EPUB 3 制作ガイド ver.1.1.3」を公開 | カレントアウェアネス・ポータル ※2014年11月21日

EPUB 3.0.1の仕様に対応した制作ガイドがダウンロードできます。ここにもリンク貼っておきます。

「今後のRSに期待する項目」が、制作側の苦労している点を如実に表している……。『縦組み時の既定の文字の向きは、Unicode Consortium の提示するルールに従うことが強く望まれる。』とか、怒りをこらえている感じが伝わってきますね。

Kindle Fireでワシントン・ポストが無料で読めるように : ギズモード・ジャパン ※2014年11月21日

ジェフ・ベゾスが個人で買収した『ワシントン・ポスト』ですが、やっぱり大方の想像通り、Kindleに組み込まれることになりました。2015年第1四半期にはAndroidやiOSにも対応するとのこと。

セルシスの漫画制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT EX」がEPUB出力に対応 -INTERNET Watch ※2014年11月21日

9月のバージョンアップでKindleフォーマット出力機能だけリリースされ、業界関係者の多くが「なぜ?」とツッコミを入れていましたが、遅ればせながらEPUB出力にも対応です。っていうか、KDPはEPUB入稿を受け付けてるんだから、EPUBだけ対応しておけば充分なのに。

「未完で更新していく本を」カドカワ・ドワンゴ川上会長:朝日新聞デジタル ※2014年11月21日

会員登録が必要な部分にこんなやり取りが。

――電子書籍にも再販制を適用した方が望ましいと考えますか。

 「望ましいですね。電子の本を安くしてはいけないというような法律を作るべきだと思います。

思わず「おいおい」と、のけぞってしまったのですが、どうもこのインタビューは不自然な印象。大事な部分が端折られているような気が……と思っていたら、朝日新聞系列の『withnews』で全文公開されました。全文で読むと、少し印象が違う。

『ニコニコ動画』は当初、YouTubeのコンテンツにタダ乗りしていたわけで、そういう歴史を考慮した上で読むとなかなか味わい深いインタビューになっています。うーん。

【新文化】 – JPO、リアル4書店の電子販売事業を3カ月延長 ※2014年11月21日

朝日新聞による『ジャパゾン』のネーミングがあまりに強烈で、『BooCa』という正式サービス名がなかなか認知されていない(記事中にも書かれていない)わけですが、3カ月間延長とのこと。どんな状況なのか、中間でも情報を出して欲しいなと思うのですが。「実証実験ではなく、実証事業」ですから、結果が求められますもんね。

紀伊國屋書店 武蔵小杉店でiBeacon対応アプリを使ったO2Oマーケティング施策 – ITmedia eBook USER ※2014年11月21日

Kinoppy アプリの開発元、インフォシティが「iBeacon」を使った新しいソリューションを提供しているそうです。位置情報に基づくので、来店特典でオリジナルコンテンツをプレゼント、みたいなことができるんですよね。今年のブックフェア(※リンク先記事の後半)は、こういう Offline to Online サービスが目に付きました。

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