「水木しげるさん死去」「JPOから緊デジの配信状況調査報告」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #197(2015年11月30日~12月6日)

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毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、ボクが気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「水木しげるさん死去」「JPOから緊デジの配信状況調査報告」などが話題になっていました。

漫画家の水木しげるさん死去93歳 「ゲゲゲの鬼太郎」:朝日新聞デジタル ※2015年11月30日

巨星墜つ。R.I.P.

国立国会図書館、有償の電子書籍・電子雑誌の収集に向けた実証実験、館内で閲覧可能に -INTERNET Watch ※2015年11月30日

「館内」というところに首を傾げる意見が散見されますが、誰でもどこからでもまったく制限なく自由に閲覧可能だったら出版ビジネスが完全に崩壊します。国立国会図書館が運営する電子図書館サービスが登場するとなると、TRC-DL・OverDrive・JDLSなど民間で同様のサービスをやっているところが崩壊します。「民業圧迫」って言われちゃうわけで。だからこそ「民間の電子書籍・電子雑誌ビジネスへの影響」を調査するための実証実験なのですよね。

[視点]国会図書館へのオンデマンド書籍納本の審査を厳格化 | OnDeck ※2015年11月30日

「今後はオンデマンド本に代償金を支払う際の審査を厳格化する」とのころ。ちょうどNPO法人日本独立作家同盟で文庫を創刊したのを機に、ちゃんと代償金もらう手続きをするようにした(これまでは寄付してた)んですが、なかなか入金されないのはこれが理由かな?

村上春樹さん貸出履歴報道、プライバシー侵害 図書館協:朝日新聞デジタル ※2015年11月30日

日本図書館協会から公式見解。これは神戸新聞がアホ。問題となった写真は消したけど記事は残ってますし。こうやって、きっちり釘を刺しておくべきでしょう。

第二創業を視野に――イーブックイニシアティブジャパンのオフィス移転計画とは? |ビジネス+IT ※2015年11月30日

ちょっと個人的な話ですが。前回のオフィス移転が2013年6月とのことなので、ボクが訪問したのはその直後だったはず。まだ少し室内が雑然としていた印象があります。あれからまた移転したんですね。というかもう2年も経ったのか……。

電子コミックアプリ「ハートコミックス」に関わる事業の発展的引き継ぎについて | SBイノベンチャー株式会社 | グループ企業 | 企業・IR | ソフトバンクグループ ※2015年12月1日

この件、プレスリリースが出ているだけでどのメディアも記事にしていないし、赤松健さんマンガ図書館Z公式も何も言及していないのが不思議。これ、本格的に自社で電子書店事業を行うようになる、ということですよね。「ハートコミックス」と「マンガ図書館Z」の発展的な統合も図る予定とありますし。GYAOと手を組んだのが8月初旬ですから、動きが早い。むむむ。

ヤフーが個人発ニュースを拡充、原稿料や取材費支払いも | Reuters ※2015年12月1日

ボクにはYahoo!からオファーがありません。まあ、地味ブロガーですから、炎上芸でPV稼ぐような真似、できないですからね。

出版状況クロニクル91(2015年11月1日~11月30日) – 出版・読書メモランダム ※2015年12月1日

毎月楽しみな小田光雄さんの出版状況クロニクル。電子出版系の話題が「dマガジン」だけというのは寂しい。既存のシステムが危うくなっていく部分だけの情報まとめとして見るにはいいのですが。

出版社社員ら不起訴に 違法サイトへのリンク巡り :日本経済新聞 ※2015年12月1日

結局不起訴かよ! これ当時、JVAが「アンチリッピングキャンペーン」を展開していて「今回の検挙はアンチリッピングに大いに貢献する」と神奈川県警察本部生活安全部サイバー犯罪対策課と戸部警察署に感謝状まで贈っているんですよね。リンク行為が幇助になるって相当ヤバイと思い、当時こんなツイートをしました。

これに「さすがに遡及効はないんではないかと^^;」というリプが付いたのですが、“現在進行形で生きてるリンク” という意味が理解してもらえなかったっぽい。リンクを貼ったのは過去でも、リンク先が生きていれば送信可能化状態のまま保持されてるってことですから。怖い怖い。

「週刊アスキー」紙版復活 「ディスプレイではなく紙で読みたい」と要望を受け – ITmedia ニュース ※2015年12月1日

タイトルに釣られました。ムック扱いの特別編集号で限定復活です。

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経産省補助の書籍電子化、5200冊が未配信 復興予算を利用 :日本経済新聞 ※2015年12月1日

事前に想定できなかった事態もいろいろあるだろうし、1割未満なら許容範囲だと思います。問題の本質はそこではなく、隠蔽しようとする体質。タイトルしか記されてない配信リスト(PDF)で、誰が誤魔化されるというのか。「緊デジ」のサイト(kindigi.jp)消えてるし。消える寸前の2014年7月19日時点Internet Archiveを貼っておきます。

あと、JPOで公開されている資料②(PDF)は出版社の本音がストレートに出ていてなかなか興味深いです。

当初はマンガは関係ない事業とお聞きしていましたが、その後方針の転換があり、マンガのファイルコンバージョンでもいいから参加してほしいと要請がありました。そのため弊社も本事業への参加ができると判断しました。そのように求められて参加した事業で、後日、さまざまな報道で「税金の無駄遣い」と非難されたのは遺憾です。そのようなマイナスの効果はありました。

これは振り回された出版社側が可哀想。

「新聞書評」がまとめて読める 新潮社が書評まとめサイト「Book Bang」をたちあげ 大手10社が参加 | デイリー新潮 ※2015年12月2日

朝日新聞、産経新聞、読売新聞、KADOKAWA、講談社、小学館、新潮社、幻冬舎、トーハン、日販が参加して、運営が新潮社というのが謎。実は裏で「はてな」が噛んでたりして(単なる想像です)。プレスリリース出てないし、記事も新潮社の自社メディアしか出てないし。「プロの書評が読めるサイト」というのは、取り組みとしては面白いのですが、この座組みはどうしてもその昔瓦解した「あらたにす」を思い起こしてしまいます。

なお、「Book Bang」と半角スペースを入れるのが正しい表記とのことです。

電子書籍に関する調査“Digital Census2015”からうかがえる5つの重要な所見(英国) | カレントアウェアネス・ポータル ※2015年12月1日

イギリスの出版社に対する調査。「42.7%の回答者が出版社が電子書籍からDRMを取り除くべきと答えている」というのが意外。ドイツで大手出版社が続々とDRMフリー化を行っている動きがありますが、そういう機運がイギリスにも生まれているということでしょうか。日本にもそういう動きこないかな。そういえば年始に「ソーシャルDRMで直接配信する出版社が増える」という予測をしたんですが、これは見事にハズレたなあ。

BOOK☆WALKER大賞2015 投票受付 | 電子書籍ストア-BOOK☆WALKER ※2015年12月3日

最後に宣伝。「BWインディーズ部門」に『月刊群雛』がノミネートされています。投票は12月16日まで。会員なら誰でも投票できます。清き一票を!

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