「dマガジンに法人向けプラン登場」「Kindle マンガモデル発売」など出版業界関連の気になるニュースまとめ #243(2016年10月17日~23日)

Nexus 7のGALAPAGOS

毎週月曜恒例。出版業界関連の先週のニュースで、私が気になったものにコメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は「dマガジンに法人向けプラン登場」「Kindle マンガモデル発売」などが話題になっていました。

昭和文豪、無料公開お預け? TPP発効なら:日本経済新聞 ※2016年10月17日

青空文庫の大久保ゆうさんがインタビューを受けています。私は、文豪と呼ばれるような著名な作家の保護期間切れが先送りになってしまうことより、著名でない作家の作品がこれまでより20年余計に経過することで、ますます忘れ去られてしまう率が高くなることを憂慮します。文化庁裁定制度がもう少し使いやすくなるといいのですが(だんだん緩和されているのはわかっていますが)。もっとも、アメリカの大統領候補が2人ともTPPには反対しているので、発効しない可能性が高い気もするのですけどね。

アマゾンの”誤算” 読み放題に“特別条件”|NHK NEWS WEB ※2016年10月17日

一連の騒動に関する丁寧なまとめ。後述する Kindle 新デバイスの、メディア向け発表会にデバイスマーケティング本部の橘宏至本部長が出てきて、Unlimited の作品強制削除について質問されたのに「答える立場にない」と回答したことが新たな燃料だったようです。とはいえデバイス担当者にサービスのこと聞いても、答えられないですよね。中小出版社が「紙を“人質”にとられている」と感じているのは、なるほどなあという感じ。もっとも、重要なのは福井健策先生がコメントしている「結局は消費者が損をすることに」なってしまう点。出版社とアマゾンという、当事者だけの問題ではないのです。

アマゾン、「漫画用キンドル」は売れるのか? | インターネット | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 ※2016年10月18日

というわけでこれが新デバイス。ずばり「マンガモデル」です。

新型とはいえ、現行 Paperwhite の内部ストレージが32GBになっただけ。ただ、価格差が2000円なので、通常モデルが売れなくなりそう。ページめくり速度の向上はOSアップデートによるもので、このモデルに限った話ではない(既存の端末にも適用される)ようです。実際のところ、マンガもカラーページが増えてきてますから、私はモノクロ表示しかできない端末で読もうと思えないのですが。現状のE INKは、文字を読むためのものだと割り切っています。

その昔、こういう端末があってですね……。

Panasonic Σブック

アマゾンが電子書籍とプリント・オン・デマンドをシームレスに | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト ※2016年10月18日

これは Amazon.com の話。鎌田博樹さんの「EBook2.0 Magazine」からの転載記事です。KDPの管理画面とPODの管理画面を統合した「KDP Print」のベータテストが7月から行われているそうです。個人作家の立場でPODの利用シーンは、記念に1冊自分用にとか、周囲に配る用にとか、あとはリアルで電子の訴求をする際などに「物」があるほうがやりやすい、などでしょうか。PODはどうしても単価が高くなってしまうので、電子版との価格ギャップに苦しめられます。

米Amazon、Kindle向け電子書籍制作ガイドラインを更新「目次ページ問題」に対応 – hon.jp DayWatch ※2016年10月19日

Kindle パブリッシング・ガイドラインが更新されています。日本語版も、もう出てますね。目次関連のところに、このような記述が追加されていました。

5.1 HTML 目次のガイドライン

HTML 目次は本の巻末ではなく、巻頭に配置してください。これにより、読者が最初からページをめくると目次を自然に目にすることになります。目次を誤って配置すると、「最後に読んだページ」機能の精度に影響します

Kindle Unlimited の「読まれたページ数」をカウントするロジックが貧弱なのを利用して、HTML目次を後ろに配置することで「読まれたページ数」を稼ぐことができる(新たに本を開くと自動で目次の次ページを開く仕組みになっているため)というハックがあったのですが、公式にガイドラインで否定された形になります。いたちごっこだなあ。

お店で電子雑誌読み放題、「dマガジン for Biz」 – ケータイ Watch ※2016年10月19日

法人向けプラン登場。ターゲットは、美容院、飲食店、病院など。待ち時間を雑誌で潰してもらうため、雑誌を定期購読しているのです。書店の外商部門向けに、販売代理店制度とか用意しないのかしら?

メディアドゥ、書籍の要約サービスを提供するフライヤーを4億円で買収…電子書籍サービスと連携した拡販を展開 | Social Game Info ※2016年10月19日

メディアドゥのニュース&リリースを遡って確認してみたのですが、2013年11月に東証マザーズ市場へ上場して以降、初の企業買収のようです。法人向け電子書籍サービス「bizbook」に要約サービスが連携するっとのこと。

Google Developers Japan: Budou: 日本語のための自動折り返し制御ツール ※2016年10月20日

これ、HTMLでの日本語表現に大きな影響がありそうです。とくにタイトルや見出しで、1文字だけはみ出してしまうのを防ぐことができると嬉しい。オープンソースプロジェクトなので、一気に広がるかも。


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