毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「ヨドバシ・ドット・コム電子書籍ストアオープン」「Kindleストアがまとめ買いに対応」などが話題になっていました。
SmartEbook子会社が事業転換、ストア型からセルフパブリッシング型のサービスへ – ITmedia eBook USER ※2015年3月23日
smartebook.com(旧フォーサイド・ドット・コム)は閉鎖された「ヤマダイーブック」の運営を委託していた会社です(そのあたりの経緯はこちらの記事にまとめてあります)。その子会社が事業転換してセルフパブリッシングプラットフォームをやる、というニュース。「……大丈夫?」という意見がチラホラ。
本に関するネタサイト「ぶくまる」オープン、電子書籍ストア運営会社が“読書離れ”対策 -INTERNET Watch ※2015年3月24日
KADOKAWA / メディアファクトリーの「ダ・ヴィンチニュース」や、本の雑誌社の「WEB本の雑誌」や、文藝春秋の「本の話Web」など、出版社が本に関する情報サイトを運営することはそれほど珍しくないですが、こちらは電子書店BookLive!の運営。本のリンク先がすべてBookLive!になってます。あれ、そういえばeBookJapanも本の情報サイトをやっていたような……?
投稿作の二次創作も可、ディスカヴァーが手掛ける小説投稿サービス「novelabo」 – ITmedia eBook USER ※2015年3月24日
最初から二次創作を許諾する形で投稿するサービス。晴海まどかさんがさっそく試してますね。ニコニコ動画の「クリエイター奨励プログラム」のような形になっていくんでしょうか。正式サービス開始は5月中旬予定とのことです。
JEPAセミナーリポート:いよいよサービスイン、日本電子図書館サービスのビジネスモデルが示される – ITmedia eBook USER ※2015年3月24日
ボクが現地から速攻レポートしたので、eBook USERの西尾編集長はじっくりレポート。「Buy it Nowボタンを用意する予定はあるのか?」という質問は、さすがの鋭さだと思いました。
ヨドバシカメラの電子書店がオープン、名称は「ヨドバシ・ドット・コム電子書籍ストア」 – ITmedia eBook USER ※2015年3月25日
紙の本と電子の本を同時に扱う、ハイブリッド型書店が誕生。通販の「ヨドバシ・ドット・コム」は評判が良い(無料配送・簡易包装なのが良い)ので、電子書店サービスへの参入も比較的好意的に捉えられているようです。
記事中にもありますが、アプリのUIや、XMDF対応だけどドットブックには非対応といった特徴から、シャープの「EBLIEVA(エブリーバ)」を採用しているものと思われます。同ソリューションのブラウザビューアASPは、未来屋書店「mibon(ミボン)」やフジテレビオンデマンドなどにも提供されていますが、ヨドバシは今のところ不採用。
本家「GALAPAGOS STORE」にはまだ存在しない、Mac版のリリースが予告されている(この事前情報があったので、シャープじゃないと予測していた)点も気になるところです。
インプレスR&D、出版社向けPOD流通サービスを開始 – ITmedia eBook USER ※2015年3月25日
「NextPublishing」のことは前から知っていたので、改めてこういうニュースが出たのをなんとなく眺めていたのですが、インプレス株がストップ高になっているという記事が出て驚きました。前から「少部数出版はPODになっていくだろう」と言われていましたが、このサービスが業界を大きく変えていくきっかけになるのかも。
『境界のないセカイ』打ち切り マンガボックス樹林編集長が公式コメント – ITmedia eBook USER ※2015年3月26日
樹林氏が「不足している『経緯』は既に書いたように作者ブログにあった通りです。」と言っています。詳細は幾夜大黒堂さんのブログを確認していただきたいのですが、マンガボックスのビジネスモデルが紙の単行本販売によってリクープする形である以上、講談社が「出せない」と判断したらマンガボックスでの連載も終わってしまう、ということに。まあ、ビジネスとしてやっている以上、致し方ないことなのですが。
話題になっている今なら、幾夜大黒堂さんがセルフパブリッシングで出したら、かなり売れるんじゃないかなあ。あ、もしかしたら赤松健さんが絶版マンガ図書館に勧誘しているかも。
【ポット出版のお知らせ】書籍を買うと電子書籍が無料でついて来る=プラス電書の中間報告 | ポット出版 ※2015年3月26日
「書籍を買うと電子書籍が無料でついてくる」ことが、5%くらい紙本購入の後押しになっているという中間報告。電子書籍の普及率がコミック含めても15~20%程度ですから、それで5%増えているなら良い結果なのかも。電子版の複製コストはゼロなので、問題は配信する仕組みの構築コストや、ファイルを保存しておくサーバーコスト、ということになるでしょうか。
実は『月刊群雛』にも2015年02月号から、オンデマンド印刷版にはDRMフリーEPUBのダウンロードURLが付いています。
『月刊群雛 (GunSu) 2015年 02月号 ~ インディーズ作家を応援するマガジン ~』
Amazon.co.jp、Kindleストアでシリーズ作品の「まとめ買い」に対応 -INTERNET Watch ※2015年3月27日
ようやくまとめ買いに対応……と思ったら、まとめ買い専用ページが作成されていない作品は非対応という。まとめ買いコーナーを見てみたところ、現時点で対応しているのは445タイトル。Kindleストアにはカートがない(1クリックしか対応していない)ので、こういうやり方しかなかったのかな。
posted at 2015.3.30
諫山創
ざっと見たところ、大手出版社の、ヒット作ばかりが対象になっている感じ。「売れてる作品ばかりがますます売れる」傾向を加速しそうな気がします。
なかよし60周年記念:このイラストは紙でも電子でも堪能したい CLAMP描き下ろし『カードキャプターさくら』1巻&2巻が発売 – ITmedia eBook USER ※2015年3月27日
この記事、タイトルだけ見てスルーしそうになったのですが、紙の本を買うと電子版が無料で手に入るサービス「codigi(コデジ)」という講談社のサービスに初めて対応した本とのこと。試すため購入してみました。細かなレポートは別途書くつもりですが、システム提供はメディアドゥだと思われます(ビューワを開いたらURLが「md-dc」だった)。