出版(紙・電子問わず)関連でボクが気になった先週のニュースについて、コメントをつけてまとめていきます。先週は、Amazonのジェフ・ベゾスがワシントン・ポストを個人名義で買収したことが話題になっていました。
hon.jp DayWatch – まだまだ続く電子書籍エージェンシー・モデル訴訟、米司法省がApple社に「書店アプリの販売リンク掲載を許可せよ」 ※2013年8月5日
司法省がAppleにこんな提案をするというのが面白い。書店アプリの大半がただのビューワになっているのは、Appleによる規制(AppleID決済じゃなきゃダメ=ストア機能をつけると必ずAppleに30%手数料をとられる)だというのを知らない人も多いですからね。
ちなみに、リンク先の冒頭に書いてある「大手出版社がApple社と交わした電子書籍のエージェンシー・モデル価格契約を違法とする判決」というのは誤解が生じやすいと思うのですが、共謀して値上げを図った(つまり価格カルテル)ことが違法とされているのであって、エージェンシー・モデルそのものは違法ではありません。
全国公立図書館における電子書籍検討の現況は? – ITmedia eBook USER ※2013年8月5日
先日の「これからの公共図書館の電子化モデルを考える」フォーラムで語られていた、日本に電子図書館が普及していないという現況を如実に示す結果になっています。それにしてもこのレポート、電子書籍で販売されているのはいいのですが、ちょっと高い……興味本位で買える価格じゃないです。
Amazonのジェフ・ベゾスCEO、Washington Postを2億5000万ドルで買収 – ITmedia ニュース ※2013年8月6日
買収の狙いについて、なるほどなーと思ったのが大原ケイさんのブログ。
ジェフ・ベゾスがワシントン・ポストのオーナーとなったら首都ワシントンで行われる政治家のパーティーにもお声がかかり、それはそれでロビイストを雇うのと同じ効果があるだろう。ワシントン・ポストに好意的に取り上げてもらおうと議員もアマゾンにすり寄っていくだろう。
と、あまりロビイストにお金を使っていないApple(司法省に刺されてる)と対比しています。なるほど。
紀伊國屋書店のアジア向けネット通販事業に産業革新機構が出資 – ITmedia eBook USER ※2013年8月7日
産業革新機構が出資というところで出版デジタル機構と同じような目で見られているようですが、元々東南アジアでは「Kinokuniya」の実店舗を何十年も前から展開している実績がある上で、ネット通販事業も手がけるという話。少なくとも日本のインフラをそのまま持っていく、という話ではないようです。アマゾン未進出の空白地帯で、どれだけ先に基盤を作ってしまえるかという勝負になるのかな、と。
「ボカロ小説」はこうして生まれる 中高生を本屋に走らせる魅力、そして楽曲争奪戦へ (1/3) – ねとらぼ ※2013年8月6日
既に粗製濫造が懸念されているというのが、出版業界の病巣が何かを浮き彫りにしている気が。焼畑農法は勘弁。
ヴィレッジヴァンガード、電子書籍販売 専門サイトと提携 :日本経済新聞 ※2013年8月6日
ベストクリエイトの「いつでも書店」との提携。「書店で電子書籍」という形の提携があちこちでどんどん進んでます。
ちなみに、楽天kobo1周年の時に「リアル書店へのインフラ提供が今後の大きなキー」になると考えているという記事があって、その時に「どこと組む気だろう?」という疑問を抱いたのですが……イオンの未来屋書店も先日「mibon」をオープンしましたし、これで「2012年 書店売上高ランキング」の上位で残っているのは……まさかブックオフ?
グリコのおまけに電子書籍、「楽天<kobo>」がリーチ拡大へキャンペーン -INTERNET Watch ※2013年8月7日
「クーポンコード1個につき(1巻の)3分の1ずつダウンロードできる」というのがちょっとみみっちい感じがしますが、電子書籍を身近なものにするという意味では面白い試み。
BookLive!の電子書籍端末「Lideo」、くまざわ書店でも販売 -INTERNET Watch ※2013年8月7日
BookLive!は提携書店をどんどん広げています。トータルでどのくらい売れてるのかな?
ネット取引 失われた消費税250億円 NHKニュース ※2013年8月7日(魚拓)
NHKのニュース記事、すぐ消えちゃうので魚拓を貼っておきます。
アメリカのアマゾンに加え、楽天がカナダの会社を買収して去年、参入した電子書籍では失われた税収は9億円近いと推計されています。
Kindleとkoboの2社合計で、昨年の売上が180億円と試算しているということでしょうか? ずいぶん多めに見ているような気が。
国会図書館、ネット公開一部中止 仏教経典、抗議受け – 赤田康和 – 本のニュース | BOOK.asahi.com:朝日新聞社の書評サイト ※2013年8月7日
著作権保護期間切れ書籍の公開にクレームが付いて公開一時中止になった件、改めて記事になっています。
同館の長尾真前館長は、電子化した蔵書を数百円でネット配信し作家にお金を分配するという構想をも掲げたが、出版社が反発して頓挫。現在の大滝則忠館長は出版界との融和を重視する路線に転換。今回の判断はその流れだ。
さらっと読み流しそうになりましたが、 “出版界との融和を重視する路線に転換” って、なんか違和感。
神戸の老舗書店も閉店 後継者不足、ネット販売に押されて経営不振 (1/2) : J-CASTニュース ※2013年8月7日
第28回 さようなら、ロードス書房、海文堂書店なのだ – 定食と古本 ゴールド / 今柊二 ※2013年8月8日
神戸の老舗書店が相次いで閉店するという話。地方都市は厳しいなあ……。
不況の出版業界、絶好調なある出版社の秘密は悪質経済誌?掲載企業は高額払っても満足(1/2) | ビジネスジャーナル ※2013年8月8日
クライアントが満足しているなら、「悪質」と言っちゃうのはどうかと思うのですが。まあ、こういう商売もあるのだな、と。
鷹野凌 – Google+ – Kindle for iOS がアップデート。不具合修正と安定性の向上とのことです。 … ※2013年8月8日
先月末にKindleのiOSアプリがアップデートして、無料サンプルのダウンロードに対応するようになりました。サンプルの最終ページにはKindleストアへのリンクをメールで送付というApple規制の迂回策を採っていましたが、8月8日のアップデートでメールボタンが消えてしまいました。[ほしい物リスト]ボタンは残っているので、許容されるギリギリラインはその辺りみたいですね。
STOP!! Amazon!! ●出版社へ呼びかけ: 日本出版者協議会 ※2013年8月9日
流通(Amazon)側が圧倒的強者なので、「嫌なら止めれば?」で終わってしまいそうな気も。ところで、日本出版者協議会が掲げている「再販制維持」という錦の御旗、彼らに「ユーザーに受け入れられるかどうか?」という視点があるのかどうかが気になります。
ニュース – 電子書籍の価格操作問題、出版5社が米司法省の是正案に異議申立:ITpro ※2013年8月9日
Appleに対する司法省の是正案に、和解済みの出版社が異議申立てをしたというニュース。実際問題として、司法省がAppleを叩けば叩くほど、Amazonが強くなる一方なのではないかと思うのですが、どうなんでしょうね? この辺り。
hon.jp DayWatch – Google社、iPhone・iPad向け電子書籍ビューワアプリ「GooglePlayブックス」をアップデート、電子書籍レンタル対応 ※2013年8月9日
記事ではiOS向けしか言及がありませんが、同日にAndroid版もアップデートしています。また、「Google Play Textbooks」向けだという予測をしていますが、Google先生がどんな動きに出るかはわからないというのが正直な所。それにしても日本の「GooglePlayブックス」ストアは、ラインナップが増えないなあ……。
Hなコミックが無料で読める|もも漫 ※2013年?月?日
本サービスは、2013年9月26日(木)をもちまして終了させていただくことになりました。
このお知らせがいつから出ていたかわからないので、日付は?で。ボクが気づいたのは8月6日です。
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Rabooと同じで、「端末が壊れるまでは読めるよ!」という形のようです。