出版業界関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。電子出版界隈が中心です。先週は、ライブドアブログがimpress QuickBooksとのコラボで始めた「ライトなラノベコンテスト」が話題になっていました。
電子書籍の進化普及による出版業界構造変化へのインパクト|経営研レポート 2013 | NTTデータ経営研究所 ※2013年11月4日
業界関係者にとっては「当たり前」のことしか書いていないかもしれませんが、一般の方が業界全体を俯瞰して把握するには良レポート。とくに間違ったことは書いていないのがポイント。そんなの本来当たり前の話なのですが、平気で誤認したままのレポートを出すトンデモ”研究所”も多いので……。
ところで、Amazonの書籍売上が推計1900億円というのは、日販の『出版物販売額の実態』で1位の紀伊國屋書店(1082億円)の倍近い数字ですが、出版売上全体からすると1割強。Amazonが日本へ上陸したのは2000年ですが、それ以前から書店数は減り続けている(1988年の2万8216店がピークで、2000年には2万1495店まで減っている)ということを頭に入れておく必要があります。
「富田倫生さんが遺されたもの」青空文庫シンポジウム発表資料 ※2013年11月4日
朝日新聞の林智彦さんが、富田倫生さん追悼シンポジウムで使ったプレゼン資料。青空文庫の功績について、「プラットフォーム」という観点から説明しています。
注目された「オーディオブック」は今どうなっているのか?:日経ビジネスオンライン ※2013年11月5日
車で長時間移動することが多い人には、結構ニーズがありそう。運転中は目を他のことに使えないので、ラジオを聴くか、音楽を聴くかくらいしか娯楽がないんですよね。
ブックオフ、直営20店舗を閉鎖へ – 新文化|WEB本の雑誌 ※2013年11月5日
ついにブックオフも撤退戦が始まりました。
ライトなラノベコンテスト – ライブドアブログ ※2013年11月6日
「3万字以内」の短編なので、ライトなラノベとのこと。impress QuickBooksとのコラボです。出版されるのは電子版だけみたいですが、紙には展開しないのかな? それはそれでもったいない感じが。
電子書籍ストア「BookLive!」、Facebookアカウントでのログインに対応 -INTERNET Watch ※2013年11月6日
主要電子書店で初のソーシャルログイン対応、なのですが、購入時のパスワード入力が相変わらず必須なので、連携させてもあまり意味がない。ユーザーにとっての障壁を減らして利便性を高めないと。
これからの働き方、新時代のリーダー(中編):出版不況が続くのに、編集者が生き残るワケ (1/4) – Business Media 誠 ※2013年11月6日
デザイナーが歩んできた歴史のように、編集者も「企業を編集する」「街を編集する」「社会を編集する」時代になると思っています。
情報を見せる順番がポイントという「コルク」の佐渡島庸平さんの見解。
メディア・パブ: NYタイムズの電子版有料化、成功しているが未だに”紙”に大きく依存 ※2013年11月7日
こういう話のほとんどが「売上」しか見ていないのですが、「利益」がどうなっているかが重要ですよね。仮に、紙の売上が8割で利益率が10%、電子の利益率が40%なら、利益額は同じになるわけで。
2013年度上期国内タブレット端末出荷概況 – 株式会社 MM総研 ※2013年11月7日
Appleのシェア46.2%に対し、2位がなんとASUS(Nexus 7含む)16.4%という。「あれ?Kindle Fireシリーズは?」と思って問い合わせてみましたが、5位 シャープ(4.1%)未満とのことでした。
Sony Japan | ニュースリリース | 13.3型で世界最薄・最軽量を実現 業務用デジタルペーパー商品化、ソリューション提供 ※2013年11月7日
教育ソリューションフォーラム2013で実物を触ってきました。めっちゃ軽い! 市場推定価格98,000円前後とのことですが、一般向けに販売する予定はないそうです。
hon.jp DayWatch – 米Amazon、中小書店向けに電子書籍端末「Kindle」販売代理店制度Amazon Sourceを発表、6ヶ月返品OK ※2013年11月7日
ついにAmazonも、Koboと同じ手法を始めます。「販売したKindle端末で購入された電子書籍代金の10%をもらえる」というのは、さほど悪くない条件のように思えるのですが
hon.jp DayWatch – 米書店団体ABA、Amazon社が発表した電子書籍端末「Kindle」販売代理店制度を批判 ※2013年11月8日
猛反発されています。日本でも始まったら、同じような反応になるかな?
出版社と書店はいかにして消えていくか―近代出版流通システムの終焉
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小田 光雄
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Amazon上陸前から、日本の出版流通システムが構造的破綻をきたしているという警鐘を鳴らしていた良書(これは増補新版)。